[戻る][ホームページに戻る]

2005年12月7日発行 第50号 社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター

支援センターだより

皆さまへ

理事長 高橋 実

 11月1日は点字記念日ですが、センターの社会福祉法人認可の10年目にもあたります。最近あまり使われなくなった言葉「来年のことをいうと鬼が笑う」ではありませんが、来年の11月11日(土)午後、新装なった杉並公会堂で、センター発足20周年、法人認可10周年を記念してのチャリティコンサートを開くべく、準備を始めています。その中で第3回チャレンジ賞を受賞された川畠成道さんのヴァイオリン演奏をお願いしております。ご期待ください。また夕方からケットをお買い求めいただくことにしておりますので、その売りさばきにもご協力くださるようお願い致します。

 10月、文部科学省で盲学校用点字教科書中学の入札がありました。18年度かは同じ公会堂に設けられたグランサロンで、第4回チャレンジ賞ならびにサフラン賞贈呈式と祝賀会を開くことも決めております。いずれも詳しくは順次ご報告しますので、ぜひお力添えください。コンサートは2000円のチら使用の8教科で、センターは国語と社会の地理を落札できました。参考までに申し上げますと、社会の歴史と英語、理科の1分野と2分野はいずれも東京点字出版所、社会の公民は日本点字図書館、数学は日本ライトハウスが落札しました。そのほかセンターではこれまで同様、普通中学校に学ぶ視覚障害生徒の5教科もお引き受けすることにしています。

 その教科書にまつわる行事が点字記念日にあわせて開かれました。いささか長ったらしい名前ですが、全国盲学校生徒点字教科書問題改善促進協議会の50周年を機に、1955年に立ち返って語り合おうというものです。午後1時から8時過ぎまで、北は青森から南は福岡までの各地から当時の学生が50人集まって、回顧談で熱気に満ちていました。月刊『視覚障害――その研究と情報』の11月号で特集していますが、読むだけでも今の私に元気を与えてくれます。そもそもは普通校で失明した学生が附属盲に移って「教科書が整備されておらず、あっても普通校ではまったく使われていない古い教科書では勉強ができない」という思いを披瀝したことに、この運動は盛り上がりました。「せめて一揃えの点字教科書を!」「墨字教科書との価格差補償を!」というスローガンを掲げて附属盲の生徒会が立ち上がり、それが瞬く間に全国の盲学校に広がったことに改めて考えさせられました。

 その運動がマスコミや行政、国会などを動かし、一定の成果を納め短期間で収束しました。筆者の竹村さんが特集の中で、「この運動に注がれた、生徒たちの意気込みとその爆発的なエネルギーは、おそらく空前絶後と言っていいだろう」と書いておられます。翌年には就学奨励費が高等部にも適用され、最小限の教科書が無料で支給されるようになり、40年近くたって「価格差補償」も実現しておリます。そして、昨年後期分から「普通学校に学ぶ視覚障害児童・生徒の教科書」も国の責任で提供されるようになりました。今の時代はなおさらのこと、「声をあげる」ということの大事さを私たちは再認識しなければならないと思います。

 いつも思い、実行しているつもりですが、私は1954年大学進学以来、学習権保障を関係者や周辺に訴え、協力を呼びかけてきました。1986年点字毎日退職後上京して、それまで本業の傍ら続けていました大学の門戸解放や学習支援などを軸に取り組み、センター直属といっては語弊があり失礼な言葉になるのかもしれませが、まず手掛けたことは、全国でも初めての専門点訳者実践養成講座を開講しました。点訳者の実力は予想通りでだんだんに大学生のニーズにも応えられる人が出てきたことと、当時の富士記念財団が「盲大学生点訳介助事業」をスタートしてくださり、学生個々の満足度をずいぶん満たせるようになってきたと思います。

 専門点訳はその教科に精通していて、正確・迅速に入力してもらえればニーズに応えられました。しかし、小中学校の教科書、とくに普通学校に学ぶ視覚障害児童・生徒の教科書製作となると、精通していて正確・迅速であればできるというものではありません。その児童・生徒の点字の能力と理解度、教師や保護者、支援者の精通度などが勘案されての教科書でなければならないわけです。したがってセンターで関係する職員はもとより、センターを支援してくださっている支える会員、全国でそれに携わってくださる人たちに少しでも喜ばれ役に立つような教科書作りに取り組むことができればと、中央共同募金会の助成を受けて、これでもか、これでもかといった感じで、毎年講師に専門家をお願いして勉強会を開催している次第です。センターとしても盲学校の著作本は専門家である先生方の編集で製作しておりますが、検定本は必ずしもそうではありません。これからも事情の許される限り、機会を捕らえ教科書のノウハウを皆様とともに学んでいきたいと思っている今日この頃です。

 センターで継続事業として16年度から「競い合い、助け合う コンサート――羽ばたけ視覚障害音楽家たち」を年3ヵ所の予定で開いています。詳しいことは担当の松浦がご報告していますのでここではふれません。

 去る11月23日、東京へレン・ケラー協会主催の第55回へレン・ケラー記念音楽コンクールに出かけました。審査員は4人中、ヴァイオリニストの和波孝@さんとチェンバロやパイプオルガン奏者で有名な武久源造さんのお2人が視覚障害者でした。参加者はピアノ22人、ヴァイオリン3人、フルート2人、声楽6人、合唱1団体で、10時から休憩を除いて5時までプログラムはビッチリ詰まっていました。和波さんは8年ぶりに審査員を務められ、奥さんの土屋美寧子さんのピアノと共に特別演奏もされました。出場者に対する思いや感想などを月刊『視覚障害――その研究と情報』新年号に書いていただくことにしております。ぜひお読みください。和波さんは第6回の器楽の部第1位・特賞、武久さんは第17回のピアノの部で第1位をそれぞれ受賞しておられます。

 今回のコンクールのヴァイオリン部門に名古屋盲中学3年の稲葉涼さんが2位に入りました。彼は、去る2月5日の「in 名古屋」に出演されました。コンクールと同じ、J.S.バッハ作曲、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調から「シャコンヌ」でした。お断りするまでもなく、私はこの世界にも門外漢ですが、一緒に出かけていた松浦に「名古屋の時よりも生き生きしているよう」と話したほどです。和波さんの講評でも年齢からして難しい曲を選びすぎているのではないかという前置きで細かい注意がありました。和波さん、武久さん共に審査講評で「見えないがゆえに陥りやすいこと」として、いくつかの事柄を指摘しておられました。私は観客300人と共に出場者の演奏よりも重く受け止めた言葉でした。音楽を職業とするか趣味とするかはともかくとして、若い人たちがいろいろなチャンスで目指すものに挑戦して、貴重なサジェッションを体感していくことを期待しています。そのような意味からもコンサートを継続していきたいと願っています。ただ、日自振の助成を受けながらも制約が年々厳しく、センターにとっての自己負担が多くなり、私の執念が持ちこたえられるかどうかです。ぜひ皆様のお知恵とお力をお借りしたく、切にお願い申し上げる次第です。

[目次に戻る][「センターだより」トップページへ戻る]

競い合い、助け合う コンサート−羽ばたけ視覚障害音楽家たち−
コンサートと講演会のご案内

松浦 実希

 センター主催事業として、昨年度から日本自転車振興会の補助をいただき開催しております「競い合い、助け合う コンサート」の札幌会場のご報告と福岡・東京会場のご案内をさせていただきます。

 第1弾の札幌コンサートは、10月20日(木)札幌市教育文化会館小ホールで開催され、平日にも関わらず多くのお客様に来ていただき、温かい拍手と声援で会場は大変盛り上がりました。スーパーエンドルフィンのバンド音楽で華々しく幕を開け、楊雪元さんの奏でる中国笛のめずらしい音色、中学生の池田サラジェーンさんのかわいらしくすがすがしい歌声、音楽療法士としてご活躍されている樋口清美さんの興味深いお話、ウットリ聞き入ってしまう筒井裕子さんのヴァイオリンなど盛りだくさんの内容でした。来てくださったお客様も出演者の方と一体となって演奏しているような雰囲気を作り出し、舞台裏で控えていた私にとってもとてもよい思い出になりました。また何より地元を中心とした実行委員の方々に運営・進行のお力添えをいただいたおかげで盛会に開催できましたこと、この場をお借りして深く感謝申し上げます。

 第2弾の福岡会場は日にちが迫っておりますが、12月13日(火)福岡市市民福祉プラザふくふくホールで開催いたします。こちらはクラシック、ジャズ、邦楽など幅広いジャンルで、これから羽ばたく若い演奏者から第一線でプロとして活躍されているベテランの先生が出演します。お近くの方はぜひ足をお運びいただき、温かいご声援を送っていただければと思います。

 最後を締めくくります東京会場は、1月7日(土)セシオン杉並ホールで開催いたします。当法人の役員として長年ご尽力いただきました故星伊久江先生がご指導されていたコーラスグループのコール・トゥインクルスターのみなさんに特別出演していただきます。東京会場のみ入場料2000円が必要ですので、チケットのお買い求めについては下記をご覧下さい。またチラシ配布にご協力くださる方、チケットのお預かりをしてくださる方も歓迎いたしますので、担当の松浦までご連絡いただければ幸いです。

★in福岡

2005年12月13日(火) 16:30開場 17:30開演
福岡市市民福祉プラザふくふくホール〈入場無料〉
福岡市中央区荒戸3-3-39 TEL 092-731-2929

第1部
ヴァイオリン:飯嶋 輪  ピアノ:葉山 悠子
 F.ドルドラ作曲 カルメン幻想曲
 F.クライスラー作曲 プレリュードとアレグロ(プニャーニ風)
ソプラノ:澤田 理絵  ピアノ:山ア 実予子
 E.デラックア作曲 ヴィラネル
 O.レスピーギ作曲 ストルネッロを歌う女
 P.マスカーニ作曲 アヴェマリア
 G.ヴェルディ作曲 ああ、そはかの人か 歌劇「椿姫」より

第2部
筝:岡崎 勝美
 宮城道雄作曲 手事1楽章、衛兵の交代、三つの遊び
ジャズピアノ:豊田 隆博
 V.ヤング作曲 ステラ バイ スターライト
 H.アーレン作曲 オーバー ザ レインボー
 豊田隆博作曲 フェアウェル

第3部
講演と演奏:安武 慶吉(筝・三弦奏者)
「盲人音楽家として生きていく上において何が一番大切か」

★in東京

2006年1月7日(土) 17:00開場 18:00開演
セシオン杉並ホール  入場料 2000円〈全席自由〉
杉並区梅里1-22-32 TEL 03-3317-6611

第1部
ソプラノ:澤田 理絵  ピアノ:山ア 実予子
 G.ヴェルディ作曲 ああ、そはかの人か 歌劇「椿姫」より ほか
ヴァイオリン・パーカッション:穴澤 雄介  ピアノ:安保 万美
 A.ピアソラ作曲 リベルタンゴ
 J.S.バッハ作曲 G線上のアリア
 P.プラード作曲 マンボbT
 V.モンティ作曲 チャールダーシュ

第2部
女声合唱:コール・トゥインクルスター  ピアノ:長澤 晴浩
 金井直作詞 岩河三郎作曲  木琴
 岩河三郎編曲  三つの汽車の歌
 森山良子作詞 BEGIN作曲 森友紀編曲  涙そうそう
 亀浦芳孝作詞 新垣壬敏作曲  若い心
 中山知子作詞 ワーグナー作曲 三善晃編曲 タンホイザー行進曲
 大木惇夫作詞 佐藤眞作曲  大地讃頌

第3部
講演と演奏:塩谷 靖子  ピアノ:坂巻 明子
 「演奏家として、視覚障害者であることのプラス面とマイナス面」
 独唱:アメイジング・グレイス(アメリカン・メロディ) ほか

<出演者プロフィール>

■飯嶋 輪(いいじま りん):1984 年熊本市生まれ。第50 回全日本盲学生音楽コンクール弦楽器部門第1位。2002年熊本県高等学校器楽コンクール弦楽器部門金賞。附属盲専攻科音楽科2年在学中。
■澤田 理絵(さわだ りえ):1974年北九州市生まれ。武蔵野音大声楽学科卒業。1996年「第22回愛のステージ」にて最優秀賞受賞しデビュー。オペラの舞台や宗教曲のソリストをはじめ、国内外で幅広いコンサート活動を展開。2005年9月サフラン賞受賞。
■岡崎 勝美(おかざき かつみ):1969年鹿児島市生まれ。附属盲高等部時代に宮城会全国筝曲コンクール(一般の部)第1位。現在、鹿児島県筝曲会昌絃会、宮城会紫桐会に所属。
■豊田 隆博(とよだ たかひろ):1950年熊本市生まれ。大阪府立盲音楽専攻科卒業後ジャズに転向、プロとして活動中。ライブハウス、コンサート、ジャズ祭、小・中・高等で講演の傍ら後進の指導にあたる。
■安武 慶吉(やすたけ けいきち):1936 年福岡市生まれ。1968年(財)日本当道音楽会より検校の位を受ける。日盲連音楽家協議会副会長、福岡三曲協会理事を歴任。
■穴澤 雄介(あなざわ ゆうすけ):1975年千葉県生まれ。これまで4枚のCDアルバムをリリースし、様々な楽器の演奏や作曲の他、トークやパフォーマンスにも力を注ぎエンターテイナーとしても活躍中。
■コール・トゥインクルスター:1983年1月結成、同10月第1回星伊久江リサイタルで初舞台、以降21回チャリティコンサートで共演。これまでもセンター主催のチャリティコンサートに出演。
■塩谷 靖子(しおのや のぶこ):1943年東京都生まれ。42歳で声楽を始める。東京文化会館での2度のリサイタルの他、多数の演奏会にソロ出演。第7回「太陽カンツォーネコンコルソ」(クラシック部門)第1位、第4回「全日本ソリストコンテスト」入賞をはじめ多数受賞。

[目次に戻る][「センターだより」トップページへ戻る]

第14回「専門点訳者実践養成講座」(後期) 概要

尾田 真弓

主催:社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター

本講座は杉並区の後援と社会福祉法人中央共同募金会からの助成を受けて実施いたします。

1.目的

視覚障害学生ならびに専門職にチャレンジする方、専門職に従事する方たちのテキスト、学術書、参考書、専門書等を正確かつ迅速に点訳する点訳者の養成を行います。

2.受講者の義務

1.「視覚障害者支援総合センターを支える会」の会員、もしくはこれから入会しようという方であること。会費は年間一口5千円以上(支える会会則参照)。これから入会される方は事前にお振込みいただくか、もしくは開講式にご持参ください。詳細につきましては今回応募要項を請求いただいた方に、併せてお送りいたしますので、ご確認ください。
2.A受講者は期間中、やむを得ない事由を除き欠席しないこと。

3.会場

社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター 会議室

4.実施期間

2006年1月14日(土)〜3月24日(金)

5.開講式

本講座の開講式を1月14日(土)9時半開場で10時より開催いたします。会場は未定(杉並区内の公的施設を予定)です。開講式の他、一般の方も参加できる講演会を行います。講師に、日本点字技能師協会理事長・込山光廣さんをお迎えして『点字の資質向上だけを目指した技能師ではない』(仮題)と題してお話しいただきます。会場にて、視覚障害関連の書籍等の展示即売も行います。受講者には決定通知とともに地図をお送りいたします。

6.講座の内容

後期は、「日本語基礎」「日本語応用」「教科書点訳」の3講座を開講します。詳しくは応募要項をご請求の上、ご確認ください。

《日本語基礎》
講  師:飯田 三つ男(視覚障害者支援総合センター職員 点字技能師)
日  時:火曜日 午前10:00〜12:00(全10回、1回2時間)
会  場:当センター 4階会議室
受講要件:点字をマスターしようとする方で、受講修了後に通信教育の応用編に進むことを原則とする。初心者歓迎。
内  容:数字、アルファベットを含む日本語点字の読み方書き方を、基礎から指導します。
教  材:点字器、点字用紙、『点字表記法2001年版』『点訳のてびき第3版』『点字表記辞典改訂新版』。

《日本語応用》
講  師:坂巻 明子(視覚障害者支援総合センター職員 点字技能師)
日  時:金曜日 午後13:30〜15:30(全10回、1回2時間)
会  場:当センター 4階会議室
受講要件:点訳の基礎を学ばれた方で、パソコン点訳をはじめている方。今後支援センターの点訳を引き受けようという意志のある方。
内  容:小説などの読み物だけでなく、図や表を含む一般書の実践に活かせる点訳のしかたを指導します。
テキスト:未定。

《教科書点訳》
 文系、理系、図・表の3分野を開講します。

講  師:文系  依頼中
     理系  依頼中
     図・表 加藤 俊和氏(京都ライトハウス 情報ステーション所長)
日  時:未定
会  場:未定(杉並区内の公的施設の予定)
費  用:支える会会員は無料。
会員以外で「教科書点訳」講座を受講希望の方は1講座1000円
受講要件:点訳本をつくった方で、今後教科書点訳に携わる意志のある方。
内  容:点字による盲学校ならびに普通校に学ぶ視覚障害児童生徒の教 科書の作り方、考え方。

7.定員

「日本語基礎」は15名以内、「日本語応用」は10名以内、「教科書点訳」は各30〜50名とします。

8.申込方法・締切

まずは応募要項を、担当 松浦 実希まで電話、FAX、Eメール等でご請求ください。
申込みは申込書の先着順とします。申込書に必要事項をご記入の上、郵送またはFAXにて1月6日(金)までに(必着)当センターへお送りください。

9.受講者の決定

定員をオーバーしない限り、締切りまでに申し込まれた全員に1月7日(土)以降に郵送にてご連絡いたします。
 受講者には原則として1月14日(土)に行われる開講式に出席していただきますので、ご了承ください。

10.受講料

無料。ただし、「日本語基礎」「日本語応用」の2講座はテキストなど教材は実費。各講座テキストのほか、受講希望者で『点字表記辞典 改訂新版』『日本点字表記法 2001年版』『点訳のてびき 第3版』を持ち合わせていない方につきましては、開講式もしくは開講日にご購入ください。
支える会会員以外の方は「教科書点訳」の参加料は開講日にご準備ください。

11.お問合せ先

「点字をマスターして近い将来点訳者としてセンターの戦力として活動したい」というご希望のある方で遠方にお住まいの方、もしくは日程の調整がつかない方には、点字通信教育制度(日本語基礎、日本語応用、英語、音楽)も設けておりますので、お申し出ください。
 また、本講座ならびに通信教育についてご不明な点がございましたら、各担当までお問い合わせください。
 (養成講座担当 松浦 実希、通信教育担当 伊瀬 飛鳥)

社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター
〒167-0043 東京都杉並区上荻2-37-10 Keiビル
TEL:03-5310-5051   FAX:03-5310-5053
E-mail:mail@siencenter.or.jp
http://www.siencenter.or.jp/

[目次に戻る][「センターだより」トップページへ戻る]

第3回 チャレンジ賞・サフラン賞 受賞者決定のご報告

三上 奈美恵

 前号でご案内いたしましたように、去る9月7日(水)に第3回チャレンジ賞・サフラン賞の受賞者を決定する選考委員会が開催されました。選考委員全員出席の下、慎重に審議がなされ、候補者の中からチャレンジ賞にヴァイオリニストの川畠成道さん(33)、サフラン賞にソプラノの澤田理絵さん(31)の受賞が全会一致で決定いたしました。

 川畠さんは1998年のデビュー以来、国際的なヴァイオリニストとしてご活躍されています。国内外での演奏活動に加え、昨年より「福祉関連施設訪問プロジェクト 川畠成道 〜生命(いのち)の輝き〜」をスタートさせ、全国の病院や学校・高齢者施設をはじめ、災害被災地などでも音楽を通じたチャリティー活動を行っていることが高く評価されました。

 澤田さんもソプラノ歌手として国内外で広く演奏活動をされています。1996年日本チャリティー協会主催の第22回 愛のステージにてその歌声が高く評価され、三笠宮寛人親王妃杯最優秀賞を受賞し、同年デビュー。その後結婚し、二児の母となった今でも年間60本余りのコンサートに出演されています。また、来年の夏にはイタリアへ留学されるなど更なる飛躍が期待されます。

 受賞者のお二人につきましては、月刊『視覚障害――その研究と情報』(川畠さんはNo.209、澤田さんはNo.207)の「今を走る」のコーナーでもご紹介しております。ぜひご覧ください。

 この二つの賞は財団法人 東京サフランホーム(2003年3月解散)とKGS株式会社より多大なご支援をいただき、2003年に当センターが創設しました。関係者の皆様のお力添えに心より感謝申し上げ、ご報告にかえさせていただきます。

 なお、チャレンジ賞・サフラン賞の贈呈式ならびに祝賀会は10月28日(金)に行いました。贈呈式では川畠さん・澤田さんお二人の演奏もあり、これまでより一層華やかな式典となりました。(贈呈式の模様は、10月29日付け毎日新聞朝刊社会面にも掲載されました。)当日の模様につきましては坂巻明子よりご報告いたします。

[目次に戻る][「センターだより」トップページへ戻る]

今羽ばたく二人の演奏家

坂巻 明子

 10月28日(金)、午後6時から9時まで、第3回チャレンジ賞並びにサフラン賞贈呈式を中国料理「東信閣」で行いました。チャレンジ賞にバイオリニストの川畠成道さん、サフラン賞にソプラノの澤田理絵さんが選ばれ、お2人に当センター理事長高橋から賞状と賞金50万円が、KGSの榑松社長から副賞としてブレイルメモ16が手渡されました。

 喜びとお礼の気持ちをお2人にトークと演奏で表していただき、出席者60名近くに勇気と感動を与えてくれました。ホールのような響きの良い条件の場所ではなかったこと、ピアノが無いことなどといった悪条件の中でしたが、川畑さんはJ.S.バッハの「シャコンヌ」を芯のある透き通った響きで各声部を大切にしながら演奏されており、澤田さんは無伴奏で「オー ソレ ミオ」を歌ってイタリアらしい明るくオレンジ色の雰囲気をしっかり出しており、それぞれに堂々としてみごとでした。

 また、トークの中で川畑さんは「世界で活躍できる演奏家としてこれからも勉強を続けていきたい」と話されており、澤田さんは「今回の賞金は来年イタリアで勉強することが決まっているので、そこに当てたい」という喜びを語っていました。人前で演奏していくには、いろいろな人からの評価を受け取り、レッスンを受けることが大切で、それによって演奏が成長し、自分らしいスタイルが確率してくるのだろうと改めて実感しました。

 今回の出席者は点字出版施設関係者や報道関係者、そしてセンター職員等でした。1人1人に一言ずつ挨拶をいただきました。その中には、お2人の演奏を聴いたことがあるという人が数多くおられ、またこの場で演奏依頼をしている方まであり、素晴らしいことだと感じました。

 この先もお2人は沢山のステージがあるとのこと、さらに羽ばたいて欲しいと思いますし、澤田さんは来年1月7日に、川畑さんには来年11月11日に、それぞれセンターが主催する東京でのコンサートに出演していただくことが決まっています。そのときにはさらに豊かな演奏をしてくれることでしょう。

 また、川畑さんは7枚目のCD「四季」をリリースし、澤田さんは「心に残る歌」をはじめ、やはり何枚かのCDをリリースしています。生演奏と共にCDでも良い音楽を皆さんに聞いていただきたいと思っています。

[目次に戻る][「センターだより」トップページへ戻る]

専門点訳者実践養成講座(前期)報告

尾田 真弓

 前号で概要をお知らせいたしました第14回専門点訳者実践養成講座(前期)も、多くの皆さまに受講いただき、残すところ2週間となりました。少し早いですが前期の講座の様子をご報告させていただきます。

 10月15日午前、あんさんぶる荻窪にて、前期開講式を行いました。受講者のうち30数名、一般参加者数名、総勢40名強の参加をいただきました。講師の宇都宮市立陽東中学校教諭 南沢 創先生には、生い立ちから教師を目指すに至った経緯、教員に採用されるまで、赴任後の実際の授業の様子や周りの教師・子どもたちとのやりとり等を詳しくお話しいただきました。盲学校時代の釣り堀での点訳者との偶然の出会い、その人から点字楽譜を教わったことが南沢さんの現在の教師という職業に就く過程に大きく深く関わっているのだと感じました。理事長が日頃話している「点字の読み書きをできるようになることが、勉強・就職等何をするにもまず大事だ」という話を地でいく人だなあと思いました。聴く人を引き込む独特のお話しに、あっという間にすぎた1時間でした。

 日本語基礎講座は受講者10名で、センター職員の飯田 三つ男(点字技能師)が講師で、毎週月曜午後2時間・全10回の講座です。毎回出される宿題をこなしながら、初めて学ぶ点字の楽しさと難しさを皆さん感じてくださっているように思います。

 英語基礎講座は受講者7名、英語応用講座は受講者9名で、長野にお住まいの立教大学・明治大学講師 堀越 喜晴先生に水曜の丸1日おつきあいいただいております。基礎は「略字・略語を使ってこそ身に付いていく」という先生のお考えで、3回のうちに基本を終え残り3回で実践というハイスピードな講座です。応用は6回の中で1冊の本を分担して点訳し、それを読み合わせながら略字の使い方等を話し合って仕上げるという、じっくり取り組む講座です。英語の発音美しくパワフルな先生と、それに負けないくらいパワフルな応用受講者、静かな中にも意欲を感じる基礎受講者、水曜のセンター会議室はとてもにぎやかです。

 教科書点訳講座は、昨年後期に「特別講座」として開講し好評を得ましたことや、特に必要性を求める声が多いことから、今回は支える会会員に限らず関東近郊の施設等にも広く参加を呼びかけました。3講座のべ92名に受講いただきました。実数は47名で、うち16名は3講座を受講、13名が2講座受講、1講座のみ受講が18名でした。

 10月23日の理系講座は受講者24名で、筑波大学附属盲学校教諭 高村 明良先生をお迎えしました。理系というと私は苦手意識を感じてしまいがちですが、先生の整然と優しく話される口調に助けられました。見ることと触ることのそれぞれのメリット、どんな点訳を心がけたいか、一般書と教科書との違いは等といった考え方、また附属盲で実際にされている牛の目の解剖(触察するのに牛の目が大きさも触りやすくていいのだそうです)の授業のこと等もお話しいただきました。盲学校用算数の教科書の例も示していただきました。「見てわかるものを、触ってわかるものにするのが点訳。ただ写すのではなく、人の気持ちを大事にしたい」という言葉が私には印象的でした。

 10月24日の図・表講座は受講者37名で、京都ライトハウス情報ステーション所長 加藤 俊和先生をお迎えしました。統合教育においては先生が説明される可能性からも原本忠実がいいこともあることや、教育的意味・配慮をする必要性、視覚による情報と触察の特徴等をお話ししていただきました。実際の図も準備していただき、細かな点の使い方や簡略化の仕方など実践例もお話しいただきました。私自身は「何でも記号化するよりも、読んでいる手が前の頁・行に戻らないような本が美しい点字書と言えるのではないか」というお話しが今の仕事と結びついて考えさせられました。

 10月28日の文系講座は受講者31名で、筑波大学附属盲学校教諭 原田 早苗先生をお迎えしました。附属盲での普通校に学ぶ中学生の学習支援の取り組みを披露していただき、学校や担当の先生に理解してもらう必要性と難しさ等、また国語の教科書を例に具体的な実践例もお話しいただきました。「かわいそうという気持ちが結果的に教育の機会を奪ってしまうこともある。盲学校と統合教育では、指導法は違っても指導の本質は同じはず」という言葉に納得させられました。

 3講座とも、丸1日、教科書を点訳することの考え方から具体的な実践例までと内容も幅広く、レジュメもお話しもそれぞれに充実した講座でした。受講者それぞれに課題を持ち帰って今後の点訳実践に活かしていただけましたら、この教科書点訳講座も本当に成功といえるのではないでしょうか。

 会員の皆さまには、会場を申し込む時期とこのセンターだより発行との日にちの都合で、例年のようにきちんとした要項を掲載できず、予定だけを載せ、要項をあらためて請求していただくような形となり申し訳ありませんでした。そのようなことも含め、講座を受講された方は受講の感想や今後の要望なども含め、都合で受講できなかった方も、担当の尾田までご意見をいただけましたら幸いです。今後の開催の参考とさせていただきます。

 最後になりましたが、本講座開催にあたりご協力いただきました講師の皆さま、ご助成いただきました社会福祉法人 中央共同募金会様、この講座の趣旨をご理解くださり本当にありがとうございました。紙面をかりまして御礼申し上げます。

[目次に戻る][「センターだより」トップページへ戻る]

2団体より谷合先生の著作を寄贈!

三上 奈美恵

 好評につき、1989年発行の谷合 侑先生の著作『視覚障害者(児)の教育・職業・福祉――その歴史と現状』が大幅に改訂され、各分野の最新資料を多数掲載した『視覚障害者の教育・職業・福祉』として今年5月に発行されました。

 谷合先生からのご紹介で、2つの団体より前述の書籍をご購入いただいた上、学校へ寄贈してくださるというお申し出をいただき、8月29日(月)にインターナショナル八王子東京パイロットクラブ(代表 糠信 和代様)、9月26日(月)には虹の会(代表 斎藤 利恵様)の代表者の方たちが当センターへお越しくださいました。理事長の高橋より感謝状を贈らせていただき、その後皆様でセンター内を見学されました。

 インターナショナル八王子東京パイロットクラブから46冊を八王子市内にある高校・短大・大学へ、虹の会からは70冊を全国の盲学校へ寄贈していただきました。

 この紙面をもちまして、2団体の皆様、谷合先生にお礼申し上げます。ありがとうございました。

 本書は、専門家はもちろんのこと、視覚障害者の現状等を広く知っていただくためにもより多くの方々にご購読いただきたいと思っております。そのほかセンター発行の活字書籍の目録をご希望の方は、担当までご連絡ください。(活字書籍担当:松浦)

[目次に戻る][「センターだより」トップページへ戻る]

「2006年 チャレンジ カレンダー」

事務局長補佐 高橋 和哉

 お陰さまで、昨年のカレンダーが国内のみならず、国外(ヨーロッパ)でも評価されました。ということは、今年は期待されて、プレッシャーを受けます。そのプレッシャーは、製作初期の段階でチャレンジ利用者を加えることにより、克服しました。

 昨年の評価の大きな要因は、題材が新鮮であったことです。今回の題材の「花」はありきたりのものです。この題材で勝負するには、辛いものがありました。具体化する段階で困り果ててしまいました。

 また、昨年の反省点は、モノトーンで色彩が暗く、シンプルすぎたことです。これは評価と表裏一体のものとして考えられます。アートとして認められても、売れなければ意味がないので、大きな反省点の一つでした。今回はこのこだわりは捨て、貪欲に売上一本に絞っています。

 当センターも20年経過しようとしています。企業寿命ですと、青年期を過ぎて壮年期に差し掛かっています。長いスパンで物事を考えないと、経営的にも立ち行かなくなります。当センターのような小規模の集団は、フットワークが軽いという長所があります。それを活かして、常に前を向いて新しいことに取り組みつづけなければ、存在意義もないし、活路も見出せません。

 昨年度の成果が今年実ったこととして、完成前からホテルを始めとして、2500部近い注文があります(11月25日現在)。今年の成果は来年に現れます。今年も支える会の皆様には12月中に1部お届けいたしますので、2007年のカレンダーもどうかよろしくお願いします。

 なお、今年のカレンダー作製は徹底的に経費削減を図っていますので、出品費用がかかる展示会などは控える予定です。

[目次に戻る][「センターだより」トップページへ戻る]

むくげ会に参加して

チャレンジ利用者 堀野 誠

 利用者の堀野です。今年の春頃からむくげ会の例会に参加しています。
 きっかけは、今年の初めに施設長の飯田さんから、「点訳グループに出てみるのも勉強になると思うが、むくげ会に出てみないか」と勧められたことでした。

 むくげ会は、昭和58年8月24日に発足して以来センターの本を中心に点訳活動をしているそうです。センターからの本の他には2ヶ月に1回発行の「やなぎくぼ」なども手がけているそうです。現在、11名で活動しています。

 私がむくげ会に初めて参加したのは、今年の2月か3月で、これまでに6、7回出たと思います。
 最初はどうなることかと思いました。はたして何か役に立てるのだろうかと思いましたが、実際に出てみると皆さんにはあたたかく迎えてもらえたようだし、時々は役に立っているみたいでホッとしています。

 むくげ会の例会は、毎月1回、中頃か終わり頃の土曜日にあります。午後1時半から始まり、4時過ぎに終わります。1度5時過ぎまでかかったことがありましたが、その時は写真の説明の仕方や書き方の形式のことで決めるのに時間がかかったのでした。
 例会は、私がいるからといって特別に運営するわけでもなく、いつもの通りにやっているのです。このことは私にとってとても嬉しいことです。
 例会中は私が口を開くことはとても少ないのですが、1回か2回は話す機会が回ってきます。その時ははっきりと答えを出すようにしています。私が答える事柄は、主に写真説明をどこまでするか、しない方がいいかということだったり、見出しのレイアウトだったりです。レイアウトのことは苦手なんですが……。分かち書きのことは、ほとんどUさんが判断してくれるので黙っていて大丈夫です。

 私が心がけていることは、1回か2回まわってくるその時に「どうしよう」とか「分かりません」という答えはしないようにしています。たとえ分からなくても分からないなりに答えだけは出すようにしています。それが校正者の使命だと思うのです。

 むくげ会に出ているととても懐かしい気分になります。なぜなら、前に石川県にいた頃かかわっていたグループととても似ているからです。正確に言うと石川県側がむくげ会に似ているのです。とても賑やかなこと、3時頃のお茶の時にはOさん手作りのお菓子が出ること、点訳の他に小学校からの依頼を受けて点字を指導しにいくことなどです。

 こうして点訳の現場に顔を出していると、点訳は一種のチームプレーで、それぞれ信頼関係で成り立っているのだと思います。その主役は入力者であり、校正者は目立ってはいけないと思います。校正者と入力者とどっちが偉いかと問われれば迷わず入力者と答えます。あのスピードは私にはとてもできる技ではありません。
 これからも時間のある限り点訳グループの現場に参加したいと思います。

[目次に戻る][「センターだより」トップページへ戻る]

[戻る][ホームページに戻る]