No.341 10月号編集後記

 

 編集後記
 京都ライトハウス創設者で京都市名誉市民の鳥居篤治郎先生の偉業を敬称する、第34回鳥居賞伝達式が9月9日行なわれました。千葉にお住まいの指田忠司さん(63)がその栄誉に輝きました。指田さんは、国内外の視覚障害者問題に精通している人として知られています。文月会の仲間で今年までの5回、当センターが実施している「視覚障害者就業実態調査」プロジェクト委員として協力を得ています。当日、私達夫婦も京都ライトハウスで喜びを共有できました。
 話は変わって、私は、7月27日、大分市で開かれた普連協(全国盲学校普通教育連絡協議会)の総会と研究協議会に出席しました。この会には、かれこれ40年前後参加しています。前半は大学進学問題、後半は点字教科書問題に関わりと感心があるからです。主催者挨拶で、澤田筑波大学附属視覚特別支援学校長は、「在籍者は昨年より減って67校で2863人、先生方も危機感を持ってほしい」と訴えました。文部科学省の5月1日時点での学校基本調査速報値では、63校2050人。点字毎日「激動の半世紀」の1922年11月には、「文部省の年報によると盲唖学校74、盲生2138人」とあります。本論に戻りますが、司会進行の先生が「出席者の中で3年以上10年未満の方拍手を」と問いかけられ、50数人中半分ぐらいの拍手。「3年未満」と「10年以上」の問いかけには、それぞれ4分の1程度の拍手でした。これだけから見ると新任は少なく、専門性は保たれているのかなと思いきや、年々発言者が少ない上に、司会の度重なる「発言を」で手を挙げる先生は「来たばかりなので…」と前置きをしてです。「支援で点字や歩行訓練に出かけていてこの子は盲学校に来なければ心配」と暴言とも取られがちの本当のことを言う先生はいないのでしょうか。教育は数だけではないと思います。  次は点字教科書です。普連協事務局は、今回も「生徒減は点字教科書の需要数に繋がり出版社が製作を辞退すれば盲学校の責任で製作しなければならない」と実情を訴えていました。「激動の半世紀」の1923年2月に「昨年2月大阪で発足の盲人用教科書刊行会は経済その他の事情で運営に行き詰まりその業務を点毎に移管」とあります。1960年、私が入った頃も先輩達が徹夜して取り組んでいましたが、何時の頃かトップの意向で無くなりました。聞くところでは、点毎が引き継いだ後、文部省は点字製版機などを貸与したそうです。歴史は流れて、今は義務教育の著作本は5社の入札で、高等部は普連協の申し入れで4社が需要のバランスも勘案し、話し合いで決めています。センターは大手4社に加わり、何れにも参加しており、今年は「地学基礎」と「地理B」の改訂版を製作中です。いかに需要数が少ないかを、普連協の「28年度点字教科書供給状況一覧」のセンター分を披露します。「地学基礎」3セット、「現代文A」17、「倫理」3、「現代地理A」24、「新編 詳解地理B」1、「社会と情報」48です。私は、今回も次のようなことを訴えました。「点字教科書は一人もいない時でも用意しておくべきだ。しかしそれには製版機と印刷機の整備が欠かせない。メーカーは片手間の1社しかなく高価だ。出版社は自前で機械に投資する体力は無い。実態を懸念する普連協と校長会、出版社が協力して文科省に働きかけ、安心と安定した点字教科書製作環境を考えなければ、1955年の全点協運動以前の時代に舞い戻るであろう」。 (編集長 高橋 實)  
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