No.292 9月号編集後記

 本号「表紙写真」の取材でお母さんの菅田みゆきさんと吉田まゆみさんともお話しができました。
 私はお子さん2人が強度の弱視で盲学校、そして点字使用者ということに親近感を覚えました。それに2人とも卒業学年で、美優さんは、高等部は近くの我が母校岩手盲を希望しています。
 利佳ちゃんはピアノとバイオリンを習っていて多数のボランティアから点字楽譜の支援を受けており、学校も今年から点字楽譜を教えてくれるようになって和歌山盲中学部に進むそうです。また3年生から「科学へジャンプ」に参加して母子ともに希望が湧いてきたそうです。

 ただ、お母さんたちは2人とも1人クラスで仲間がいないのが悩みの種。まゆみさんが「9年近く、かすかな期待と不安の中で決断できずに車で送り迎えをしています」と言われるように、学校選択は難しいことです。お2人とも「点字と歩行など基礎教育は盲学校」と強調されますが、盲学校はそれだけではなくインクルーシブと、ある意味で選択される関係にあるのです。インクルーシブの理念に異論はないでしょう。しかし現状は、点字教科書はボランティアに、学習支援は盲学校の出前なのです。

 当センターは点字教科書に関わっていますので、今年も山形市で開催の全国盲学校普通教育連絡協議会に出掛けました。挨拶で校長は「各校の地域での支援が理解され義務教育では生徒は減っているが高等部では増えている。教科書も音声や拡大は充実しつつある」と言い、もがいている点字教科書には触れられませんでした。それに各校の報告も地域支援オンパレードといった雰囲気でした。
 1人1人の適性にあった教育を目指す特別支援教育なのですから、盲学校も英才、区別、一芸に秀でた子どもたちの才能を磨き、チャンスを探し、チャレンジさせる努力をしなければ、盲学校の100年の理念は一変することでしょう。 (編集長 高橋 実)

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