No.264 5月号編集後記

 文科省は3月30日、2011年度から小学校で使う教科書の検定結果を発表しました。マスコミは一斉に「ゆとりと決別、頁大幅増」などと報じました。現行教科書と比べて頁数は平均で25%、算数で33%、理科で37%増えているとか。私は教育について門外漢ですが、国の根幹とも言える教育方針を何回も変更することや点字教科書の供給が遅れることはいかがなものかといつも思います。
 「点字物は遅くても仕方ない」という非常識を関係者は払拭する努力をすべきです。点字教科書はこれまで、検定本から点字化する原本教科書が選定され、夏に盲学校教師や学識経験者らによる編集会議で視覚障害児童生徒に理解しやすいよう検討がなされ、秋に文科省著作点字教科書(著作本)製作の入札があり、新年度に間に合うように作る工程でした。私は1987年当センターを立ち上げてからも学習環境整備と点字の質の向上に取り組んできました。小中高の点字教科書作りもその一環で、2000年に難しい文科省の資格審査をクリアし2001年からその製作に加わりました。職員は編集や校正段階で先生らからノウハウを叩き込まれ、2004年からは地域の学校に学ぶ視覚障害児童生徒の教科書、昨年からは理数の補助教材の製作にも関わっています。勿論「大幅増」と言われる来年度の著作本の入札にもチャレンジします。
  ただ、点字をよく知らない役人が例年に似た工程で進めれば、子どもと出版社につけが回ります。昨年の補助教材は入札が3月下旬で編集は出版社まかせ、子どもたちには半年遅れでの配本となりました。その反省は今年もあまり生かされていません。盲学校の教科書すらきちっとできず、子どもに学校の選択をさせながら、教育環境の整備も後回しでは「仏作って魂入れず」そのものです。この続きはまたいずれ。(編集長 高橋 実)

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