No.255 8月号編集後記

 センターでは『先達に学び業績を知る ―視覚障害先覚者の足跡』を点字・墨字・DAISYの3媒体で出版しました。去る3月、本誌創刊250号を迎えたのを記念して、好評の「先達に学び業績を知る」50人をまとめたものです。温故知新、大先輩の生き様を改めて読み、それぞれの生き方に役立てていただきたいという思いから助成申請しました。寄贈も認められ施設と学校には3媒体の中から1点を選んでくれるよう依頼。7月23日現在で情報提供施設89館中68館、盲学校68校中45校から返事をもらいました。施設はDAISY49、墨字7、点字7、辞退5、学校は墨字20、DAISY18、点字4、辞退3。定価は安価にし、点字(7巻)15,000円、DAISY2,100円、墨字1,500円。これを見て、皆さんは何を考えられますか?
 この企画で3媒体200セットを寄贈分にあてています。大半の施設や学校は「予算が無くて点字本は買えない」と言っています。ですから「購入費を考え安いデイジーや墨字はニーズが出たときに、寄贈は点字を」と想定していました。点字は1,500ページ弱ですし、DAISY流行りの昨今、個人の注文はあまりないだろうと踏んでいました。センターでは、各種試験問題集やテキスト、学術専門書などは、採算を度外視して出版しています。点訳書と出版書は重複させないという申し合わせがありますので、ないーぶやびぶりおにアップはなく、施設や学校は買い求めるか、寄贈を受けない限り、読者サービスは館間協力以外にはできません。大多数の施設や学校は、この種の本は購入していません。私の持論は、点字離れと活字離れとは異質。読書にしても読みたい媒体に遅れる点字は、選択されないし、ましてや揃えようとしない図書館の姿勢が疑われます。
 これを書き上げたところへ職員から「理事長こんなメールが」と言われ、読ませましたら、なんと私が日頃訴えていることと類似していますので、面識はありませんが、返信メールで「一部を原文のまま掲載したい」と頼み、引用の許諾をいただきましたので、急きょ後記を増やしました。

「初めての点字本受け取りました(平塚市江川稔)」
 本日「ルイ・ブライユ生誕200年記念作品集」受け取りました。私は点字を習い始めて1年。12年ほど前から緑内障により最近では紙に顔を付けて墨字を読むまでになってしまいました。66歳で点字を始めるなんて皆さんから「そりゃたいへんだ、指の触覚も劣ってくるのでむずかしいよ」と言われてきました。今では録音図書がそろっていてDAISYで週刊誌から文学作品、ヒット作までインターネットを通して読めます。事実目が見えていた頃より現在の方が読書量は数段に増しております。過去3年間盲学校理療科での鍼灸国家試験の勉強は墨字本とDAISYで乗り越えました。それが、今になって点字を習い始めたのには、こんなわけがありました。DAISYで視覚障害者の自伝や苦労を読んでいたとき、やはり、文字を持つこと、自分で読む文字を持つことの大切さと喜びを知らされました。まだまだ一行を読むのに何分もかかっており、すらすら読めるようになるのにはこの先何年かかるかわかりません。点字本で読むことに挑戦しようと購入しました。価格差補償制度も初めて知りました。現価では高価で購入する気持ちにはなれなかったでしょう。この制度でこれからもいろんな本に挑戦してみたいとおもっております。

(編集長 高橋 実)

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