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2009年10月16日発行 第62号 社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター

支援センターだより

皆さまへ

理事長 高橋 実

 たぶん私の性格だと思いますが、改めて文章を書こうとしますと、必ず元日から数えてどれだけの月日が流れたのだろうと考えます。たぶん有言実行を口にしている者としては、元日に「今年こそは」という酒の力をも借りて決意を新たにした事柄で、手を染めていないことはどんなことで果たして取り組めているのかという自分に対するプレッシャーだろうと思っています。

 そんなこんなで今年も10月に入ってしまい、残すところ3カ月を切ってしまいました。よく職員から「それは理事長に報告済みです」と言われ、「そんなバカな」ということもあって、不安と不信が入り交じっての毎日が多くなっていることだけは確かのようです。今しばらくお付き合いいただき、センターをご支援くださるように重ねてお願いいたします。

 よくお話しすることですが、私はNHKラジオ第一放送の深夜放送ファンで、4時台の「こころの時代」と3時台の「投稿」などを聴いていますと、大半の人が70歳以上で驚きの一語に尽きます。その人たちの話や投稿から意欲と元気をもらっているといっても過言ではありません。このあと図書などの紹介でお名前が出てきます阿佐博さんは86歳だそうですが、お元気そのものでお酒も強く、何よりも記憶力抜群は万人の認めるところです。ですから年のせいばかりにしていては高齢の方に失礼に当たると思ったりもします。

 日頃はセンターを支えてくださり、心より厚くお礼申し上げます。昨年100年に1度あるかないかのアメリカ発の金融恐慌とか、世界同時不況とか言われる中でも、小規模零細施設のセンターをお引き立ていただいていることで、私が計画しました事業が順調に進んでおりますことを重ねて感謝申し上げる次第です。

 まず、継続しております視覚障害音楽家の社会参加促進事業として取り組んでおります「競い合い、助け合う コンサート――羽ばたけ視覚障害音楽家たち」の2009が来る11月14日(土)杉並公会堂大ホールで開かれます。詳しくは担当の村上晴香が後述しますが、是非お知り合いの方などお誘い合わせの上、ご来場いただきたくお願い申し上げます。荻窪駅から近いことや1人でも多くの方においでいただき、ご理解とご支援がいただければと杉並公会堂大ホールをずっと利用してまいりました。しかし来年からは継続するにしても、もっとこじんまりしたところを選ぶことも考え合わせ、目下助成申請中です。

 次に今年初めて実施します「点字スクール」の事業です。「競い合い、助け合う コンサート」も最初の3年間は年3回のうち2回は地方で開催しました。初年度は名古屋・大阪・東京、2年目は札幌・福岡・東京、3年目は神戸・広島・東京といった具合にです。その点訳養成の地方版として計画してみました。土曜と日曜、ないしは3連休などを利用して地方で活躍してくださる専門点訳者の質の向上と、専門分野の幅を広げてもらいたいということで中央から専門家を派遣することと、点字の普及啓発を兼ねて、視覚障害者による講演会やミニコンサートも相前後して開きたいと思った次第です。

 今年度は事業に助成・協賛をしてくださる団体へのお願いが遅くなってしまいましたので、準備もその分ずれ込みました。幸い東京メソニック協会とケージーエス株式会社の協力を得て、新年の1月から3月にかけて北海道旭川市と東京で実施すべく、目下準備を進めております。

 旭川は1月23日(土)と24日(日)の2日間。23日は旭川点字図書館で「点訳をやってみたい」「点訳を始めたけれど壁にぶつかっている」などといった事に対する質疑を、専門家を中心に話し合う会を4、5時間。翌24日は旭川市民文化会館で一般を対象に午前・午後と講演と演奏を計画しております。

 東京は地元杉並区にこだわっていますので、簡単に会場が決まりません。東京の場合は点字教科書作りの考え方・書き方といったテーマで、筑波大学附属視覚特別支援学校の原田早苗・高村明良先生らに国語・社会・理数などの教科を中心に講義していただきたく、お願いをしております。

 いずれも11月に入って要項など作成したいと思いますので、ご希望の方は担当の三上奈美恵まで電話かFAX・メールでご連絡ください。

 振り返りますと専門点訳者養成講座は当時どの施設でも実施されていなかったものです。センター発足前年の1986年から「専門点訳者実践養成講座」として英語など語学、理数、音楽などを会場・講師・予算などと相談しながら、週1回2時間を限度に15回前後実施してきました。大学の門戸が拡大し、盲大生が増えてきたことと、学習環境整備のためにも専門点訳者を養成しなければ、と思っていた矢先の同年4月、当時の富士銀行(現・みずほ)福祉助成財団が盲大生1人に年間30万円の点訳介助事業をスタート。私たちは驚きもし、喜んだことを思い出します。毎年5人から8人に卒業するまでの4年間、返済なしで支給するということでセンターがその選考から事業運営を委託されました。

 また、2003年からは東京メソニック協会(メイスン財団)が年間1人30万円の盲大生点訳事業を始めてくださいました。単年度事業ですが毎年10人の盲大生を選び、支給されています。もちろんこれも選考から運営までセンターが委託されているものです。今年も養成講座は8講座開講しています。

 今回旭川で行なわれる事業の一切をお願いしているSさんもそうですが、センターの講座には開講以来、旭川や札幌・盛岡・福島・静岡・京都・福岡・大分・宮崎など遠くから泊まりがけで通って来られる方がおられます。それで地方にも出かけたり、東京でも集中的に講義をして受講生の負担を軽くすることと、点字を通して視覚障害者問題を知っていただきたくそのチャンスにも、と考えた事業です。助成団体や地元の皆さまのお力添えをどれほどいただけるかということと、私たちの力量が問われる事業だと心を引き締めています。

点字通信教育も行なっていますが、少なくとも基礎は向き合って受講することがベターだと思いますので、旭川ではそのような人たちとも巡り会い、いついつまでも点字を通して技術と視野がお互いに広がればと願っている私です。

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第7回チャレンジ賞・サフラン賞受賞者決まる

村上 晴香

 8月31日に開催した選考委員会において、第7回チャレンジ賞・サフラン賞の受賞者が決定しました。

 サフラン賞は、2003年に閉鎖された(財)東京サフランホームの残余財産を基金に、同ホームの伝統と実績と精神を継承するものとして、視覚障害のある若い女性1人を選び毎年贈るものです。同ホームは盲学校卒業の失明女子に対しての生活指導と、鍼灸・あん摩・マッサージ技術の向上を目的に、生活と職業自立のための実践を続けていた施設です。特に、ヘルスキーパーは三療の中でも厳しい雇用環境です。今回サフラン賞に選ばれた大日方久美子さん(おびなた くみこ、34歳)は、1996(平成8)年より読売新聞東京本社のヘルスキーパーとして勤務。家庭では2女の母として、地元の視覚障害者団体では将来のリーダーとして、そして1職業人として、「視覚障害女子の自立」というサフランホームの理想を体現されている方です。

 チャレンジ賞はその男性版として、ケージーエス株式会社の榑松武男社長より同社創立50周年の記念としてご協力いただき、創設したものです。チャレンジ賞受賞の伊藤丈人さん(いとう たけひと、31歳)は、この春、青山学院大学大学院で、全盲の研究者として初めて博士号を取得(国際政治学専攻)、4月からは同大で講師として勤務されています。視覚障害者の新たな職域を拡大していく先駆者として、今後の活躍が期待されます。

 大日方さんの推薦文は『視覚障害――その研究と情報』10月号に、伊藤さんの推薦文は11月号に掲載しますのでご一読ください。

 なお、両賞の贈呈式は11月14日(土)「競い合い、助け合う コンサート」の席上にて行ないます。

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「競い合い、助け合う コンサート2009」

村上 晴香

 財団法人JKA(旧・日本自転車振興会)の助成を受けましてセンターが主催しております「競い合い、助け合う コンサート2009――羽ばたけ視覚障害音楽家たち」の開催が近づいてまいりました。より多くの皆さまに会場へ足をお運びいただき、視覚障害音楽家の方々の演奏に耳を傾け、理解とお力添えをお願いしたいと思い、日々準備を進めております。

 同封したチラシにありますように、会場は杉並区荻窪の杉並公会堂大ホール、日時は11月14日(土)12時半開場、13時半開演、終演は16時頃を予定しております。入場料は全席自由3,000円。そして、今年は若い方にも視覚障害音楽家の存在を知っていただき、支援と応援の輪を広げたいという願いから、2,000円の学生券を用意しました。お声をかけあって、ご家族でご覧いただければと思います。

 今回は出演者の皆さまのご紹介をいたします。

 第1部のコール・トゥインクルスターはセンターのコンサートのレギュラーで、今年は心に染みる、懐かしの唱歌メドレーを披露されます。新進気鋭のアーティストYOUTAさんは「すべての人に癒しと安らぎを」をポリシーにジャンルにとらわれない音楽活動を展開中。

 第2部では日本で滅多に聞くことのできない中国笛を聞くことができるチャンス。中国出身の楊雪元さんはテノールも披露されます。金沢栄東さんのハーモニカは、思いをストレートに表現し、聴く者の心を揺さぶります。

 第3部の幕を開ける木下航志さんは既にプロとしてメディアでも活躍中。「和製スティービー・ワンダー」の異名をとるパフォーマンスを会場で体感してください。そしてトリを務めるのは病気療養から2年ぶりの復活を果たした珍獣王国。

 当日券窓口は混雑が予想されますので、前売り券をお求めください。

 会場でお待ちしております!

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石川倉次生誕150年記念エッセイ入選者発表と作品集発刊

輿水 辰春

 今年は6点式点字の考案者ルイ・ブライユ生誕200年であるとともに、6点式点字での日本語表記に成功した石川倉次(1859年2月28日〜1944年12月23日)の生誕150年の年でもあります。センターではケージーエス株式会社の協賛で今年度はエッセイを募集し、「支援センターだより」でも春よりお知らせしてまいりました。その結果、8月15日の締め切りには、全国より応募総数25編の作品が集まりました。

 8月末にセンターの理事でもあるケージーエス株式会社代表取締役社長の榑松武男氏とセンター理事長が予備選考を行ない、甲乙つけがたい作品が多く、ときには熱い議論を闘わせながら、選びぬいた13作品を審査委員長の三田誠広氏(作家・日本文藝家協会副理事長)にお送りしました。

 入選者には賞状と副賞賞金3万円を贈呈し、センター発行の月刊『視覚障害――その研究と情報』10月号(9月末発行)および11月号(10月末発行)で、審査委員長の選評とともに、作品をご紹介します(筆者50音順)。

 なお、審査委員長にお送りした13編の作品につきましては「記念と啓発」を目的に作品集として単行本化し、点字制定記念日の11月1日の発行を予定しております。同書には日本点字委員会顧問の阿佐博先生の書き下ろしによる石川倉次の生涯についての読み物「初期盲教育の周辺と石川倉次(仮題)」を併載予定です。日本の点字が生まれた時代背景や石川倉次の人となりを、「一般の方が楽しみながら読めるように」とお願いして書いていただいた会心の作品です。同日から開催される「第4回サイトワールド」のセンターのブースで出品いたしますので、是非お手にとってみてください。

 来たる2010年は日本点字制定から120年。センターではこれを記念した公募企画を検討しています。ご期待ください。

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『先達に学び業績を知る〜視覚障害先覚者の足跡』好評頒布中

輿水 辰春

 前号でお知らせしましたセンターの新刊図書『先達に学び業績を知る〜視覚障害先覚者の足跡』が、去る9月の点字版の完成をもって、点字版・墨字版・DAISY版の3媒体全ての製作が終了いたしました。

 センターはじまって以来の3媒体同時製作の単行本ということで、全てが予定通りスムーズに進行したとは自信をもって言い難い面もありますが、沢山の方々のお力をお借りしてなんとか完成にこぎ着けることができました。

 本書は、センター編集・発行の『視覚障害』誌が月刊となった2004年4月より始まった「先達に学び業績を知る」という連載で紹介してきた視覚障害先覚者が50人を迎えることから、先人たちの歩みを知ることで、現代の人々の生きるヒントにしていただきたいと企画したものです。

 この企画の趣旨と社会的意義を郵便事業株式会社様にご理解いただき、年賀寄附金助成で、点字・墨字・DAISYという3媒体による「バリアフリー出版」と、全国の視覚障害者情報提供施設や盲学校など約200カ所への寄贈を行ないました。誌面をお借りしまして、郵便事業株式会社様には、心より御礼申し上げます。

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サイトワールド2009 視覚障害者の期待を集めて あと1カ月

近藤 義親

 今年で4回目の開催となるサイトワールドは、秋の恒例行事として定着したようで、9月になると問合せの連絡や電話が格段に増える状態となります。問合せの内容は、点字・墨字のチラシやガイドブックを送ってほしいということから、イベント内容の問合せ、○○会社は出展するか、○○製品は見られるかなど多岐に亘ります。これらから、サイトワールドへの関心の高さ、期待の大きさを実感すると同時に、今年の成功を半ば確信する日々ともなっています。

 特に今年は、11月3日の午後に「視覚障害者と地上デジタル放送」をテーマにシンポジウムを開催いたしますが、視覚障害者や高齢者などの存在が置き去りにされたまま、地上デジタル放送の2011年7月の完全実施を迎えるのではないかとする危惧が背景にあり、皆さんの関心の高さが伺えます。パネラーとして、視覚障害者:南谷和範氏(大学入試センター)・研究者:中村美子氏(NHK放送文化研究所 主任研究員)・研究者:坂井忠裕氏(NHKエンジニアリングサービス 放送技術部)・メーカー:谷水明広氏(三菱電機株式会社 京都製作所 AV機器製造部 専任)の方々をお招きし、『見やすさ、聞きやすさ、使いやすさ』から、論議を深めていただくことになっています。

 また、出展者として三菱電機株式会社がしゃべるテレビの新製品で10月発売のハイエンド大画面液晶テレビ「REAL MZW300」シリーズの52V型を展示されることが、9月中旬に明らかになっています。テレビから情報を入手する視覚障害者が多いことは、当事者間では常識ですが、視聴者参加の双方向サービスなどが特徴の地上デジタル放送では、電子番組表など画面の視覚情報をリモコンで操作するため、視覚障害者にとっては音声ガイドが不可欠であり、しゃべるテレビに対しての関心は高いものがあります。

 新技術の普及は、時として視覚障害者などを置き去りにする傾向があります。サイトワールドは「触れてみよう、日常サポートから最先端テクノロジーまで」がテーマであり、今回はまさに最先端技術に触れるイベントとなります。他にも多くの新製品や新技術、新サポートが紹介されますので、是非多くの方に、触ってみていただきたいと思っております。

 また、彫塑作品は触れて鑑賞することで新たな感動が呼び起こされます。筑波大学彫塑教室による『触る彫塑展』では、彫塑作品とともに、木彫制作・頭像制作のデモもありますので、木の感触や匂い、粘土の手触りを楽しんでいただきたいと思っています。この彫塑展を電話での問合せに説明したところ、「昨年の点字の歴史展では、貴重な歴史的資料に触り感動したが、今年は芸術を味わえるとは嬉しい。商品とか製品とか売られているものだけでなく、普段では触れないものを出してくださる企画がありがたい」といった感想をいただきました。毎年、来場されるためイベント企画の工夫などに気づかれ、事務局の裏方にとって嬉しい指摘をいただくこともあります。

 そして、お楽しみとして、日常生活用具などの視覚障害者用の製品を購入できるブースがありますが、今年は、会場でのみ販売される幻と言われる製品もあるようで、来場の皆さまに買い物を楽しんでいただくよう、出展者の皆さんはいろいろと企画を練っておられます。乞うご期待です。

 サイトワールド2009のガイドブック点字版・墨字版(無料)をご希望の方にお送りしますので、電話03-5310-5051 FAX 03-5310-5053 事務局 近藤までご連絡ください。

 では、11月1〜3日に会場でお会いできますことを楽しみにいたしております。

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