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2009年8月12日発行 第61号 社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター

支援センターだより

皆さまへ

理事長 高橋 実

 鬱陶しい梅雨のシーズンも沖縄県から梅雨が明け、関東地方もようやく梅雨から解放されました。梅雨がないという私のふるさと北海道は30度前後の気温だそうです。そんな中でも役所から新型インフルエンザについての連絡や指導の文書が今もしょっちゅうきています。一方の解散風も1年近く吹きっぱなしでしたが、やっと7月21日解散、8月30日投開票と決まりました。せめてその後は安定した生活が送られるような政治をしてほしいものです。総選挙では全国の20いくつかの施設がプロジェクトを組み、選挙公報の点字版と、最高裁国民審査の点字化作業が始まります。センターも夏休み返上につながりそうで、職員には申し訳ないと思っております。

 今回は私と7月との関わりについて書かせていただきます。まず私の誕生月で、昔は海の記念日だった21日です。それに良きにせよ悪しきにせよ、歴史に残るであろう衆院解散風に終止符を打ったときでもあるわけです。1954年大学進学で上京しました。諸先輩の長年のひたむきな願いがやっと実り、1949年視覚障害者の大学進学が実現しました。また同年、大先輩で日本ライトハウスの創設者である岩橋武夫氏らの「視覚障害者の中でも一握りの君たちだ。そしてそれが全国に散らばっているから自暴自棄に陥りやすい。連帯意識を高め、パイオニア精神を培っていくために、会を組織して後輩の育成と日本の社会、特に盲界の職業・教育・福祉・文化に役立つ努力をしてほしい」という強いサジェスチョンを受け、日本盲大学生会が結成されました。以後毎年7月半ば、東京と関西交互で全国盲大学生大会を開き、問題解決のための取り組みと、未来を見据えたビジョンづくりが必要だということで、付添を含めた開催地までの交通費と1泊2日の全ての経費を東西の毎日新聞社会事業団とヘレンケラー財団が負担するということまで決めてくれました。

 1954年の大会は大阪で、その年から私は執行委員に選ばれました。徹夜での会議でしたが、私は内容が難しく議論に加われないのと疲れで夜通し寝てしまい、翌朝先輩達に「君はものになるのかなあ」と言われたことだけはよく覚えております。同年は11校に16人が進学しましたので大会には40人前後の当事者が参加し、大先輩のお歴々や関係者との間で大激論の2日間でした。「大学の門戸開放拡大」「学習条件の整備」「職域の拡大」「盲学校教育のありよう」など議論は多岐にわたっていました。その秋に急逝された岩橋先生とはその折りお目にかかり、「わたしたちは君らの成長と活躍を期待しているのだから……」とかたく握手をしてくださったことを忘れることが出来ません。

 翌1955年は10人が15校に進学しましたが、これをピークに受験者が減り続けました。原因はいくつかあるでしょうが「盲大学生よ どこへ行く」とか「大学は出たけれど」とかいったことが、公然と言われたり書かれたりしていたことと、盲学校や保護者が「希望より苦悩の多い進学」に否定的であったため、当事者も安全な道を選ぶようになったのだと思います。

 1956年の7月委員長に選ばれ、1957年の7月学生の大会議長を初めて実現させ、委員長として私が大会議長を務めました。まさか、この全国盲大学生大会が最後になるとはゆめゆめ思いませんでした。1958年になって主催者側が「学生の自主性と意欲が感じられないので、全国大会は今後開かない」という通告を受け、日本盲大学生会も自然消滅してしまいました。また、私はといえば58年3月末、亡くなられた日点の本間先生と私たち夫婦で点毎の編集長に正式に採用していただきたい旨お願いしたところ「残念ながら今は点毎に定員枠が無く、当分採用は望み薄だ」と聞かされ、8年あまり追い求めていた新聞記者の夢はゆらぎました。

 就職浪人2年後の1960年、やっと希望が叶い点毎に入社して駆け出しのつらさ怖さを味わいながらも、進学者が依然として増えない、学習環境が悪い中で努力しても卒業後の就職先がなく、盲学校に再入学したり三療を開業したりで、盲学校の進路指導の中から進学の影は薄くなることに危機感を感じて、人からはエリート集団と悪口をたたかれようとも、仲間で会を作って問題解決に当たらなければと呼び掛け、1961年7月末大阪の太融寺に27人が集まり、これまた夜を徹して話し合い文月会を作りました。以後7月に関西・東海・東京と持ちまわりで例会を開き、学習即実践を繰り返しました。盲学校に対しては積極的に大学進学を進路指導に加えてくれるように要望するとともに、大学の門戸開放拡大でも1校1校に対して地道な働きかけをし、成果を収めました。職域拡大でも地方公務員・教員採用・司法試験・国家公務員など全てで点字試験を取り入れるよう、請願と陳情を国・国会・行政などに行ない、結実させました。

 1986年7月身に余る慰留を断り、若い人たちへの支援を安定させるための集大成、文月会の拠点作りなどを行なうとして、定年退職しました。3カ月後、我が家を大阪に置いたままで上京して、翌年7月待望の当センターの前身である盲学生情報センターの看板を掲げて、この7月で23年目に入りました。この間、数え切れないほどの皆さまにご支援とご協力をいただいたことか。公私ともに皆さまあってのセンターであり、私であることを実感しております。『一日の先輩として――高橋実と視覚障害者支援総合センター20年の挑戦(チャレンジ)』の姉妹編をまとめて、東京での活動に終止符を打ち、静かな余生を大阪で過ごしたいと思っている私です。本当に感謝の一語につきます。

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第7回チャレンジ賞・サフラン賞 候補者公募のお知らせ

村上 晴香

 4月よりセンターで募集を行なってきましたチャレンジ賞・サフラン賞の候補者公募の締め切りが8月15日(土)に迫っております。

 当センターホームページにて応募用紙がダウンロードできます。@BSE(点字)AWordBテキストの3つの様式でご用意しておりますので、ご利用下さい。また、電話・FAX・E-mailでのご応募、お問い合わせもお待ちしております。

 ご応募の際には、応募用紙と推薦文(墨字で1,000字程度)をご提出いただきます。詳細につきましては「応募要項」ならびに「応募方法について」をご覧ください。なお、ご提出いただきました応募書類につきましては返却いたしませんのでご了承下さい。ご不明な点などにつきましては、担当の村上までお尋ねください。皆様のご応募をお待ちしております。

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石川倉次生誕150年記念エッセイ、締め切りまであとわずか!

輿水 辰春

 フランスで生まれた点字を日本点字に翻案した“日本点字の父”石川倉次の生誕150年を記念し、ケージーエス株式会社の榑松武男代表取締役社長にご協力いただいてセンターが募集している記念エッセイも、8月15日(必着)の締め切りまであとわずかになりました。

 春から募集している今年の公募企画は、昨年と同様に、出だしの応募状況こそ芳しくなかったものの、7月に入ってからはこちらに届く作品も徐々に増えてまいりました。問い合わせの電話は毎日のようにあります。昨年より締め切り日が早くなっておりますので、くれぐれもご注意ください。

 詳しい応募要項はこちらに掲載しておりますので、ご確認のうえ、ご執筆・ご応募ください。その他、お問い合わせは公募エッセイ担当の輿水まで。

 なお、昨年募集した「ルイ・ブライユ生誕200年記念論文・エッセイ」の優秀作17編を収めた『ルイ・ブライユ生誕200年記念作品集』も好評発売中です。併載しましたQ&A集「点字エクササイズ63」も人気で、たくさんの反響の声をいただいております。墨字版1,500円(税込・送料別)、点字版全2巻8,000円(価格差保障あり)です。記念の年に、是非お求めください。

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「競い合い、助け合う コンサート2009」開催について

村上 晴香

 財団法人JKA(旧・日本自転車振興会)の助成を受けましてセンターが主催しております「競い合い、助け合う コンサート2009――羽ばたけ視覚障害音楽家たち」の準備を今年も進めております。より多くの皆さまに会場へ足をお運びいただき、視覚障害音楽家の方々の演奏に耳を傾け、理解とお力添えをお願いしたいと思っております。

 会場は当センターがあります杉並区荻窪の杉並公会堂大ホール、日時は11月14日(土)12時半開場、13時半開演となっております。以下の6組の方々にご出演いただき、終演は16時頃を予定しております。

 チラシは点字・墨字とも完成しました。チケットは8月1日発売開始です。センターで購入できるほか、昨年と同じく、杉並公会堂、電子チケットぴあ、ファミリーマートやサークルK・サンクスで購入できます。詳しくはセンターまでお問い合わせください。

 入場料は全席自由3,000円。そして、これは以前から考えていたことですが、若い方に視覚障害音楽家の存在を知っていただき、支援と応援の輪を広げたいという願いから、2,000円の学生券を用意しました。お声をかけあって、ご家族でご覧いただければと思います。

 最後に出演者の方々をお知らせいたします。2007年度から年1回東京で、これまでの地方の9会場で出演してくださった方を中心に演奏していただくことにしてきましたが、今年はその最終年に当たります。ジャンルを問わず幅広い出演陣で、多くの皆さまのご期待に応えることができると思います。是非皆さまお誘い合わせの上、会場までお越しください。

ご出演される方々(敬称略・演奏順):コール・トゥインクルスター(女声コーラス、東京)、YOUTA(勝島佑太)(ピアノ、富山)、楊雪元(声楽・中国笛、京都)、金沢栄東(ハーモニカ・ギター、名古屋)、木下航志(ピアノ・歌、鹿児島)、珍獣王国(ブルース、京都)

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「第18回 専門点訳者実践養成講座」開催のお知らせ

三上 奈美恵

 前号では開催することのみの予告となっておりました養成講座の内容についてお知らせいたします。助成先が見つからず、一時期は講座数を減らして実施することも考えましたが、先日、財団法人東京メソニック協会(メイスン財団)様から助成していただけることが決まり、今年度も8講座を開講できる運びとなりました。財団法人東京メソニック協会様に対し、厚く御礼申し上げます。

 今回、開講する8講座はこれまでと受講要件が異なる講座もございます。詳細につきましてはお手数でも電話・FAX・Eメールにて応募要項をご請求いただくか、センターのホームページより応募要項ならびに申込書・教材申込書をダウンロードの上、ご確認くださいますようお願いいたします。

 お申込みの際は申込書に必要事項をご記入の上、必ず教材申込書と一緒に8月8日(土)必着で当センターまでお送りください。受講者の決定は、申込み締切り後8月13日(木)までにお申込みいただいた方全員に通知いたします。原則として、受講者の方には8月22日(土)に杉並区立産業商工会館 展示室(1階)で行う開講式に出席していただきます。

 なお、開講式での講演会は受講者以外の一般の方にも聞いていただけるよう企画しております。若い視覚障害音楽家が世界的にも活躍する昨今、今回は箏曲家で、「邦楽」の講師も務められる澤村祐司さんを講師にお招きし、『私と点字楽譜』と題してお話しいただきます。五線譜とは見ためもまったく異なる邦楽楽譜(絃譜(いとふ))の点訳方法を含め、ほかではなかなか聞く機会のない講演になることと思います。皆様お誘い合わせの上、ぜひご来場ください。(事前予約は不要です。当日、直接会場までお越し下さい。

 今回はご案内からお申込み・開講式までの期間が非常に短くなってしまい、皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解・ご協力のほどお願い申し上げます。養成講座で学ばれた一人でも多くの方がセンターの即戦力となってくださることを希望しつつ……。皆様からのお申込みを心よりお待ちしております。

第18回 専門点訳者実践養成講座 開講式
【主 催】
社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター
【助成】
財団法人東京メソニック協会(メイスン財団)
【日 時】
2009年8月22日(土) 13:30 〜 15:30
【会 場】
杉並区立産業商工会館 展示室(1階)
(JR総武線、東京メトロ東西線 阿佐ヶ谷駅南口下車 徒歩5分)
     
(東京メトロ丸の内線 南阿佐ヶ谷駅下車 2b出口より徒歩3分)
※ 中央線快速は土曜日、阿佐ヶ谷駅に停まりません。ご注意ください。
【日 程】
13:00      開 場(受付開始)
13:30        開会
13:30〜13:45  主催者あいさつ  理事長 高橋 実
13:45〜14:45  講 演 『私と点字楽譜』 澤村祐司氏(箏曲家)
14:45〜15:00  質疑応答
15:00〜15:10  休憩
15:10〜15:30  本講座の説明・講師紹介
15:30        閉会

 * 受付開始13時前の会場へのご入場はご遠慮くださいますようお願いいたします。
 * 会場では視覚障害関連の書籍のほか、オリジナル点図グッズなどチャリティ商品の展示即売を行います。休憩時間等にぜひご覧ください。

〔澤村祐司氏 プロフィール〕1981年生まれ。11歳より箏、12歳より三絃を、金津千重子、吉澤昌江各氏に師事。東京藝術大学音楽学部邦楽科箏曲生田流専攻を経て、2008年同大学院音楽研究科博士課程修了。2007年第92回世界エスペラント大会で演奏。フランス・スイスでの日本舞踊公演、北京大学創立110周年記念式典に参加。宮城会、重音会、森の会のほか、大学の同級生と結成した「箏七星」や、現代詩と音楽グループ“VOICE SPACE”に所属し、作曲やアレンジにも取り組んでいる。

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新刊『先達に学び業績を知る〜視覚障害先覚者の足跡』8月刊行

輿水 辰春

 センターの主要事業のひとつである月刊『視覚障害――その研究と情報』が、去る3月に通巻250号を迎えました。文月会解散後、センターが本誌の編集・発行を引き継いでから8年ですが、創刊は1963(昭和38)年ですから、もう間もなく誕生から半世紀を迎えようとしている歴史あるユニーク誌であります。このような伝統ある雑誌の製作に、微力ながら関わらせていただいておりますことに、日頃から緊張感を抱くとともに、これも一重にご愛読いただいている皆さまと、誌面作りにご協力いただいている方々のお陰と、深く感謝し、御礼申し上げます。

 センターでは『視覚障害』創刊250号を迎えるにあたり、ただのお祝いごと・記念としてではなく、ひとつの社会貢献として、何か事業をできないかと模索しておりました。そのような中で、本誌が月刊となった2004年4月より始まった「先達に学び業績を知る」という連載で紹介してきた視覚障害先覚者が50人を迎えることから、先人たちの歩みを知ることで、現代の人々の生きるヒントにしていただきたいと、これを1冊の単行本にまとめる企画を立てておりました。

 大変ありがたいことに、この企画の社会的意義をご理解いただいたのが、郵便事業株式会社様で、この度、年賀寄附金助成での、点字・墨字・DAISYという3媒体による「バリアフリー出版」と、全国の視覚障害者情報提供施設や盲学校など約200カ所への寄贈が決定しました。誌面をお借りして、郵便事業株式会社様には、心より御礼申し上げます。

 3媒体とも、8月初旬の同時発行を目指し、目下忙しなく作業が進行しております。以下、掲載順で50人を列挙いたします(敬称略)。

青木優・道代、粟津キヨ、安藤嘉英、井口淳、砂山せつ子、伊豆圓一
伊藤岳峯、岩橋英行、岩山光男、大川原潔、小川光一郎、尾関育三
加瀬三郎、勝川武、加藤一郎、加藤康昭、金澤明二、金成甚五郎
木村龍平、越岡ふみ、近藤正秋、桜井政太カ、左近允孝之進、佐藤親貴
柴内魁三、下澤仁、鈴木達司、関野光雄、芹澤勝助、高橋豊治、竹内勝美
多田彌太郎、田辺建雄、玉田敬次、田村洋幸、堤恒雄、戸井美智子
直居鉄、永井昌彦、西岡恒也、西崎澤子、西本馨、樋口四郎、肥後基一
久本玄智、松井新二郎、宮城道雄、森雄士、山田斗養一、与野福三

 以上に加えて、日本点字図書館創立者の本間一夫氏に関する一編は、「先達に学び業績を知る」という連載を始めるきっかけとなった経緯から、特別収録しました。寄贈分以外は実費でお分けいたしますので、センターまでお問い合わせください。定価は点字版全7巻(約1,500ページ・15,000円)で価格差保障あり、墨字はA5判約350ページ1,500円(税・送料別)、DAISYは約22時間を収め2,100円(税込・送料無料)です。

 なお、今回DAISY版の制作を委託しておりますグループ「テープ版読者会」が、東京・池袋のジュンク堂書店9階催事場で行なわれている「耳から読む・大活字で読むCDブック大活字本」フェアに参加し、制作している音訳CD図書(DAISY)を原本と一緒に展示・即売しております。音訳CDが書店の店頭に並ぶことは非常に珍しいことのようですから、一度、足を運ばれてみてはいかがでしょうか。本書の発売後には、DAISY版と原本を並べていただけるとのことですので、是非、書店でセンターの図書を手にとっていただければ幸いです。会期は8月31日までです。

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サイトワールド2009に向けて

近藤 義親

 今年も11月1日(日)、2日(月)、3日(火・祝)の会期で、視覚障害者向け総合イベント『サイトワールド2009』が、会場も同じ「すみだ産業会館・サンライズホール」にて開催され、当センターの高橋実理事長は、サイトワールド実行委員会の事務局長を務めています。

 今年は、「サイトワールドで 触りながら 説明を聞こう」をキーワードに、実際に触って確認し、納得して満足するサイトワールドならではのイベントとするべく準備が進められています。

 これまでの3回の成功は、出展者による機器やサービスの情報提供だけでなく、来場者との情報交換が双方向で、密度濃く行なわれることにより、これがサイトワールドの特徴となったことが要因として挙げられます。また、視覚障害者向け製品や情報というだけでなく、誰にでも共通する課題として、つまりユニバーサルデザインを基調とする製品の出展や、情報交換が熱心に行なわれたこともサイトワールドが視覚障害者を中心に広がりを持つものとして認識されたことも重要な要素ではあるでしょう。

 11月1日午後1時30分からの講演会は、脳機能研究で世界的に活躍されている新潟大学の中田力教授に講師をお願いし、「脳機能から見た心の形成」をテーマにご講演いただきますが、多くの方から期待が寄せられており、聞き逃せないイベントです。

 平成19年度「塙保己一奨励賞」を受賞された綱川泰典さんと、ドイツのビリー・フーバーさんによる「フルートとチターの協演」は、2日午後1時と3時の2回公演が予定されています。演奏者と間近な距離で聞くことのできる会場であり、これも聞き逃せないでしょう。

 筑波大学彫塑教室のご協力と作品提供による「触る彫塑展」は、彫刻、塑造に触って、作者の意図に触れて見ようをテーマとしています。会場で、彫刻と塑造の制作実演もあり、素材の木を彫る作業や、粘土で像を造り出す過程では、どなたにも新たな発見があるものと期待されます。

 恒例となった「サイトワールド・アクセシビリティ・フォーラム」(2日午前10時30分)や「ライフサポート学会」(3日午前10時30分)では、多岐に亘るテーマでの研究発表が予定され、今年も期待を集めています。

 2011年に予定されている地上デジタル放送への移行では、視覚障害者にとっての問題が提起されています。視覚障害者のみならず多くの人にとっても、その問題の所在すら認識されていないのが現状であり、サイトワールドでシンポジウム「視覚障害者と地上デジタル放送」を開き、何らかのメッセージを発信し、視覚障害者だけでなく多くの人に問題の認識を深めていただきたいと考えています。シンポジウムにどのような方々を招くか、実行委員会で鋭意計画を煮詰めている状況です。

 展示会会場では、従来の常連とも申せる出展企業団体に加え、ユニークな製品や、サービス、システムを提案する団体などの出展が予定され、充実した展示会となることが予想され、乞うご期待です。

 支援センターを支える会の皆さまには、是非とも会場にご来場いただき、サイトワールドを味わっていただきますようお願いいたします。そして、支援センターの小間でセンター職員に励ましのことばを一言でもいただければ、センターのサイトワールド担当として、この上ない喜びであります。

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財団法人 前川報恩会様より
録音機器購入費をご助成いただきました

坂本 晴代

 センターでは2年前より、デジタル化移行にむけて、またテープ関連機器の現状維持のために様々な助成団体のご支援を受けて環境を整えてきました。

 今回もまた、財団法人 前川報恩会様より録音機器の購入費をご助成いただきましたので報告させていただきます。

 購入機器は下記のとおりです。

・ カセットテープデッキ202MKV
・ CDカセットデッキCD-A550
・ マイクロフォンBETA87C
・ ポップガード
・ アプリケーションソフト Sound Forge9
・ ヘッドホン

 1台しかない機器等は、不具合があっても、次の仕事の納期があるためなかなか修理に出せないという状況が続いておりましたので、大変助かりました。

 今後はこれらの機器を大いに活用していきたいと思います。

 財団法人 前川報恩会の皆様、本当にどうもありがとうございました。

 当センターではこれらの機器を使って杉並区の広報紙の音声版を製作させていただいています。杉並区のホームページより音声データがお聞きいただけますので、よろしかったら聞いてみてください。

杉並区 広報すぎなみ音声データのページ
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/library.asp?genre=4P

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統合教育用点字教科書(教科用特定図書)製作について

橋本 京子

 視覚障害者支援総合センターでは、点字を使いながら地域の小中学校で統合教育を受けている視覚障害児童・生徒のための点字教科書を、製作し提供しています。今年度は3教育委員会から小1と小5、そして中3用の国語・算数・理科・社会・家庭科・保健・数学、7教科・計26冊分を受託。各学級のカリキュラムに合わせて製作し、順々に納めています。

 ご存知のように、昨今の活字本はパソコンや印刷技術の発達によって図版や写真が多用され、文章部分も文字のサイズや色に変化をつけてデザインされ視覚に訴えるつくりになっている物が大半です。そして、この傾向は一般の教科書会社が発行している活字教科書も同様です。しかし、目で見ると「一目瞭然」で便利なはずの図や写真も、指で触って読む場合にはそうはいきません。

 点図の触読力・理解力には個人差があり、点字は読めても点図の触読は苦手だという人がいます。最近視力が落ち活字から点字に切り替えたばかりで、点字も苦手、読むスピードも遅いという人もいます。担任の先生は、点図の触り方・読み方はもとより、点字すら知らない場合が多いです。活字の図や写真を触って分かるように点図に編集する作業は、点図を作った経験のある方々はよくおわかりですが、とても難しいものです。また、中には活字の図自体も図である意味がないものや、図の意味がわかりくいものもあります。だからといって、図を省略してしまうと、「隣の席の子の活字教科書にはある図が、私の点字教科書には『省略』と書いてある。先生がどんな図について話しているのか全然分からなかった」などと取り残された気持ちを抱かせてしまうことにつながります。ですから、活字教科書にある文・図表・写真などは、原則として全て点字や点図にし、どうしても点図化が難しい図などは内容を文章化して示すようにしています。また、可能な場合は当事者である児童生徒や担当の先生・保護者等と話し合いの場を持ち、ニーズを聞いて、より使いやすい・分かりやすい点字教科書を作るようにしています。そして点字教科書ができ上がると、活字何ページの図が点字でどう記されているかといった内容を、目の見える先生用に活字で記した「編集資料」も製作し、合わせて納品します。

 ちなみに、これらの製作は、対象児童生徒が入学して卒業するまでの間、継続して依頼されることもあれば、視力やその他の問題で盲学校へ転校することになり単年度で終わるケースもあります。個人情報保護ということで、利用者のニーズが伝わってこないこともありますし、中には盲学校で教えた経験のある補助教員が授業中対象児童生徒についていて、どの分野の点字教科書も問題なく読めるといった恵まれたケースもあります。

 視覚障害のある児童生徒が普通学校で学ぶ場合の点字教科書製作費を国が保障するようになったのが、2004年後期。以来、各教育委員会から製作依頼が参りますので、それを受けて行っている事業です。昨年には教科書バリアフリー法なる法律もでき、今年度からは「教科用特定図書」として適用されています。義務教育段階の児童生徒の点字教科書がようやく公的に保障されるようになったのです。統合教育で学ぶ児童生徒のための点字教科書の変遷は『視覚障害』7月号の「点字の市民権確立を」のシリーズの4話で取り上げています。点字教科書の獲得は、いわば教育を受ける権利の獲得で、その獲得までの道のりを知るにつけ、今はある意味学習環境が整っていると思います。児童生徒さんには、センターで製作した点字教科書も是非とも活用し、たくさん学び、将来の社会参加・自己実現につなげてもらいたいと思いますし、未来ある子どもたちの礎を作るお手伝い・一生を左右するこの仕事は、大変やりがいがあると同時に常に身を引き締めて取り組まなくてはと思っております。

 今年1月、文部科学省初等中等教育局内に点字教科書の普及に関する意見交換会が立ち上がり、その委員の1人として高橋理事長も任にあたることになりました。また、4月には同局教科書課に教科用特定図書普及促進係という部署ができ、国も統合教育で学ぶ児童生徒の点字教科書製作環境整備に本腰を入れ始めています。予算の限られた中でどう点字教科書を製作提供するかという国の思い、製作現場での労力、利用者のニーズなどの調整は難しいようですが、一日も早く正確迅速で1人1人の児童生徒のニーズに即した点字教科書の提供ができる環境が整うようにと願っている私たちです。

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