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2007年4月25日発行 第6214号 社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター

支援センターだより

皆さまへ

理事長 高橋 実

 先頃、これまでの「健康保険被保険者証」と「老人保健法医療受給者証」に変えて「後期高齢者医療被保険者証」が私宅にも送られてきました。あらためて年を感じさせられた、というより自覚させられました。「後期」は「高貴」でも敬うであればまだしも、と思うのは、いささか思い上がりでしょうか。零細小規模施設としての当センターに今もって私の後継者が現れないのは、なぜでしょうか。14人中9人(女性7人)30台半ばまでの若い職員で、鍛え方によっては有望なメンバーだと自負しています。授産施設「チャレンジ」も障害者自立支援法によって振り回されているというところが真相です。仲間内で、「悪法だからそれを逆手にとって」などと頼もしいことを言っている人もいますが、これまた私にとっては難題です。高レベル・高賃金でいずれはチャンスを活用して社会に挑戦するという若者がチャレンジでも少なくなってきています。それに対象も、視覚・知的・精神・肢体(車いす)と広がっています。全ての障害に精通している指導員は、残念ながらセンターにはいません。私なども、無節操に「時代の趨勢」などと言ったり書いたりしますが、少なくとも私には合わない言葉です。

 「執念と無謀」などと言っていても、寄る年波には勝てない感じがします。支える会の中には、私の新聞社時代の人や、センターを立ち上げるために、街頭募金や新聞の記事などを見て支援してくださっている方も、たくさんおられます。また、センターに毎週お手伝いで来てくださっている方の大半もそうです。皆さんが、「足や目が弱くなって」とか「年金生活者になって」とか言われたりしますと、いろいろな意味で心が痛みます。当たり前のことと言えばそれきりですが、支える会の増減は、そのほかに、センターが繰り広げる事業の意義にあると思います。そのためにも、意外性と、魅力と、社会に貢献できるものがどれほどあるかということで、皆さんの協力がいただけるのだと思います。そういうことも思い、分不相応な仕事もできるのだと感謝しております。

 今年度の事業計画をご覧頂くとお分かりいただけると思いますが、まず新企画で「ルイ・ブライユ生誕200年記念論文とエッセイ」の公募があります。何事もそうですが、知恵とお金がまず必要です。いつもご無理を申し上げるケージーエス株式会社の榑松社長と日点の田中理事長に協力を求めてこの企画が実現したわけですが、これからもっともっと知恵とお金を生み出すことで、関係者のご協力をお願いしていかねばならないと思っています。また、継続事業ですが、「競い合う、助け合うコンサート」をきたる12月6日(土)に杉並公会堂で行いますが、今年度は1日借り切ってコンサートのほかに、チャレンジ賞とサフラン賞の贈呈式と受賞者の講演、それにできれば論文とエッセイの作品発表などもしたいと思っています。

 計画しましたすべての事業が、予想以上に成果をあげられるように、私も努力してまいりますが、皆さまの一層のご支援とご協力を切にお願い申し上げます。

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ルイ・ブライユ生誕200年記念 論文・エッセイ募集のお知らせ

輿水 辰春

 来年2009年1月4日は6点式点字の考案者であるルイ・ブライユの生誕200年記念日にあたります。当センターではケージーエス株式会社の榑松武男社長と日本点字図書館の田中徹二理事長のご協力を得まして、この記念事業として「ルイ・ブライユ生誕200年記念 論文・エッセイ」を募集します。

 テーマは「点字」とし、論文部門とエッセイ部門に分けて行ないます。審査委員長は、論文部門を牟田口辰己氏(広島大学大学院准教授)に、エッセイ部門を三田誠広氏(日本文藝家協会副理事長)に委嘱し、論文部門1編に賞金30万円、エッセイ部門5編にそれぞれ賞金3万円を贈呈します。締め切りは2008年9月末必着、その後審査を行ない、センター発行の月刊『視覚障害―その研究と情報』12月号にて受賞者を発表し、関係報道機関にも関連記事の扱いを依頼します。また、受賞作品は2009年1月号より順次『視覚障害』誌面にて掲載させていただきます。

 応募要領は以下の通りです。多くの方々のご応募をお待ちしております。

【テーマ】
論文・エッセイとも「点字」に関することで、未発表のもの。
エッセイは以下の5つのテーマの中から1つを選んでください。
「点字との出会い」
「点字にかける思い」
「生き甲斐としての点字」
「点訳ボランティアとしてできること」
「点字とわたし」
【応募資格】
日本国内に居住する15歳以上の個人。
【使用言語】
論文・エッセイともに日本語に限ります。
【原稿字数(様式)】
論文:墨字の場合1万字以内、点字の場合32マス設定で540行前後。
エッセイ:墨字の場合3千字以内、点字の場合32マス設定で160行前後。
※論文・エッセイともに、墨字はA4サイズで1ページ28文字×40行、点字はB5サイズで1ページ32マス×17行の様式でご執筆ください。また、データで応募される際には上記のレイアウトで印字したものを1部添えてください。
【提出要領】
封筒に「公募原稿在中」と明記し、当センター公募原稿係まで郵送ください。
【応募締め切り】
平成20年9月30日必着。
【審 査】
審査委員長:論文部門 牟田口辰己氏(広島大学大学院准教授)
エッセイ部門 三田誠広氏(日本文藝家協会副理事長)

 ほか、当センターの委嘱する委員で構成する選考委員会で決定します。 なお、応募いただいた原稿は原則として返却いたしません。また、作品の著作権・肖像権は当センターに帰属するものとします。お問い合わせは当センター公募原稿係(担当:輿水)まで。

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第6回チャレンジ賞・サフラン賞 候補者公募のお知らせ

輿水 辰春

 新年度を迎え、チャレンジ賞・サフラン賞の候補者公募がスタートする時節となりました。第5回の昨年は、サイバー大学准教授の中根雅文さんと筑波大学非常勤職員の青柳まゆみさんが受賞されました。

 昨年より当センターホームページで公開しておりますダウンロード可能な応募用紙を今年も提供いたします。BASE(点字)・Word・テキストの3つの様式でご用意しておりますのでご利用ください。また、これまでと同様に電話・FAX・E-mailでもお待ちしております。

 ご応募の際には、応募用紙と推薦書(墨字で1,000字程度/書式自由)をご提出いただきます。詳細は「応募要項」ならびに「応募方法について」をご覧ください。なお、ご提出いただいた応募書類につきましては、返却いたしませんのでご了承ください。お問い合わせは当センター担当の輿水まで。

 皆さまからのご応募をお待ちしております。

【名称】
「チャレンジ賞(男性)」「サフラン賞(女性)」
【対象】
視覚障害のある、いわゆる若い男女で身体障害者手帳所持者。自薦・他薦を問いませんが、職業自立して視覚障害者の文化の向上と福祉の増進に寄与しようとしている人で、気迫と体力と人間味のある人。
【選考と受賞者の決定】
選考は、当センターが委嘱した委員で構成する選考委員会でそれぞれ受賞者1人を決定し、9月末までに受賞者に通知すると共に、センター発行の月刊『視覚障害―その研究と情報』と『支援センターだより』で公表し、関係する報道機関などにも関連記事の扱いを依頼します。
【応募期間】
2008年5月1日(木)〜 8月15日(金)消印有効
【表彰】
いずれも賞状と賞金50万円、副賞KGS賞(Braille Memo BM16)を贈ります。
【贈呈式】
2008年12月6日(土)杉並公会堂にてセンターが主催するコンサートにて行ないます。
【選考委員】(50音順)
阿佐光也氏(元日本盲人キリスト教伝道協議会 主事)
榑松武男氏(KGS株式会社 代表取締役社長)
田中徹二氏(日本点字図書館 理事長)
高橋 実 (視覚障害者支援総合センター 理事長)

●これまでの受賞者は次の方々です。 (年齢・職業は受賞当時)
第1回
 チャレンジ賞   渡邊 岳さん(弁護士・36歳)
 サフラン賞    高橋玲子さん(玩具メーカー勤務・35歳)
 *サフラン特別賞 中間直子さん(三療業・40歳)
第2回
 チャレンジ賞   広瀬浩二郎さん(国立民族学博物館研究員・36歳)
 サフラン賞    三宮麻由子さん(外資系通信社勤務、エッセイスト・37歳)
第3回
 チャレンジ賞   川畠成道さん(ヴァイオリニスト・33歳)
 サフラン賞    澤田理絵さん(ソプラノ歌手・31歳)
第4回
 チャレンジ賞   南沢 創さん(公立中学校音楽教諭・33歳)
 サフラン賞    定家陽子さん(JICA勤務・35歳)
第5回
 チャレンジ賞   中根雅文さん(サイバー大学准教授・35歳)
 サフラン賞    青柳まゆみさん(筑波大学非常勤職員・33歳)

*サフラン特別賞は第1回のみ

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第17回 専門点訳者実践養成講座 開催のお知らせ

三上 奈美恵

 昨年度延べ70名の方にご参加いただきました専門点訳者実践養成講座を今年度も開催いたします。各種専門点訳の充実を図るとともに、受講者の方のニーズにできるだけお応えできるよう、基礎・応用(実践)と一部コースを分けて実施いたします。現在、本講座開講に向けて準備を進めておりますので、今回は概略のみのお知らせとさせていただきます。

 日程につきましては、8月23日(土)に開講式、原則としてその翌週から各講座を開講していく予定です(但し、特別講座ならびに「日本語応用」「外国語応用」を除く)。
 ご関心のある方は5月1日以降に電話・FAX・メールにて応募要項をご請求ください。

 要項の発送は5月中旬とさせていただきます。なお、実施にあたり日程・内容等変更する場合もございます。何卒ご了承ください。ご不明な点がございましたら、担当の三上までお問い合わせ願います。

 皆様のご参加を心よりお待ちしております。

【会場】
 当センター会議室ないしは周辺公共施設
【開講予定講座】
(1)日本語基礎(毎週火曜日午前/全15回/1回2時間/定員12名)
 対象:点字をマスターしようという方で、受講修了後に本養成講座「日本語応用」もしくは通信教育の応用編に進むことを原則とする。初心者歓迎。
 
(2)日本語応用(毎週火曜日午前/全10回/1回2時間/定員12名)
 対象:基礎講座修了者。これから点訳に携わろうという方に、点訳本を製作する上での基本事項を指導。
 
(3)実践(隔週水曜日午後/全5回/1回3時間/定員12名)
 対象:実際に点訳をされている方。図表を中心に点訳上のノウハウを指導。
 
(4)外国語基礎〔英語〕(毎週火曜日午後/全10回/1回2時間/定員12名)
 対象:日本語点字(数字・アルファベットを含む)をマスターしている方で、英語点訳を一から学びたい方。英語の略字・略語・縮語を学び、2級点字を修得する。
 
(5)外国語応用〔ドイツ語・フランス語〕(毎週火曜日午後/全5回/1回2時間/定員12名)
 対象:英語点訳に精通している方。英語以外の外国語点訳について学びたい方。
 
(6)理数(毎週金曜日午後/全10回/1回2時間/定員12名)
 対象:日本語点字(数字・アルファベットを含む)をマスターしている方で、理数点訳を学びたい方。理数点訳の初心者可。
 
(7)情報処理(未定/全5回/1回2時間/定員12名)
 対象:日本語点字(数字・アルファベットを含む)をマスターしている方で、情報処理用点字を学びたい方。
 
(8)音楽基礎(毎週火曜日午後/全10回/1回2時間/定員12名)
 対象:日本語点字(数字・アルファベットを含む)をマスターしている方で、楽譜点訳を学びたい方。楽譜点訳の初心者可。但し、中学生程度の楽譜が読めること。
 
(9)邦楽〔箏曲・三弦〕(毎週木曜日午後/全10回/1回2時間/定員10名)
 対象:日本語点字(数字・アルファベットを含む)をマスターしている方で、中学生程度の楽譜が読めること。
 
(10)特別講座 点字校正(未定/全10時間/定員50名)
 対象:点訳に携わっている方。点訳本を製作する際にはより精度の高い校正が求められる。触読校正者の立場から点字校正のポイントを教授。
 
(11)触読校正(未定/全10回/1回2時間/定員10名)
 対象:点字校正に従事している方、ないしはこれから従事しようとする方。
 
 ※「日本語基礎」終了後に「日本語応用」、「外国語基礎」終了後に「外国語応用」を実施いたします。
 
【応募要項のご請求方法】
 FAX・メールの場合には「養成講座応募要項 希望」の旨を明記の上、お名前・ご住所・お電話番号とご希望の講座がございましたらその講座名をお書き添えいただき、当センターまでお送りください。5月1日(木)より受付を開始します。

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『ニューコーラスフレンズ』と『基本地図帳』製作中

尾田 真弓

 当センターが盲学校での使用を視野に入れて現在製作を進めているのが、『ニューコーラスフレンズ』『基本地図帳』のふたつです。どちらも学齢のお子様に限らず、楽譜や地図がお好きな方々にもお読みいただける内容となっております。

 『ニューコーラスフレンズ』は音楽の副教材として使用していただけるよう、中学・高校でよく歌われる歌ばかり全51曲を収録した点字書です。旋律、歌詞、伴奏をスコアで読むことができます。

 『基本地図帳』製作については、56号でお伝えしたとおりです。再掲になりますが、大まかにみっつの特色を記します。
1.地図のテーマ・範囲・基準を明確にし、図のタイトルや緯度・経度などの付随情報をつけました。
2.情報量を精選し、中・高生に知っていてほしい内容だけを点図化しました。
3.盲学校や一般校で学ぶ視覚障害をもつ生徒の皆さんに、地図が大好きな方がたに、エンボス点字で製作しました。

 実はどちらもこの春の発売を目指しておりましたが、ただ今鋭意製作中です。楽譜も地図も思った以上に製作に時間がかかるのだということをあらためて感じながら、一日でも早くご注文いただいている多くの皆様方にお届けしたいと思っております。

 会員の皆様の中でも、この点字版『ニューコーラスフレンズ』『基本地図帳』にご興味をお持ちいただいた方、また周辺でご活用いただける方がいらっしゃいましたら、内容や購入に関するお問い合わせ等お気軽にご連絡ください。

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日本自転車振興会補助事業完了のご報告

 日本自転車振興会様より競輪の公益資金による補助金1,432,000円をいただき、下記の通り事業を完了いたしました。多くの皆さまにご来場いただき、盛会裏に終えることができましたことを、この場をお借りしご報告申し上げるとともに、深く感謝申し上げます。

1. 事業名:「平成19年度視覚障害音楽家の活動促進補助事業」
2. 事業内容:視覚障害音楽家によるコンサート「競い合い、助け合う コンサート 2007」の実施。時田直也氏(バリトン)、松田育子氏(箏)、安田知博氏(尺八)、綱川泰典氏(フルート)、塩谷靖子氏(ソプラノ)ほか、全国で音楽活動を展開する若い視覚障害音楽家を招き、平成19年12月1日、都内・杉並公会堂大ホールにて演奏会を開催。視覚障害音楽家に対する理解と支援を呼び掛けた。
3. 事業費:総額 1,915,044円
      補助金額 1,432,000円
4. 実施場所:東京都杉並区
5. 完了年月日:平成20年3月31日

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愛恵福祉支援財団様より録音機器購入資金を助成していただきました

坂本 晴代

 財団法人 愛恵福祉支援財団様よりTASCAMダブルカセットデッキ1台、OTARIデジタル録音機器DX-5U2台の購入資金を助成していただきました。

 私どもセンターでは現在、自治体の広報紙、月刊『視覚障害』の音声版を製作しています。自治体の広報誌などはテープに録音し、区内の視覚障害の方々に送り、利用していただいております。

 今まで録音媒体の主流を占めていたカセットテープは時代の流れにより減少の一途をたどり、それに伴って関連機器であるテープデッキ等は、近い将来、生産中止の可能性が出てきました。テープのみの配布であった音声版自治体広報もテープ・デジタルによる配布が多くなりデジタルとアナログ両方を提供できる環境を持たなければ自治体等の入札にも参加することの出来ない状況となりました。

 センターでもテープからデジタルへ移行しなければと、機材の買い替え等、経費の面でも検討していましたときに、財団法人 愛恵福祉支援財団様よりタイミングよくこの話をいただき、助成していただくことになりました。 早速、今回購入させていただきました新しい録音機器を使用して自治体広報紙デジタル音声版を製作いたしました。今までより音質が格段に良くなったと嬉しい感想もいただいております。

 今後もさらにより良い音声を提供できるよう、気持ちを引き締めて努力していく所存です。愛恵福祉支援財団様、本当にありがとうございました。

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『視覚障害――その研究と情報』ご購読のご案内

輿水 辰春

 当センターの主要事業の一つでもある月刊『視覚障害――その研究と情報』も、新年度を迎え、装いを新たに充実しております。

 国内外を問わず視覚障害に関わる教育・職業・福祉・文化・芸術などの分野で活動している人たちを広く、深く掘り下げたレポートや独自の取材や専門家に執筆や解説を依頼しての連載など、多種多様の誌面です。

 媒体は墨字・点字・テープ・フロッピー・メールの5媒体で、年間12冊6,000円(テープ版半減速のみ7,200円)。バックナンバー(1冊700円)の目録も頒布しておりますので、お気軽にお問い合わせください。ご購読に関するお問い合わせやお申し込みは担当の輿水まで。

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杉並区役所実習

高橋 和哉

 利用者の志村匠さんが、平成20年1月22日(火)から2月1日(金)まで9日間(2月1日は、体調不良のため、欠勤)、区役所実習を行いました。チャレンジにとっては、原美穂さんに次いで、二人目の実習生。仕事の内容は、原さんと同じように、庁内の新聞の仕分け・配布・帳合などでした。
 原さんの時は、初めての視覚障害者の受け入れということで、私は積極的に関わりましたが、今回は、二人目ですので、ほとんどのことを区の担当者に任せました。その方に書いていただきました。

志村 匠さんの区役所実習を担当して

障害者生活支援課

 1月の区役所実習には、視覚障害者施設「チャレンジ」から、志村匠さんに来ていただきました。7月に一度、同じチャレンジの視覚障害者の方(原美穂さん)の担当をしましたので、私自身の不安はあまりありませんでした。

 今回、実習準備として行ったことの一つが、エレベータへの点字シール貼りです。各階の↑↓に「上」「下」の点字表示をし、エレベータ内に数字表記をしました。区役所には西・東・中と棟が3つあり、それぞれの棟に3基のエレベータがあります。内各1基が車椅子用エレベータですが、元々点字が貼ってあるのはこの1基のみです。視覚障害者の方で車椅子を利用される方はそれほど多いとは限りませんので、本当ならばその他の2基に点字を貼って欲しいというのが当事者の方々の要望でした。この要望を受け、区役所庁舎管理係と相談し、点字シール貼りに至った訳です。「視覚障害者に対する区役所側の配慮はまだまだだなあ」と感じました。

 さて、実際に実習を開始してみると、志村さんの空間認知のよさには大変驚きました。実習の大きな仕事は、朝の新聞を各課に配布することです。新聞の枚数を数えて、各課に挨拶をしながら配布します。実習期間中毎日行うメインの仕事です。初日は職員がつきそいで説明をしながら歩きました。しかし3日目には、ほぼ一人で配布できるくらい場所を把握できていたようです。壁やエレベータの手触り、歩くときの床の感覚、人の気配、当たり前のように物事を目で見て生活している私達にとっては、想像もできないような鋭敏な感覚を持ちあわせているのだなあとつくづく感じました。私も試してみたのです。目をつぶってどこまで歩けるか、物を把握できるのか・・・そして普段いかに目に頼った生活を送っているのかを実感しました。

 志村さんには、その他に、帳合・ハガキのシールはがし・紙の組み入れ等の作業をしていただきました。一枚一枚正確に数え、シールはがしも丁寧、ミスもほとんどなく、大変丁寧な仕上がりとなりました。また大変好奇心旺盛な方で、たくさんの質問をいただきました。身の回りのこと――目が不自由な分、その他の部分がとても鋭敏なのでしょう、耳で聴いたこと、手で触ったもの、これは何なのか、どういうことなのか。知りたいという気持ちがとても大きいのだなあと感じます。

 就職をしたい・働きたいという気持ちはあるのに、なかなか思うように仕事ができないというのは、視覚障害者に限らず、とてもつらいことだと思います。やる気も能力もあるのになかなか活かせない。

 障害のない人にとって、「障害」を実感として理解するのは難しい事かもしれません。しかし想像し、感じる事は可能だと思います。多くの人が実際に障害者と接していく中で、誤解や思い込みが解けていけば、少しずつ色々な事が変化していくのではないでしょうか。

関わった実習生をはじめ、一生懸命頑張っている障害者の方々が、希望通りの道に進み、充実した生活が送れるよう心よりお祈りしています。

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ボランティア実習生 中屋敷 綾さんのこと

尾田 真弓

 最近は「ボランティアをする」ということがレポートの課題になる時代のようで、チャレンジにもぽつぽつと、ボランティア希望の視覚障害大学生から連絡があります。

 今回春休みを利用してチャレンジに通ってくださったのは、社会福祉を学んでおられる4月から大学2年生の中屋敷 綾さん。もともとは当センターが委託されている「みずほ福祉助成財団 盲学生点訳介助事業」の奨学生です。今回はそれが縁で、大学の課題のためにボランティア実習の受け入れ先を探しているという連絡をいただいて実習が決まり、3月の後半に五日間、主に点字校正作業をお願いすることになりました。

 彼女は「最近は点字を読む機会が減ってしまって…」と言いながらも、点字をかなり早く音読できていましたし、さらに読み飛ばさずに校正表をきちんとつけてくれました。その点字力に、さすがは奨学生に選ばれた方だと私も嬉しく思いました。

 中屋敷さんからは「1冊ができていくのはすごく時間がかかることを知った。句読点や記号までも合わせていくとは驚き。読み手として図書のできるまでを見ることができて、とてもよかった」と校正作業への感想をいただきました。私自身もこれまで1年間、彼女とは点訳依頼のやりとりというつながりでしたが、図書の製作過程を理解していただくことができたことはとてもよかったと感じています。

 彼女の話を聞くうちに、大学で社会福祉を学びたいと考えたのは、盲学校の先輩でチャレンジに在籍していた高山良太さんから、都職員としての就労の話を聞いたことがきっかけとなったことを知りました。チャレンジの卒業生が後輩にとってよい刺激となっていることも、職員にとってとても嬉しい話です。

 先輩の背中を見て歩む彼女を、私どもは点訳という形でこれからも応援していきたいと思っております。

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セレスティンホテル訪問

高橋 和哉

 ホテルで採用された当初(4年前)は、作業所での製作物であることを隠していました。その後、担当者との付き合いの中で、チャレンジの話をさせていただき、当施設の、ある程度の理解は得られたような気がしていました。
 都心の一等地に立地した、素晴らしい機能を持った一流ホテルに、足を運んでいたのは、私だけでした。
 手を動かして、頑張っている利用者は、私から話は聞くが、このホテルのことを知らない。またホテルの担当者も、チャレンジの話を私から聞くが、利用者にあったことがない。

 これじゃ、まずいと思い、カレンダー完成後に、ホテルのロビーで利用者とお茶をすることにしました。その話が、区役所の協力、ホテル側の協力を得て、どんどん大きくなり、区の広報カメラマン、新聞記者を携えての訪問になりました。

 贈呈式のために、カンファレンスルームを用意していただき、その際に、「部屋を見てみたい」という利用者の声があがったので、即断で、3タイプある客室を利用者に開放していただきました。今回のセレスティンホテルの対応に、感謝いたします。

 今後もチャレンジを特別な目で見るのではなく、通常の生産者と購入者の関係でお付き合いができれば、素晴らしいと思っています。

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