No.317 10月号編集後記

 去る9月11日、京都ライトハウスで行なわれた第32回鳥居賞の和久田哲司さんと第18回鳥居伊都賞の和久田千代子さんご夫妻の贈呈式に出席しました。これまでに3組の夫妻と親子一組が受賞していますが、同時受賞は今回が初めてです。
 私が鳥居先生ご夫妻とお目にかかったのは1954年7月、大阪で開かれた全国盲大学生大会で、それ以来公私ともにお世話になりました。大会は毎年テーマを決め、学生と関係機関のトップとのディスカッションですが、例年職域開拓が主でした。鳥居先生は「君たちはせっかく大学に入ったのだから浪人を恐れず学問探求に専念してほしい」と熱っぽく語っていました。奥さまから先生の遺品を整理していて出てきたといって、先生が大正6年に同志社大に出した「盲人だからといって迷惑は絶対にかけないから入学させてほしい」という嘆願書と断り状を送っていただき、やっと先生の気持ちが理解できました。
 先生が亡くなった後も奥さまは「鳥居がおれば実さんのセンター立ち上げに協力できたのに」と言いながら、高額のご寄付をお見舞いに行くたびにくださったものです。
 点毎の東京移転が九分九厘決まっていた時も、鳥居先生の「点毎と盲人を思う心」が役員に通じたのか、社は急遽移転を中止しました。

  話は異なりますが、その点毎8月3日付の「統一地方選の点字公報普及を――日盲委のプロジェクトが準備開始」を読み、私は「これでプロジェクトの意義と力量が問われ、点字力のレベルが問題視され全訳版の今後を占うきっかけになる」と考え、改めて問題を提起したいと思います。
 「消極的な自治体の意識を変えるには『利用者に声を出してもらうしかない』。『点字公報』を必要とする視覚障害者が居住する自治体に意思表示するのを期待している」などは言うまでもありません。しかしそれを期待する前に、選挙に関わる情報をプロジェクトも、そして大小の差こそあれプロジェクトに関わっているマスコミ3誌も提供しているかです。もっと関係者に危機感と使命感を持っていただきたいです。
 点字投票も昨年の参院選はまだ出ていませんが、24年衆院比例区は8800、小選挙区は8782で、21年より2千票近く減っています。要因はいろいろあるでしょうが、せめて結実しつつある点字選挙公報全訳版の成果だと思えるぐらいにもっていきたいものです。プロジェクトの立ち位置も曖昧になっていると思います。
 知事選7月13日の滋賀は「発行・製作(社福)滋賀県視覚障害者福祉協会」で、印刷はパソコン用紙。
 8月10日の長野は「点毎号外 編集点毎 製作プロジェクト」、8月31日の香川は「香川県知事選挙候補者選挙公報 香川県選挙管理委員会」とそれぞれの表紙にはあります。香川県は以前本欄でも製作数の問題で取り上げましたが、これを見る限り私たちが国に求めていることを実践してくれたのです。ただ記事中「市町」をマスあけせず「市町と連携」とあり、カセットで聴いて「市・町と連携」だと理解ができました。
 プロジェクトではプリンターは認めないというこの辺は特に地方選で問題になると思います。竹下さんは聞いたり読んだりしている限りスカッとするような発言をしておられます。プロジェクトの責任者として竹下理事長に踏み込んだ見解を聞かせてもらいたいです。 (編集長 高橋 実)

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