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2004年2月21日発行 第43号 社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター

支援センターだより

皆さまへ

 例年これほど寒暖の差が激しかったのか、など通り過ぎたことを心身共に忘れてしまうような私ですが、季節だけは今年も間違いなく弥生三月を迎えてしまいました。皆様いかがお過ごしでしょうか。年度末・新年度、卒業・入学、退職・就職、別れ・出会いといった慌ただしい環境に巻き込まれておられる方も大多数おられると思いますが、体調にだけは十分ご注意の上お過ごし下さい。

 時折、私はNHK深夜放送のファンだということを申し上げておりますが、最近再放送の「心の時代」で作家・夏樹静子さんのお話を聞き、改めて考えさせられました。私の「現意識」と「潜在意識」とのギャップがあまりに大きいことへの自覚のなさです。夏樹さんは1990年代、3年あまり腰痛で七転八倒の痛さと苦しみを経験されたそうです。そのため、数多くの医師などとの関わりの中でも治療の決め手が見つからず、「貴方の腰痛は心因だ」と言われた専門医の言葉にも信頼が持てなかった。しかし「ダメ元」と思い、その専門医の元で治療を受けながらやっと「心因」であることに気付き、全快に向かって努力したということです。

 夏樹さんの話の中で池見酉次郎著の『心療内科』のことも出ていましたが、センターでは1993年に『続・心療内科』(1973年初版)の30版(全4巻)を、1995年に『心療内科』(1963年初版)の73版(全3巻)をそれぞれ点字出版しました。

 話は変わって、さる2月29日、千葉市文化センターで開かれた社会福祉法人 愛光・愛の灯台基金後援会発会記念コンサートに出かけ、楽しいひとときをすごしました。社会福祉法人 愛光がいわゆる後援会の発会式で記念コンサートを開いたのです。後援会は今後、地域を中心にどのような援助や活動を行うかを詰めていかれるそうです。この行事の企画の段階で法人の理事長に就任したばかりの法澤奉典さんが「視覚障害音楽家によるコンサートを開きたい」という相談と挨拶でこられました。私は職員の坂巻明子が属している「新星'78」という音楽グループを推薦しました。

 幸い、三好会長と主催者側の話し合いがまとまったことで、私も気持ちよく出かけました。当日は2時間、三好会長の司会で6人のメンバーがそれぞれの演奏を観客におくっていました。ホールいっぱいの観客は、愛光の利用生も含めてひとりひとりに長い割れんばかりの感動と感激の拍手を送っていました。

 千葉の愛光といえば創設者はあまりにも有名な加藤一郎さんです。千葉盲の盲人教頭としてならしたそうですが、当時のことを私は知りませんが、点毎在職中、公私ともにお世話になりました。会議では弱音を吐かず激論を遠慮会釈無く戦わせ、また施設では「点字校正や仕事であたり前の仕事をしていてミスをしようものなら、年功序列に関係なくそんなことではクビだ」と叱るほど厳しい人だということは有名な話です。盲大卒者で就職先がない時はそんな加藤さんに泣きついて職員にしてもらった人が3、4人います。「高橋さん、うちは就職の経由施設ではないのだから、腰掛けではもう協力はできん」と叱られたこともあります。その愛光が来年50周年を迎えるそうです。

 今度センターの顔である雑誌『視覚障害―その研究と情報』もNo.191の4月から月刊になります。新コーナーのひとつ「先達者に学び業績を知る」という欄で、このような諸先輩の姿勢・業績を皆様と共に噛みしめていくべくご紹介をしていきたいと思っておりますので、ご期待下さい。この雑誌も元をたぐれば日本ライトハウスの創設者・岩橋武夫先生の物心両面で産声を上げたものです。このことについてはまた改めて書かせていただきます。

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社会資源の無駄使いにはなりませんか

 センターでは以前からユニークな図書の製作に取り組んでおり、幸い「良書は総合センターから」という評価を受けるところまできました。そのおかげで今のところ公的な助成も受けずに、皆様のお力添えを頂きながらセンターの運営が出来ますことをとても嬉しく思い、皆様に厚く御礼申し上げます。  昨年10月15日書名『しなやかに生きる 見えない女たち』を墨字と点字で編集・出版し大好評です。今回特別にロゴス点字図書館長・橋本宗明氏に書評を頂きました。

 さてその出版の折「DAISYも製作しては」という提案がありましたが、協力委員の日本点字図書館理事長・田中徹二さんが「蔵書として日点で製作しても」という話があり、それでは、ということでセンターでの製作・発行を取り止めました。ところが新刊発売の発表をした途端「録音許諾のお願い」が来るわ来るわで、いささか嫌になりました。これまでもセンター発行図書の「録音許諾願い」はいくつかありましたが、今回のような多さではありませんし、日点が製作するということでしたからこれまでとは違って「日点でDAISYを製作するというのだから、そちらと話し合って無駄は止めては」と初めの何ヵ所かには言いました。しかし返事は「日点では選書会議にかけたりするので出来上がりは遅くなるようだし、簡単にはコピーしてもらえないようだ。うちでなら早く利用者に提供出来るのだから許可して欲しい」というようなことで、それならどうぞという了解を出し始め、今もその延長線上にあるような始末です。それは地方の図書館あり、公共図書館あり、点訳グループありで既に40以上のところから来ております。

 2月20日に日点のテープ製作担当者に電話で聞きましたら、おおよそ次のような返事でした。
「半減速は2月に4組完成させ、貸し出しを始めています。既に7人が聞き終え、目下4人に貸し出し中で、今10人が待機しております。DAISYは目下制作中です。これについては相互貸借とかコピーサービスとかは今のところしておりません。ご指摘のように社会的資源の無駄使いと言われればその通りかもしれませんが、現実には施設間の資質の問題もありますので、今後検討しなければならないと思っています。出版社や著者からもよく言われ、改善する方向でいます」

 大手の日本点字図書館としてもっとリーダー的役割を果たしてもいいのではないかと、ファンの一人として私は思います。たとえば書庫の問題もあるのかもしれませんがたったの4組の製作ではなく、もっと先を見通した本数を作るべきではないでしょうか。

 ついでに点字書の重複について私の知る範囲でお話ししておきます。点毎で点字書を手がけていた頃、1タイトルで50セット売れれば御の字、それ以上出ればベストセラーだと言っていました。今は10セット以上出れば点字のベストセラーと言えるほどに買い手は少なくなっていると思います。その頃ももちろん社員の人件費などはコストに組み込んでいません。センターでも点字書の定価を設定する場合、人件費を入れますと今でも高額だと言われている点字書はもっともっと高いものになること間違いなしです。センターでは『新版 社会福祉士養成講座』全118巻『改訂 介護支援専門員基本テキスト』42巻『国家公務員T種U種過去3年間の出題と正解』40巻前後『2005年度版教員採用試験V精解シリーズ』20巻、と取り組んでいますが、これらの大作をどこかが重複製作しているというのは絶対にありえないことです。ただ、センターでも「是非読んで欲しい本」を入力することも多々あり、『バカの壁』などは活字出版されてから1ヶ月以内で点字化したほどです。この本に限らず、ほとんどの図書は点字出版施設で教科書など例外を除いて採算割れです。ですから重複出版は絶対に避けようということで出版事務局は苦労をしています。その後、点字図書館との調整も行い、「点字出版されている物は点訳しない。出来ればそれを購入してもらいたい」という申し合わせもしています。これらの紳士協定を破るのがボランティア(とんでもない間違いであって欲しいですが)だと言われています。センターにも「点訳を頼まれていて、その読み方が判らないから教えて欲しい」という電話や手紙が時折来ます。「少なくとも点字出版書を買われた方がきれいですよ」というのですが「頼まれましたし、してあげたいし」で結局は入力されるようです。先ほどテープのところでも申し上げましたが、出版社も著者もさみだれ的な問い合わせには困っているそうですが、センターでも同じ思いをしております。

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交通事故の恐ろしさと不便さに思う

 最近は特に目や耳を覆いたくなるような事故や事件が増えています。したがってそれに巻き込まれるケースも多いように思います。私は職員やチャレンジ利用者に対して「事故に遭わないように、また、遭わせないように」と注意していますが、これだけは自分自身の努力だけではどうにもならないということを、あらためて実感しました。家内がタクシーに乗っていて玉突き衝突に遭いました。すでに3ヶ月近く経って、傷の跡も薄れて痛々しさも随分なくなったので、皆様にご心配をおかけするようなこともないだろうと思い、私的なことですが紙面を拝借しましたのでご了承下さい。

 家内はセンターの仕事を辞めさせていただいてからは、毎日よほどのことがない限り3時に、センターの2階「チャレンジ」にお手伝いに来て下さっている皆様と利用者ら合わせて20人あまりの人に、お茶とお菓子をお出しするささやかなことをしています。皆様の中にはセンター開設以来、十数年来て下さっている人も多数おられます。家内がそんなことで昨年12月17日から現在も休んでいる関係上、時折「奥様はどうして来られないのですか?」などと聞かれるボランティアもおられるそうです。職員には「ちょっとお休みしております」とだけ答えるように指示しています。私は4階にいるか出かけているかですから、この辺で事実をお話しておいた方が失礼にならないと思ってのことです。  私は2ヶ月に一度、阿佐谷の河北病院内科で検診を受けており、その付き添いを家内に頼んでおります。家内はタクシー利用は好みませんが私は大好きです。病院はバスと電車を乗り継いで往復1時間ほどですが、タクシーですと拾う時間を含めても往復40分足らず。病院の待ち時間を入れても2時間程度センターを空けるだけですみます。

 12月17日(水)午後2時半の予約でしたから、2時近くにセンターを出て車を拾い、私のパターンである、家内は運転席の後ろになる奥に座り、私は暑がり寒がりのわがまま者ですから冷暖房が直に当たる助手席の後ろに座ります。
 ご承知の方もおられると思いますが、青梅街道から中杉通りに左折しなければならないところがあります。前を走っていたトラックが止まり、自然タクシーも止まったかと思う間もなく、後ろからドスーンと車にぶつかる音と同時に私は前のめりになったところへ、タクシーが前のトラックにドーンとぶつかり、上体は後ろに戻って、その瞬間天井に頭をぶつけたような気がしました。私には車が瞬間浮き上がったような感じがしました。今それを正確に説明しようと思っても、当時、気が動転していて全く出来ません。

 家内がどこの時点でか「指が折れたみたいで、痛くて我慢が出来ない。眼鏡も飛んで唇も打って歯が痛い」と、普段は私より何倍も我慢強い家内が悲痛な声を上げて叫びました。ダブって運転手さんも「ぶつけられた。お客さん、指は折れたんですか」と驚き、困ったような声で問いかけてきました。そして「料金は結構です」と付け加えられたのには呆れ返り「そんなことを言っている時ではない。痛いんだから早く救急車を呼んで下さい」と語気を強くして訴えました。運転手さんは窓を開けて「お客さんが怪我をしている。早く救急車とパトカーを呼んでくれ」と怒鳴っていました。結局家内は運転席に額と唇と手をぶつけたのだと思います。

 まもなく、ぶつけたという乗用車の主が来て「余所見をしていて衝突しました。本当にすみませんでした」と謝っていましたが、私たちは「とんでもないことだけれど、それより早く病院へ」と再度、語気を強くして訴えました。多分その後、前のトラックの運転手さんのところに行き、戻って来て「奥様すみません」と何度も繰り返していましたが、「すみませんではすまないわよ、痛いんだし、主人は病院に行かなくちゃいけないんだし」と怒りをぶつけると「そんなことを言われても……」と開き直ったような返事が戻ってきて、私たちは「非常識も甚だしい」と言っているところへパトカーと救急車がやってきました。いったん外に出て、警察から事情聴取を受けたあと救急車に乗りましたが、そこでも入れ替わりたち替わり来る人に同じことを訊かれますので、当たり散らした訳ではありませんが「家内の痛いのと私の検診の予約もあるので、早く河北へ行ってくれるように」と頼んだものです。

 家内は左手の薬指第二関節を中心に親指を除いた4本が骨折して、ギブスを当てました。眼鏡は壊れ前歯に傷が入り、今も歯医者に通っています。ギブスはひと月足らずで外れ、リハビリで通院していますが今のところ握力はまったくなく、それはいずれ戻るのでしょうが薬指だけは幾分曲がったままになるそうです。家内には悪いのですが「不幸中の幸いで、左の指の骨折で終わったからいいものの、これがもっと大きなけがだったらと思うとぞっとしますし、病院行きでなければ必ず女子職員が一緒でしたので、心身共に一生当事者と共に苦しまなければならなかった」としょっちゅう再々話しております。

 特に家内は年末年始、大阪の我が家に戻り、娘ら家族と餅つきをして正月料理を食べ、のんびりしようと早くから往復の新幹線指定席まで取っていたのに、と悔やむことしきりです。したがって帰ってもなんにも出来ない上に通院もあるから、ということで、東京で質素な毎日を過ごしました。右手だけの調理はしれたものですから、洗い物など片付けも大したことではありませんが、ギブスが取れるまで私の担当でした。ギブスを外してからはリハビリだから、といって私は失業しました。

 事故当日、加害者から「すべての保険に入っていますからご心配はありません」という意味のことを聞きましたが、今に至っても当事者の痛さと精神的ショック、不便さ不自由さのどれほどのことをカバーできる保険かは、ぶつかったことのない私たちには判りませんが、少なくとも保険(お金とすれば)だけでは償えるものではない、ということを日に日に強く持つようになりました。それを補えるとすれば「心」と「誠意」しか今のところ考えられないのではないでしょうか。

 お金にしても、私たちは眼鏡だけはということでそれぞれ15、6万円の物(分不相応かも)を使っていますが、保険では5万円までしか認められないそうです。それを「ぜいたくだ」で片付けられるものでしょうか。通院も、タクシーは使わないでバスと電車で、それも安い方で請求して下さい、という始末です。

 今回初めて遭遇した交通事故で感じたことを率直に申し上げますと、まず加害者はセンターから徒歩で30分前後の所にご夫妻で住まわれています。大手メーカーにお勤めだったとかで、71歳で当日は新車に乗っておられ、助手席でシートベルトを締めていた奥様も救急車で運ばれましたが、幸い大したケガはなかったそうです。12月21日に果物を持ってご夫妻がお詫びとお見舞いで来られたきりで、2月17日の電話までまったく音沙汰が無く、保険会社に任せてあるとはいえ、あまりの誠意のなさに驚いています。ご夫妻が来られた時、私は「不幸中の幸いで、家内が元通りになるまでどれほどの日数がかかるかもしれないけれど、手の骨折で終わったことは助かりました。しかしこれが家内でなく女子職員だったら、あなた方より私が責任を取らなければならない。しかしその取りようさえ想像できない恐ろしさです」。また家内は「年末年始、大阪で子供たちを呼んで餅つきをしたり、ごちそうを作って食べたりしようと以前から楽しみにしていたのに、これではそれも出来ない。普段の食事の支度や、目の不自由な忙しい主人になおさら負担がかかり、お手伝いさんでも頼まなくてはと思っているほど。どうぞお年なんだから金輪際、車を運転しないで下さい」などと言ったものですから、もしかして聞くのも辛いということで電話も二月かけてこられなかったのかもしれません。

 またタクシー会社も被害者なのでしょうが、『お客を安全に届ける』ということからすれば「手前の方に落ち度は無かったにせよ……」という挨拶ぐらいはあってしかるべきだと思います。
 保険会社も、加害者の代理人として初めから電話で処理していこう、という対応にはぬくもりがないように思います。

 次に警察ですが、病院に行く前にも何人もの人が同じ事を聞き、治療後は2時間ほど当事者を拘束して色々聞きながら、後はどう処理されつつあるのかまったく知らされていません。私の不勉強もあるのでしょうが2月17日、当時の担当者に電話をしましたら「業務上過失傷害と道路交通法違反で書類を作成して東京地方検察庁に送っています。不備があれば聞くこともありますがもう警察の手は離れています」ということでした。

 このような慌ただしい時代、それも規則にいずれもかなった流れなのかも知れませんが、被害者としては不信感が残るような気がしてなりません。しかしなんと言っても家内で、軽くてすんだということは良かったと思わなくてはならないのかも知れません。皆さん、脅すつもりではなく、この時代、他人事とは思わずに注意だけは怠らないようにして下さることを、重ねてお願いして失礼をします。

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講演会・チャリティバザー開催のお知らせ

三上 奈美恵

 来る4月17日(土)の午後1時より、阿佐谷地域区民センター(第4、5集会室/第1和室)にて講演会とチャリティバザー(後援:杉並区)を開催いたします。

 「言葉と心のバリアフリーは実現できるか」をテーマに、昨年、当センターが視覚障害者を激励するために創設した「チャレンジ賞」「サフラン賞」の第1回受賞者である、渡邊 岳氏(安西・外井法律事務所 勤務)、高橋 玲子氏(株式会社トミー 勤務)のお二方に講演していただくことになりました。仕事や社会活動に関するお話を中心に、視覚障害があっても一般社会で働くことができるということをご自身の実体験などを交えてお話していただきます。また、テーマにもある共生、バリアフリーに対する考え方についても触れていただく予定です。

 社会でご活躍されているお二方のお話は、同じ視覚障害のある方にとっては大いなる激励となり、就労意欲をもたせるきっかけになるものと思われますし、晴眼者にとっては視覚障害への理解が深まることにつながるものと期待されます。

 今回は講演会と並行して、初めて視覚障害者支援のためのチャリティバザーも行います。皆様からお送りいただいたバザー用品(衣料品・日用品)を多数出品するほか、センターおなじみのチャリティ商品である「道産子どんセット」「絵はがき(小山 千鶴子さん作)」「くまタオル(中井 優さん作)」や視覚障害関連書籍の展示販売などを予定しています。なお、ご不明な点につきましてはセンターまでお問い合わせください。

 「広報すぎなみ」(3/21号)でもこの講演会・バザー開催について掲載いたしましたが、センターでは地域に根ざした活動を目指しております。お近くにお住まいの方がいらっしゃいましたら、ぜひお声かけください。もちろんどなたでも参加できます(参加無料)。この講演会に関心をお寄せいただいた方、チャリティバザーにご興味のある方、大歓迎です。

職員一同、皆様のお越しを心よりお待ちしております。

講演会「言葉と心のバリアフリーは実現できるか」
/チャリティバザーの開催(後援 杉並区)

日時:平成16年4月17日(土) 12時30分〜17時30分
場所:阿佐谷地域区民センター(JR阿佐ヶ谷駅南口より徒歩2分)
講演会会場:第4、5集会室
バザー会場:第1和室
スケジュール(予定)
   13:00 〜 14:00  高橋 玲子氏 講演
   14:00 〜 14:30  質疑応答
   14:30 〜 15:00  (休憩)
   15:00 〜 16:00  渡邊 岳氏 講演
   16:00 〜 16:30  質疑応答
   16:30 〜 17:00  (休憩)
★12:30 〜 17:30  チャリティバザー

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「チャレンジ」では新規通所者を募集しています

「チャレンジ」代表補佐 加藤 みさ子

 「チャレンジ」は1998年5月「視覚障害者就労訓練施設」として開所しました。 開所時は公的助成を受けることなく、3名の訓練生でスタートしましたが、1999年7月には、杉並区からの助成を受けることとなり、利用者も9名に増員して視覚障害者授産施設「チャレンジ」として新しいスタートを切ったのです。それとともに、「チャレンジ」を「点字校正施設」として実現させるべく「点字校正」が主力授産科目に位置づけられました。これには、視覚障害者の雇用の場を拡大していきたいという理事長の熱い思いが込められているのです。

 そして21世紀を目前にした、2000年10月、「チャレンジ」は「小規模通所授産施設」として東京都の認可を受け、身体障害者福祉法に定める第1種社会福祉施設として、障害者福祉における社会的役割の一翼を担うことになったのです。

 さらに2004年4月からは、小規模通所授産施設の定員の上限である19名まで定員を拡大することとなり、それに伴い新規通所者を募集することになりました。

 主な作業科目は点字校正業務を中心に点字印刷、その他の軽作業です。通所の要件は、

1.杉並区内在住あるいは東京都内在住者で、18歳以上の方
2.点字の読み書きとパソコン操作のできる方、または点字印刷などの軽作業に耐えうる方
3.身体障害者手帳所持者(障害の種別は問いません)
4.介助なしで自立して通所できる方

 「チャレンジ」はJR・地下鉄荻窪駅からバス5分の、交通の便のよい場所にあります。開所時間は月〜金曜日の9:00〜17:00。土・日曜祝祭日休所。通所にかかる交通費は実費支給。給食費の支給があります。携わった作業に応じて1ヶ月ごとに工賃をお支払いします。詳細は「チャレンジ」にお問い合わせください。

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立体コピー機購入費を助成していただきました

尾田 真弓

 支援センターにとって待望の、コニカミノルタ社製「立体コピー機と現像機」が2月18日(水)に届きました。ここでその報告をさせていただきます。

 立体コピーは、特殊紙にコピーをとり、それに熱を加えることで黒い部分が浮き上がるというもので、視覚障害者に触って理解してもらえることから、私どもでは主に点字図書の図に利用しています。約10年前の機種を大切に使用させていただいておりましたが、ここ1、2年は月に何度か修理を頼むときもあったほど故障も多く、画質も粗く、点の膨らみも弱くなってきていたことから、何とか新しい機械の導入を…と考えていました。

 高橋理事長も言うように我々のような小規模零細施設では、購入費を自費でまかなうことが厳しい状況です。そこでなんとかこの触図用立体コピー機の重要性を理解していただけないかと思い1年ほど前から考えておりましたが、日頃からお世話になっております(財)東京メソニック協会様より助成をしていただけるとの決定をいただきました。

 新しい機械を実際に使用してみると、「チャレンジ」の利用者からも、「紙送りのスピードが速くなった」「以前と紙の質が変わったと思うほど点字がきれいに出る」など驚き、喜びの声が聞かれます。ユーザーの皆さまにより上質の点図を提供できることを職員も嬉しく思っております。

 最後になりましたが、今回立体コピー機導入に関しお世話になりました(財)東京メソニック協会事務局長 竹中様、(社福)中央共同募金会様、コニカミノルタテクノ東京(株)大屋様、岩崎様に紙上ではありますがあらためて感謝し、これから大いにこの機械を活用させていただくことで、お世話になったことへのお返しを少しずつしてまいりたいと思っております。ありがとうございました。

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『しなやかに生きる 見えない女たち』についての雑感

特別寄稿 ロゴス点字図書館長 橋本宗明

 本書を通読し、同輩(同じ視覚障害者)としては、ふむふむ、さもありなんと受け止めることができる。しかしこれを初めて読まれる世上の方にとっては、しかるべき新鮮さが残るものと予想する。
 幸福へのメッセージと題し、序をお書き下さった澤地久枝先生がこの辺を鮮やかに言い得ておられる。

――つよい人間の絆と、うしろ向きの繰り言には無縁の生き方にふれたからである。――

 無気力と屈折と放縦の中に限りなく沈殿している一部の若者達の生き方のなかにあって、本書に登場する人々は、その精神のまともなダイナミズムにおいてまさに希有である。
 では何故彼女達は、生きることについてこのようにピュアーでありえたのか(それは無垢(イノセント)と言ってもよいくらいだが)。
 私は、視覚障害が――その苦しみが――、彼女達の魂を浄化したからだと考えている。浄化された魂だけが、生きることを透明に見据えることが出来るからだ。(まともな意志はまともな認識を生み出す。彼女達にあっては意志と認識は既にひとつの周波数に乗っているのだ。)
 とにかく、生きることに関心のある方にはこうした構えで生きている人がいるのだということを知っていただく意味で、御一読をお奨めする。

 全編を総括して言えることは、本書は極めて新鮮な生活レポートであり、汗と涙の奮戦記である。
 全体の縦糸としては、結婚(出産・子育て)と、職業、そして命(障害)のリレーである。いずれも視覚障害者の生活にとっては、底なし沼のように重い。筆者達はこれとがっぷり四つに取り組んでいる。もうひとつ、横糸は、家族をも含んだ周りの人々の協力と、家族と一体化している盲導犬と既に体の一部になっているパソコンである。この横糸のおかげで、本書に明るさとはずみが生まれた。
 以下、印象に残ったところをひろってみる。

1 子育て(57P)
"傍らに連れてこられた娘に触れ、
「よく頑張ったね。これから、よろしくね」
とあいさつをすると嬉しい気持ちがこみ上げてきました。"

 「こんにちは赤ちゃん」という歌が流行った。あの歌の新鮮さはどこから来たか? 戦前の倫理観では親と子は上下の支配関係にあった。しかし「こんにちは赤ちゃん」にはそれがない。ここには既にお互い一人の人間としての対等な関係が前提されている。  巷の一全盲女性の生活感覚の中に、こうした戦後デモクラシーがここまで定着していたことに私は強い印象を持った。

2 命(障害)のリレー(56P)
"できることなら元気で生まれてきて欲しいと願うと同時に、たとえ障害を持って生まれてきても愛情と責任を持ってしっかり育てていこう…(中略)…そう思えるのは、障害を持つ私のことを愛し育ててくれた両親や家族のおかげなのです。"

 出生前診断による重度障害児殺しの似非ヒューマニズムの議論が声高である。本書の筆者達は素朴な直感的知恵で、この誤謬を一蹴している。ちなみに産科の医者は、胎児をおろすことを冷たく肯定するケースが多い。しかし小児科の医者は決してそうではない。どんな子どもであれ、その子を軸にした親子関係、そして家族関係のなかに限りない充実がありうることを見ているのだ。

3 パソコン(29、36P)
"パソコンや電子メールの普及によってやり方によっては独力でこなせる仕事がものすごく増えたことだと思います。…(中略)…パソコン通信を使ってトレンドに関する新聞記事や話題を集めて掲示したり…(中略)…電子化された辞書や資料をノートパソコンに入れて上手に駆使すれば、難しい会議であっても困ることはほとんどありません。"

 彼女達が時代の申し子であり、溌剌と生きていることを私はしみじみ感じる。編集者が『しなやかに』というネーミングにこだわるのもこの辺に淵源があるものと邪推している。

おわりに
 とにかくこの汗と涙の奮戦記が貴方の生き方を問い直すきっかけになることを願い、心を込めて御一読をお奨めします。

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第12回養成講座を終えて

三上 奈美恵

 ご報告が大変遅くなってしまいましたが、昨年9月末から3ヶ月にわたって開催してまいりました「第12回専門点訳者実践養成講座」が12月20日(土)をもって無事終了いたしました。

 5月よりお問い合わせいただくなど早くから皆様より関心をお寄せいただいた本講座ですが、詳細が決定するまでに時間がかかり、開講直前の受講生募集となりました。今回は「株式会社 福祉施設共済会」より高額の助成をいただき、例年の「日本語基礎」「理数」「音楽」3講座に「点訳実践」を加えた4講座を開講することができました。「理数」は慶應義塾大学講師の田中 仁さん、「日本語基礎」は千葉県で点字・点訳講座の講師をされている、点字技能師の飯田 三つ男さんに講師を依頼し、「音楽」「点訳実践」はセンター職員の坂巻 明子、橋本 京子がそれぞれ担当いたしました。点字初学者の方から点訳歴20年の大ベテランの方までたくさんの方にお申し込みいただき、「日本語基礎」10名、「理数」6名、「音楽」4名、「点訳実践A」11名、「点訳実践B」10名の延べ41名の方が受講されました。受講生の皆様は非常に熱心で、講座後も講師に質問する姿を何度も目にしました。

 今回初の試みとなりました「点訳実践」は各5回の講座を2グループに分けて実施しました。点訳歴のある方を対象に、センターでの点訳方法に関する解説のほか、元日本点字委員会会長の阿佐 博先生、関東地区点字研究会会長の小林 一弘先生、「理数」の田中 仁先生をお招きし、なかなかお話を伺うことのできない先生方から直接、講義を受けられる機会を設けました。会場となりましたセンターの会議室が窮屈に思えるほど、毎回出席率は高く、点訳にかける受講生の皆様の気迫が大いに感じられる講座となりました。

 お忙しいなか講師としてご協力いただきました諸先生方をはじめ、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

 養成講座終了後も、更なるステップアップをされている方々がたくさんいらっしゃいます。「日本語基礎」受講生の方は通信講座の「日本語応用」に進まれていますし、「理数」受講生の皆様は2ヶ月に1回ペースで田中先生を交えて自主的に勉強会をされております。「点訳実践」受講生の方には早速点訳を依頼し、即戦力としてセンターにお力添えいただいております。どうぞこれからも受講生の皆様のご支援ご協力をお願い申し上げます。

 なお、専門点訳者実践養成講座の受講を希望されていても日程的、地理的に受講が難しい方には、センターの通信講座をお勧めしております。現在、「日本語基礎」「日本語応用」「英語」「音楽」の4講座を開講しています。詳細については担当の「尾田 真弓」までお問い合わせください。

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「点字技能講習会」の開催〜点字校正技能向上を目指して

「チャレンジ」代表補佐 加藤 みさ子

 「チャレンジ」の通所者募集の記事でもお伝えしましたように「チャレンジ」の主要授産科目は点字図書出版に関わる業務です。「チャレンジ」では、定期的に点字知識の習得、技能の向上につとめています。そのかいもあり、昨年末には、職員、利用者それぞれ1名が「点字技能検定試験」に合格を果たしました。これによって視覚障害者支援総合センターでは「点字技能師」が4名となり、全国でもトップクラスの数の「点字技能師」を擁する施設となりました。

 そこで「チャレンジ」では点字技能のいっそうの向上を目指して2月14・21・28日の3回にわたって点字技能講習会を行いました。今回の講習会には講師として視覚障害者総合支援センターちば(旧・千葉点字図書館)の副館長で、点字校正業務の第一人者でおられる高橋恵子さん、また東京都視覚障害者生活支援センターで長らく視覚障害者職能訓練にたずさわってこられた山口和彦さんをゲストにお迎えして行われました。土曜日で、しかも任意参加ながら在籍利用者15名のうち13名と職員5名が参加しました。

 講習会で最も時間が費やされたのが、同音異義語や固有名詞など漢字の読み方、「ますあけ」「分かち書き」等の問題でした。これらは点訳あるいは校正にたずさわる人なら誰もが直面する問題です。「ますあけ」「分かち書き」等は点字技能の専門性がもっとも問われるものだけに、講習会は「点訳のてびき 第3版 Q&A」をテキストとしながら、ひとつひとつの事例を高橋先生と受講生がともに考え、検討していくという実戦的なスタイルで進行していきました。質疑応答では高橋先生と受講者との間で熱い議論が交わされるなど、実に有意義な講習会となりました。

 今回の講習会により「チャレンジ」の利用者は「点字」の奥深さをあらためて実感するとともに、点字技能向上の意欲がかき立てられたようです。

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小学校訪問

三上 奈美恵

 2月12日(木)に杉並区立高井戸第三小学校を訪問しました。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、現在、小学4年生の国語の教科書に大島 健甫さんが点字について書かれた「手と心で読む」というタイトルの文章が載っています。もちろん学校の先生が授業をされるのですが、一般的にそう馴染みのない点字や視覚障害者のことは先生だけでは対応しきれない、ということでセンターへ授業の依頼がまいりました。昨年秋、杉並区立杉森中学校でアイマスク体験をさせていただいたときの学校教育コーディネーターの方を通じてのお話でした。

 教科書では同じ単元で点字と手話についてそれぞれ取り上げており、授業後、子どもたちがグループに分かれて興味のあるものについてテーマを決め、調べ始めているということでした。そのうち、今回は小学4年生の2クラスの授業として、点字に関することや視覚障害者について子どもたちの疑問に答えてほしいという要望があり、伺うこととなりました。小学生の前で話をするのは初めてでしたので、子どもたちがどんなことを知りたいと思い、どこまで理解してもらえるのか、準備をするにもまったくの手さぐり状態。そこで、事前に感想や疑問を書いていただき、それをもとに教材作成など準備を進めました。その際、理事長や先輩職員をはじめ「チャレンジ」利用生にも授業をする際のアドバイスやヒントをもらいました。

 当日は、実物を目で見て触ってもらった方がより関心をもってもらえるのではないかと考え、理事長の案による点字50音一覧表のほか、白杖や点字器、点字本、小学生向けの視覚障害者に関する本などを持って行きました。高井戸第三小学校では4年生が児童数の一番少ない学年ということでした(1組:24名、2組:25名の計49名)。4年生は素直で一番元気があり、授業もきちんと聞いてくれると伺ってはおりましたが、何分、話をする私の方が素人ですのでどうなることやら……という不安を抱きながら教壇に立ちました。

 穴埋めの教材を使い、子どもたちからの疑問に答えるQ&A方式で授業を行い、希望のあった点字の構成についても説明しました。ローマ字を知っていると説明をしやすいのですが、当然4年生ではまだ習っていません。ゲーム感覚でまずア行を覚えてもらい、ほかの行も同じ要領で覚えてもらいましたが、時間に制約がありましたので基本の基本のみで終了となりました。

 すでにグループに分かれて細かいことも調べているせいか、私が話をしたことについても子どもたちはよく知っていました。何で調べたのか尋ねると「インターネット」という回答。小学生からあたり前のようにインターネットを利用する時代なのだと実感しました。子どもたちは私の問いかけに対して声を返してくれるなどその都度反応を示してくれるので、話をする側としては助かりました。

 ここまで書くと、さも成功したかのように思われるかもしれませんが、授業の中身としては時間が押してしまい、先生方をはじめ児童の皆さんにご迷惑をおかけしました。限られた時間内でいかに収めるかということが一番の反省点であり、今後の課題です。

 とはいえ、今回の経験を通してぜひまたこうしたチャンスがほしいという気持ちが強くなりました。話をさせていただく機会を得ると、聞いてくださる方に合わせた準備をします。試行錯誤の連続で難しい面もありますが、それが楽しくもあり、何より自分自身にとって勉強になります。私が小学生の頃は点字を知らなかったように思います。今回、話を聞いてくださった子どもさんたちのうち何人かでも、これをきっかけに点字や視覚障害者に興味をもっていただければこれほど嬉しいことはありません。

 今回は3・4時間目の授業におじゃましたのですが、授業終了後、給食の時間までご一緒させてもらえることになりました。給食も美味しかったですし、何より子どもたちと一緒に楽しい時間を過ごすことができました。昼休みに懐中点字器で一生懸命に(読みと書きでは点の配列が左右逆となるので混乱してしまうことが多いのに!)点字で「ありがとうございました」と打ってくれた子どもさんもいて、本当に嬉しかったです。高井戸第三小学校4年生の皆さん、こちらこそ本当にありがとうございました。

 最後となりましたが、教育コーディネーターの井村さんには打ち合わせのために何度もセンターへ足を運んでいただいた上、ご自身も小学校などで授業をされている経験からたくさんのアドバイスをいただきました。お世話になりました関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

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メキシコシティーの視覚障害者

事務局長補佐 高橋 和哉

 年末年始に、世界遺跡にも登録されているティオティワカンに行きたくて、メキシコに渡りました。その旅の途中で出逢った話です。

 年の瀬の昼下がり、僕は、飲みかけのコロナビールを前に、通りを行き交う人を眺めていた。ソンブレロをかぶった親父や、楽器をかついだマリアッチ集団、短パン姿のどこから見てもアメリカ人観光客などなど、行き交う人々には皆、笑顔がこぼれていた。そこに、一人のメキシコ人とおぼしき、青年が通りがかった。彼も同様に笑顔を絶やさずに。
 僕の体にアルコールがまわっていたこと、彼が余りに自然だったこともあって、思わず見過ごすところだったが、彼の右腕には白杖がメトロノームのように踊っていた。彼は視覚障害者だった。

 僕は、海外に出るといつも、街中を歩き回って、視覚障害者に対するインフラを観察する。日本より整備された(ブロック上に自転車が置かれる現実に目をつぶれば)街にいまだかつて、出会ったことはない。

 ここメキシコシティーはけた外れだった。歩道と車道の高低さが50cm程度あるのがざらで、歩道を歩いていて交差点にさしかかると車道に「ひょい!」と飛び下りなければならない。その逆は、「よいしょ!」と上がらなければならない。交差点があるたびに、踏み台昇降をするようなもの。また、その歩道が軒先の建物がかわる度に、段差ができるわ、ぽっかりと大きな穴があると思えば、その下はごう音を轟かせて地下鉄が走っていたり……
 メキシコシティーは、人口2000万人を抱え、東京をはるかに凌ぐ大都会。障害者も多いはず。視覚障害者も多いはず。僕は、彼等に同情すると同時に少し、悲しくなった。

 でも、たった今、僕の目の前を確かに、白杖を持った一人の青年が通りかかった。残りのビールを飲み干し、店を飛び出した。視覚障害者だから、そんなに早く歩けないだろうとたかをくくっていたのだが、どこまで行っても彼の姿が見つからない。100m程、歩き回ったが、見つからず、諦めた。

 することもないから、コロナを飲みに戻った。その途中で、彼がこちらに向かって歩いてきた。どこで追いこしたのか、それとも彼はどこかの店に入っていたのか。とにかく今度こそ、逃してはならない、と彼の後ろ5m程度離れて歩いた。交差点に差し掛かった時、そのへんに座っていたホームレスと思しき子供が、すっと彼の手を引いた。二人は知り合いのように話しながら、交差点をわたり終えると、別れた。彼は一人で歩き始め、少し行くと、また、道行く人が彼と並んで歩いた。仲良く話して歩いていたのだが、手引きした人と行きたい方向が違ったので、別れた。彼はまた、一人で歩き出した。その後、次また次、と彼を手引きする人が現れては消え、歩道の難所をクリアしていった。結局、その青年は目的地であろうバスステーションに辿り着いた。

 結局、僕はまたコロナを飲みに戻った。その店で、先ほどの出来事を考えた。「初めは知り合いの子供がたまたま彼を見つけて、手引きしたのだと思ったが、その後も次々と手引きする人が、彼の知り合いであるわけでなく、全ての人は、ただの通りすがりの人だったのだろう。」でも、手引きする側、される側が、友達のように、並んで歩んでいる姿を思い返して、メキシコ人の心の豊かさを見た。

 きっと、ひと昔前の日本もそうだったと思う。私たち晴眼者にとっても、道路上に理不尽な障害物があった。だから、当然のように障害者に手を貸して、一緒に歩いていたのだと思います。
 経済発展の恩恵で障害者に対してのインフラ整備も進んでいます。その整備の結果、悲しいことに、私たち晴眼者の無謀な自転車走行に繋がり、点字ブロック上の駐輪増加に繋がって、歩行者のための歩道なのに安心して歩けません。
 結局、日本という国は、お金をかけてバリアを再構築しています。インフラ整備も大切ですが、もっと大切な整備が必要じゃないかなと、お天道様の下、ビール片手に考えました。

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カナダサマーキャンプのご案内

 視覚障害者支援総合センターが後援しているサマーキャンプの日程が決まりましたのでお知らせいたします。

 JTB海外旅行虎ノ門支店では毎年、夏休みに「盲学校の生徒のための海外体験カナダサマーキャンプと文化交流」を開催させていただいております。
 1995年の第1回目から数えて今年は記念すべき第10回目の開催となります。ご参加の皆様がより一層充実した海外体験を楽しめる企画をさせていただく所存です。

 企画の詳細につきましては4月上旬頃、皆様のお手元に募集のパンフレットをご送付させていただく予定です。是非ともご一読の上、ご参加いただきますようよろしくお願い申し上げます。

参加資格

盲学校生徒様、及び付き添いの方、盲学校ご出身の方

予定スケジュール

2004年8月7日(金)〜8月15日(土) 9日間

訪問国

カナダ(バンクーバー)

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