No.254 7月号編集後記

 センターには全国から電話やメールで色々な相談が持ち込まれます。同居者の暴力から逃げる方法、福島から「視力は弱いが運転免許を取った。身障手帳は貰えないか?」という母親など。私は例外を除いて相談には深入りせず、地域や専門の所を紹介するにとどめています。
 最近こんな相談がありました。「埼玉県の86歳の盲老人男性、今は健康で在宅を中心に介護を受けている、見える人の中での生活は疲れるだろうから安心して暮らせる盲老人ホームは」という女性からでした。深谷の盲老人ホームを知らないとのことで、ひとみ園を紹介しました。その後のことは分かりませんが、ふと思い出したのは先頃日盲社協理事長になった茂木幹央さんのこと。氏が「点毎1975年9月の読者のひろばに『ああ悲しい盲老人 埼玉県一読者』を見て、盲老人ホーム作りに取り組んだ」ということです。点毎在職中、この欄を担当していて匿名は極力避けたいと考えながら全盲老連の本間会長に「埼玉にある無し、作る機運のある無し」を確認し、取り上げました。「2009年現在山形、富山、滋賀、鳥取、沖縄の5県にはない」(本間会長)。
 一般人より視覚障害高齢者の率が高いと言われています。この時期、茂木さんのような情熱を燃やす人がいないのでしょうか。巷で問題の補正予算で4.3億円が「視覚障害者情報提供ネットワークシステム整備事業」についたことが話題になりました。点毎に「地域に密着した福祉や買い物など生活情報も充実させる」とあり、喜んでいる1人です。ただ、この事業に限らず、何事もITに偏らず、点字離れを助長せず、個々の視覚障害者が安心して生活できる環境作りに、関係者の一層の努力をお願いしたいものです。 (編集長 高橋 実)

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