No.290 7月号編集後記

 例年のことですが、私は、来たる聖明・朝日奨学生貸与式に参加するのを楽しみにしています(関連記事:本誌「支援センターだより」)。センターは、この他、みずほとメイスンの奨学生公募推薦運営を引き受けています。
 これら制度のルーツを考えますと、文月会は1967年、日盲委に奨学生制度の創設を申し入れました。鳥居篤治郎理事長から「エリート集団を支援はできないという声が大きく、力不足で説得できなかった。高橋さんすまん。今に視覚障害の世界も大卒は珍しくなくなるよ」と言われていたことを思い出します。その2年後、本間昭雄理事長が聖明福祉協会創立15周年記念事業として設けてくれたのですから、感激も一入でした。1917年、同志社に進学を認めるよう、鳥居先生が嘆願書を出しておられたのが先生の死後にわかりました。それから32年、諸先輩が働きかけてくれていたわけです。

 その後、進学数の増減はありますが今の学生はどう思っているのでしょうか。
 86年、富士(現・みずほ)が「毎年5人に在学期間点訳介助経費として1人に30万円を支給する。その一切を文月会に委託する」という夢にも考えていなかったことで、センターづくりは早まったのです。図書館所属の「正確」な点訳奉仕者は沢山いましたが「迅速」をモットーにした奉仕者は少なかったと思います。センター直属の点訳者養成に迫られ、年末から理数、英語、音楽などの講座を開講しました。年々奨学生は増え、3分の1程度はニーズに応えられず、新たな助成先を探してやっと2003年メイスンに私たちの思いを聞きとめてもらいました。ただ、新たな問題です。みずほは、残余金は財団に返金しますが、近年は3桁台です。「学校からテキストデータを貰えるなど知らなかったので、応募したがいらなくなった」とのこと。参考書や専門書を読まないで卒業する学生は果たして社会参加に耐えられるのでしょうか。 (編集長 高橋 実)

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