No.312 5月号編集後記

 全国を対象に発行していた月刊テープ誌『北海ジャーナル』が、去る3月で半世紀の歴史に終止符を打ちました。発行元は北海点字図書館(理事長は3代目、後藤健市氏)で同館の創設15周年を記念し創刊されました。創設者はハスキーボイスの後藤寅市氏(1902〜1971)で東京盲学校師範科中退後、同窓で全盲のついさんと結婚して地元で鍼按を開業、かたわら本道の盲人文化の遅れを取り戻そうと、組織作りと図書館作りを目指しました。1948年には北海道盲人協会を組織してヘレン・ケラー女史を迎えました。一方49年には帯広市の自宅を開放して北海点字図書館を設立しました。幸い夫人のついさんは稀に見る点字の達人で、夫婦して図書館から本を借りて転写に専念して蔵書を増やしました。そのついさんは次女の五月さんと54年9月26日、上京のため青函連絡船洞爺丸に乗船して台風15号に遭遇し亡くなりました。氏はジャーナルのほか「詩吟」「箏曲」「英会話」などのテープ教室シリーズを世に送り、教養の向上に貢献しました。またジャーナルのテーマ曲は軽やかで心躍るものでした。氏が15周年にあたり曲を作り、文芸選評の木村龍平氏が歌詞をつけた「伸びゆく大樹」です。同館のご厚意でテープに再録させていただきました(テープ版のみ)。また氏は創設20周年記念で道内の盲教育、施設、団体、傑出した盲人などを紹介した『北海道盲人文化のあゆみ』を出版しました。本間一夫先生ら16人の中に私めも入れてくれています。有言実行の先生が作られた同館は施設の規模や地の利では大手にかないませんが、歴史と実績では大手施設に勝るとも劣りません。今後も創設者の「はっちゃき」精神を忘れずに全国に新たな情報発信媒体が送られることを望む1人です。

(編集長 高橋 実)

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