No.325 6月号編集後記

 来る25、26日、日盲社協大会が開かれます。私が参加していたころ、「出版部会はいつまでやっている。全体会が始まらない」と叱られたものです。今はなお少ない持ち時間で、思いっ切り議論できていますか。私がこれから訴える2つの問題も、当然討議されると思います。

 ひとつは選挙プロジェクトの継承と強化充実です。今回の統一地方選も前半と後半の2回でした。当センターが関わったのは、前半戦でプロジェクトの「広島県議会議員一般選挙のお知らせ」簡略版と、後半戦で地元・杉並区選管から受託の「月刊『視覚障害―その研究と情報』号外 杉並区議会議員選挙のお知らせ」(全文点訳版)の2カ所。そして私が住む大阪で「『月刊府視協号外』大阪府議会議員選挙(大阪市淀川区選挙区)のお知らせ」と「『点字毎日号外』大阪市議会議員一般選挙のお知らせ 淀川区選挙区」の2カ所、計4カ所分を読みました。
簡略版はプロジェクトの1カ所だけで、残りは全訳版です。簡略版説明会の折、私は「事情はどうあれ、プロジェクトがこのようなやり方をすべきでない」と訴えましたが、それらを手にして尚更強く感じました。点毎が国政選挙の「5行名鑑」を発行したころから、「氏名や党派は街頭でやかましい程に聞かれる。ほしいのは政見だ」と私は出版部会で訴え、紆余曲折を経て現在の選挙プロジェクトまで発展してきたのです。また同説明会では「これまで地元の施設が培ってきた実態のある選管には受注の働きかけはしなかった」と紹介されました。信頼関係は大切ですが、プロジェクトの目的からすれば、あまりに消極的ではないでしょうか。
評判の『点字版選挙公報製作必携』の「第1章 点字版選挙公報製作の経緯と課題」にも指摘されています。「総務省の後援」を得た2月の研修会は一歩前進だとしても、簡略版は後退もいいところです。ただ、地方選は物理的にも問題がありすぎます。杉並区は候補者70人で目次も入れて139枚。大阪府は14枚で目次なしのホチキス1カ所留め、大阪市は点毎版で14枚に立派な表紙付き、広島県は24枚です。日盲委は選管と担当施設を対象に全国調査を行ない、結果を総括すべきです。

  もうひとつは、ロゴス点字図書館発行『あけのほし』2月号に橋秀治編集長が「危機迫る」という小見出しで、「点字の利用率は下がっていますが、点字出版所での製版機・印刷機もだいぶ弱っています。ところが、それを直してくれる機械屋さんも公式には1軒しかありません。危機的な状態です。点字出版もここまで追い込まれるとは意外でした」と書いていました。
 先ごろの選挙プロジェクトでも同様の発言をされた人がいました。全く同感です。昨年の日盲社協大会の決議にも「各種点字出版物の安定供給には、点字製版機や印刷機を常に万全の状態に維持する必要があります。そのため、点字製版・印刷機の新規購入や保守管理等の費用について補助されることを強く要望します」というような項目があります。進捗状況はわかりませんが、今の時代、押しかけるぐらいの気力で折衝しなければ生活文字である点字の供給はできなくなります。日盲社協で役員の末席を汚していたころ、出版所も図書館同様補助の対象に入れるよう働きかけましたが、図書館の反対で結実しませんでした。

 機器の危機どころか出版施設の危機です。点字文化を守り継承していくためには、この世界も統合か吸収合併でもしなければと私は常々思っています。(編集長 高橋 実)

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