No.339 8月号編集後記

 

 編集後記
 本欄では例年この時期、聖明・朝日奨学生の貸与式に合わせて、奨学金問題を取り上げてきました。その貸与式が7月2日、都内であり、私も出席しました。今回はひとりしか応募がありませんでしたが、推薦し採用されました。当センターは、このほか2団体の給付型奨学金と関わっており、毎年全国の盲学校や関係機関に応募要項を送るとともに、マスコミにも掲載依頼をし、周知徹底に努力しています。その応募者の第一希望を中心にして、3団体にそれぞれ推薦しています。貸与型の奨学金については国会でも、社会情勢からみて返済に無理があるのではないか、給付型を増やすべきだなどの論議があり、参院選では与野党の候補者が奨学金の充実を訴えていました。聖明朝日は1969年聖明福祉協会が設けたもので、対象は身障手帳1〜4級までの所持者で定員は若干名。今季から支給額も4万円に引き上げられ、これまでに207人がその恩恵に浴しています。ただ、一度も返済していない人が10人(1359万円)いるそうです。 私が進学する前に、心構えなどを先輩に尋ねましたら、「君は理療の免許ももっていないから、アルバイトは難しい。盲人の学習環境は悪くても、きちっと授業に出ていれば卒業はできる。それよりも生活で行き詰まり休学する盲学生が多いから…」と先輩から言われました。ですから、1961年、文月会を組織してすぐ、育英会に対し「盲学生には優先的に奨学金を貸与するように」という要望書を出しました。聖明朝日の先輩の中にも「生活費に活用できて助かった」と話す人が多いのもわかります。文月会は大学の門戸拡大や職域開拓、啓発のための出版活動では、既存の団体や施設に勝るとも劣らない成果を収めていましたが、学習支援では決め手がなく歯がゆい思いをしていました。 そんな1986年、富士(現みずほ)記念財団が「盲学生点訳等介助事業」を立ち上げ、その運営を当センターに委託するということが提案されました。入学時から卒業までの期間、ひとりに年額30万円を限度に、学生がリクエストするテキストやプリント、専門書を点字化して供給し、定員は5〜8人でした。そのためセンター開設準備室はセンター直属の点訳者を養成する専門点訳者実践養成講座を翌87年1月から開講。日本語点字に精通する点訳者を対象に、「正確迅速」をモットーに日本語応用、英語理数などを30時間(15週)行ないました。以来、昨年まで年1回開いてきました。学生の応募者は毎年10人以上で、性質上不採用なしを目指してこの種の制度をつくってくれるよう関係方面に働きかけていたところ、日本メイスン財団が2003年から単年度事業として、ひとり年額30万円定員10人で今年度も継続しています。ただ、みずほは2013年から応募を休止していますから、小学生は3月末で0になりました。みずほは年度内に今後について、再開か廃止を決めるはずです。いずれにせよ、30年間で155人の盲学生を学習面で支えてくださったのですから感謝で一杯です。みずほは「就学環境の変化でリクエストが減ったのでは」とも見ているようです。 大学からテキストなどのデータが提供されたとしても、社会福祉士などの資格取得や公務員試験などの新しい点字の問題集は簡単には見つからないと思います。また、大卒者のチャレンジャーぶりはあまり聞きません。30年を節目に、職業自立を目的にした点訳支援といった制度を立ち上げてくださることを、みずほ関係者にお願いするしだいです。(編集長 高橋 實)  
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