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2010年12月5日発行 第66号 社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター

支援センターだより

皆さまへ

理事長 高橋 実

 皆さまいかがお過ごしでしょうか。前号の『支援センターだより』をお送りした頃は「猛暑と熱帯夜の記録更新」といったようなご挨拶をした感じですが、今は寒さそのもの。暦の上では立冬ですから、この気温はまあまあなのかもしれません。私のふるさと北海道は、既に初雪は降りましたが今は雪もなく寒いだけで、冬の実感はしないとかいうことですが、ストーブは焚いているそうです。皆さまどうぞ体調には充分ご注意の上お過ごしください。

 センターは来年2011年7月開設25年、11月法人取得15周年、5月チャレンジ設置14年を迎えます。センター内に「記念事業委員会」を立ち上げ、年度末の役員会に記念事業を諮って、正式に準備に入りたいと思います。どうぞ一層のご協力をお願いすると思いますが、何卒よろしくお願いいたします。

 最近は慌ただしさに振り回され、好きな演歌を、お湯割りを飲みながら楽しむというチャンスが少なくなり、ただただ翌日の勤務に差し障りのないように熟睡をいかに確保するかを考えながら飲むものですから、ゆとりがあまり感じられないのが残念です。先頃ラジオで岩手県出身の新沼謙治と青森県出身の吉幾三が口を合わせるように「雪は嫌だ」というようなことを言っており、がっかりしました。私も寒いのと都会の雪は苦手ですが、ふるさとの雪は思い出がいっぱいで好きです。旭山動物園のペンギンの行進。1950年春、かすかに掴んだ「ジャーナリスト」という夢を胸に津軽海峡を渡るまでのふるさとの雪の中に、喜び、悲しみがいっぱい凍っています。

 ペンギンの行進は2度行きました。1回目はまだ騒がれないうちだったのか、周辺の感動の雰囲気の中で静かに雪の上を歩くペンギンの足音が聞かれ感激したのですが、今春催しがあって職員と旭川に出かけ、職員の思い出作りに行ったのですが、すっかりイベント化されて、大げさにいいますと押すな押すなの観戦で「私は身障者だから前へ出て座ってもいいのだ」などと大声で人だかりの中で前に出て行く人がいたりして、何とも言われぬ気持ちで立っていました。

 戦後まもなくのクリスマス前後、親や家族は元より先生や友達から「三療が不得手だというのは身勝手そのもの。一番安定した仕事だから」と言われる中で「これがやりたい」という具体的な希望も出せず、ただただ「職業選択の自由が僕にもあっていい」と頭でっかちなことだけ口にしながら雪の中をさ迷い、ジングルベルの歌が悲しく聞こえていたことを忘れることができません。また戦中は冬休みに我が家に戻り、天気の良い日に馬小屋から馬をひなたぼっこで外に出し、ときおりしんしんと降る雪の中で馬のたてがみからしっぽまで撫で回していたことも忘れることができません。

 11月13日(土)日本点字図書館創立70周年記念式典があり、私も参加しました。席上、当法人の役員でもあり公私ともにお世話になっています、ケージーエス株式会社の榑松武男社長が、第7回本間一夫文化賞を受賞されましたので、その喜びも共有できました。

 本間一夫先生はご承知のように略称日点の創設者で、しかも我がふるさと妹背牛から車でしたら40分ほどで行ける増毛町のご出身です。私が進学する前の1953年に上京した折初めてお目にかかり、それ以来ご夫妻がお亡くなりになるまで、公私ともにお世話になりました。仲人もご夫妻にしていただきました。都会に全く縁のなかった家内ですから、区役所に行ったり、買い物などで奥様のお世話に随分なり、就職浪人でしたので2年間は日点の近くにアパートを借り、お風呂と電話は本間先生宅で使わせていただきました。学生時代のようにボランティアの世話にもなれないと思い、新聞記者になって晴眼の同僚と対等に仕事をしていくためには目が必要と打算結婚をしましたが、点字毎日は定員枠が当分ないということで、新聞社入りも難しいと考え、盛岡へ戻って先生方に泣きついて、なんとか生きていこうと真剣に考えました。

 そんな時、本間一夫先生ご夫妻が「あなたはジャーナリストがベストなのだから、入社できるまで応援するから」と言って、日点の点字校正や家内には製本の仕事、そのうちに聖明福祉協会を立ち上げられた本間昭雄先生ご夫妻からもケースワーカーの仕事などもいただくことができ、就職浪人2年間を食いつなぐことができました。

 好評の中でJKAの助成事業として続けてきました、若い視覚障害音楽家の社会参加促進事業「競い合い、助け合う コンサート 2011」も例年ですととっくに来年度の助成要望書として提出し、決定を待つだけなのですが、ここも事業仕分けの対象になり、大がかりな見直しをしていたようです。その助成要望書が12月6日必着になっています。したがってセンターもこの制度のより効果的な結果をもたらすような行事にできればと、目下検討中です。

 点字教科書では昨年からの継続の補助教材で、今年度最後になります中学の数学と科学、合わせて3点と取り組んでいます。職員の大半は文系ですし、中学の理数となると結構難しいようで、それもセンターの責任で編集しなければならないということで、担当者はとことん苦労しているようです。その点、盲学校用小・中学部の著作本は専門家の指示を受けて製作しますので、精神的には幾分楽なようです。23年度用小学部の国語・社会・理科・算数の4教科は先頃の入札に参加しましたが、いずれも大手3社が落札しました。センターだけが4教科全ての編集会議に各5回ずつ傍聴していましたので、1点も落札できなかったのはひとえに私の責任です。ただ、負け犬の遠吠えではありませんが、3社の中でどの教科にも1回も傍聴せずに落札していたところがあり、さすがは大手と驚きました。いつも思うことですが、入札に関わることの難しさをひしひしと感じています。いずれにせよ職員はそれにめげずに、点字に対する技術と能力を磨いてほしいと願っています。

 また、夏に行なわれた参院選挙では当センターも「点字毎日号外 参議院×××議員選挙のお知らせ―全文点訳版―」の視覚障害者選挙情報支援プロジェクトチームの一員として製作に参加しました。プロジェクトチームは、24施設が参加して製作・発行し、都道府県選挙管理委員会が視覚障害者で点字を必要とする数を勘案して買い上げ、地方によって異なりますが、個人に郵送するしくみになっています。全国区と比例区に分かれており、比例区は47都道府県中46、選挙区は47都道府県中32がプロジェクトの製作でした。ただ、比例区で1県、選挙区で15府県が選管とその地方の施設か組織かと話し合いで製作されました。プロジェクト事務局の話によりますと、「地方で影響力のある当事者団体の幹部が、プロジェクトのは高いから地域で」なんていうことを言っているとかで、先の数字はその結果のようです。ただ私は会議でもまたセンター発行の『視覚障害』の編集後記でも書いているのですが、プロジェクトの「号外」が高いかどうかは別として、後援費・協力費・協賛費などといって1千万円近い経費が予算化されているのは検討に値するのではないか。しかし、参加施設は全体会では声を出さず、陰で「何とかしてほしい。おかしい」と言っているだけですから、どうしようもありません。『視覚障害』12月号でも書きましたので、転載します。紙数に制約がありますので、この程度しか書けません。

 今解散があっても驚かないねじれ国会です。選挙に対応できる態勢だけは作っておかなければと思います。点字による「選挙のお知らせ」は名鑑から全訳版となり、音訳版などにも広がりました。実績と自信と流れをバックに「選挙公報を国の責任で作らせ、必要な人に配布させるための国民運動を展開しよう」と私は日盲社協点字出版施設長会で提案。強い賛成意見もあり、全会一致で決議。そして選挙情報支援プロジェクト点字版部会でも提案しましたが、際立つ反応もなく、可決はされました。
 その後、同部会に参加した何人かの方からの電話や手紙には「事務局はなぜ煮え切らないのでしょうか? 笹川理事長が総務省の選挙情報の委員だから新たな行動は……などといったことは理解できない」とありました。私も同感です。今がチャンスだと思います。このままでは事業仕分けに選管が上がり、そのツケが製作者の分断に繋がりかねません。私もプロジェクト外で発行された選挙区公報を13カ所から集めました。発行者は6件が選管、1件が社会福祉事業団、1件が名無し、あとは関係団体です。簡略版が2件、プリンター印刷が4件。名無しの表紙は点墨とも「参議院○○県選出議員選挙のお知らせ――全文点訳版投票日:○○」。表紙裏の挨拶はプロジェクトの文面と大筋は同じ。17行に対し14行で、発行者の記述は読み取れず。誤字や漢字の読み間違いでは、「事業仕分け」を「しゅわけ」、「松下政経塾」を「けいざいじゅく」、「2男3女」を「2だん」、「活躍」を「かつどう」、「革命」を「かいかく」、「故郷づくり」を「くにづくり」などがありました。分かち書きなど表記のミスも許されませんが、これらは常識以前のことだと思います。
 問題解決は至難の業ですが、多くの人たちの理解と支援で結実させるよう関係者の奮起をお願いします。

 今は11月末で中堅職員が退職するのと、来春産休を取る職員がいて、その穴埋めも兼ねて職員を公募しています。1回目では24人の履歴書が届き、国語・数学・作文の筆記試験と面接をしましたが該当者なしで、再公募をして20人が同じ筆記試験を行ない、22日面接をしました。その後も問い合わせが来ています。それほどに就職氷河期が大きいのでしょうね。なんとか今回の結果で、有能な若い職員を採用したいと考えております。

 一層のお力添えをお願いいたします。

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「チャレンジ」が杉並区から表彰されました

飯田 三つ男

 平成10年10月に利用者3人で開所した「チャレンジ」は進化・発展を続け、本年(平成22)11月には利用者16人になりました。また、この間の法律改正に則り、視覚障害者だけでなく、いろいろな障害を負った利用者を受け入れて来ました。このような状況にともない、作業の種類も点字図書製作の為の「点字校正・印刷」のみであったものが、新しい商品製作にも取り組むようになりました。

 この10数年の間、<利用者を就労に結びつける>ということにも取り組んで来ました。その結果、公務員、点字出版関係などに数人の就職者を出しました。これは理事長を始め職員の努力と利用者の前向きな意欲、そして「チャレンジ」を支えてくださる多くの皆さまの真心がもたらした結果だと思っております。

 このような歩みを続けて来た「チャレンジ」が杉並区から『平成22年度杉並区障害者自立生活者および自立支援功労者』表彰をいただくことになりました。この表彰制度が制定され、平成9年に最初に表彰を受けたのが当センターの理事長ですから、センターにとっても「チャレンジ」にとっても大変よろこばしく、「チャレンジ」が社会的な評価をいただいた、と思っております。今後とも、この『賞』に恥じない施設=時代に合致した「チャレンジ」にする為、職員が一丸となって努力して行く所存でございます。

 「チャレンジ」を支えてくださっている皆さま、何とぞ宜しくお願い致します。

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KGS榑松社長が第7回本間一夫文化賞受賞

橋本 京子

 11月13日「日本点字図書館創立70周年の集い」が都内・灘尾ホールで開催されました。本号冒頭の「皆さまへ」で理事長高橋も書きましたように、席上、当センター理事の榑松武男KGS社長が第7回本間一夫文化賞を受賞されました。センター職員一同、自身のことのように本当に嬉しく思っております。この場をお借りしまして、心よりお慶び申し上げます。

 榑松社長について少しご紹介させていただきますと、榑松社長はセンターの看板事業の1つ・「若い視覚障害者の表彰事業・サフラン賞、チャレンジ賞」において多大なるご理解とご協力をくださり、「チャレンジ賞」運営資金の全額と両賞副賞をご寄付・贈呈くださっています。ここ2、3年の「ルイ・ブライユ生誕200年記念」や「石川倉次生誕150年」「日本点字制定120年」などの節目で制作・発行しました記念出版事業でも、その制作費をご支援くださいました。他にも折々でアイディアや資金助成をくださり、とにかくお世話になっています。社長は「KGSは視覚障害の方々に助けられた会社なので恩返しのつもりです」とおっしゃられますが、零細センターですから放っておけないという社長の温かなお心から来ていることも間違いないと思います。歴史好き・人が好き・お酒好きな人間味溢れる方なので、高橋理事長が飲み友達として、また何かと相談できる心強い存在として、お付き合いさせていただいている大切な方でもあります。

 話が前後しますが、本間一夫賞の受賞理由は「“点字ディスプレイ”の開発などで視覚障害文化の向上に大きく貢献された」ということ。「毎年世界最小のものを」という方針で、ユーザーの声に傾聴し商品開発を有言実行されるお姿は、今や現在のKGSの当たり前の姿ように知られていますが、実は本当に大変なご努力であることに間違いありません。「集い」の壇上、来場された利用者・支援者など約400人の方々を前に、時折り汗をぬぐいながらお礼を述べられていたことも、社長のまじめなご性格の現れのようでとても印象的でした。

 榑松社長とKGS株式会社につきましては、月刊『視覚障害――その研究と情報』2009年10月号(No.257)で詳しくご紹介させていただきました。その後1年の間に、会社はフィリピンに続く海外支社として上海にも工場を設立され、一段と規模を大きくなさいました。これにより社長は日本とフィリピンと上海の業務の調整、またドイツやアメリカなど各国との取引で世界を飛び回られ、ますます多忙を極められているご様子です。榑松社長のご健勝を心よりお祈り申し上げますと共に、今後とも視覚障害福祉と文化の推進のため、また当センターのような零細施設のために、お心を傾けてくださいますよう改めましてお願い申し上げます。

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日本財団から紙折り機購入に対する助成をいただきました

高橋 和哉

 教科書製作に関わり始めた平成13年に紙折り機を購入し、約9年間、使用し続けました。世に出回っている紙折り機は、二つ折りや三つ折りなど、折り幅が非常に大きいものです。しかし、教科書用の紙折りは、紙端から約11ミリのところにアジロ折り(ミシン目のようなものをつけての折り)と、紙端から約22ミリのところで、両側から折れるような折り目をつける必要があります。

 このような紙折りは特殊なので、紙折りメーカーが、点字書籍専用にカスタマイズしたものが必要です。一般の市場のニーズが無いので、価格が跳ね上がります。

 平成13年に購入した紙折り機は、機械性能の限界を超えて使用していたため、故障もしましたし、かなり多くの点字用紙の減損を出していました。それに、一番大きな問題は、この機械を使いこなせる人間が限られていたことです。

 チャレンジでは、様々な障害を持った利用者が活動しています。その利用者が使いこなせず、又多くの減損を出し続けていることから、数年前から買い替えを考えていましたが、高額なため手も足も出ませんでした。

 そこで、日本財団に申請を出したところ、2割程度の自己負担で購入できることになりました。

 現在、2ヶ月ほど経過します。導入直後は、作業する者も不慣れなため、うまく機能しませんでしたが、最近では、利用者ができる作業として、指導を始めています。

 また、違う分野でも日本財団にはお世話になっています。「真心絶品(まごころぜっぴん)」という日本財団が作業所の製品を後押しする仕組みの中で、チャレンジを強力に後押ししていただいています。よろしければ、このサイトをご覧ください。

 今回は、紙折り機の購入助成、チャレンジ製品の後押しなどに関して多大な援助に対して、日本財団から多くの支援を頂いていることの報告をいたしました。

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完成しました! 点字版『鉄道手帳』

輿水 辰春

 本紙63号でお知らせしました点字版『鉄道手帳』が、この秋、完成しましたので、ご報告いたします。

 「『基本地図帳』製作で培ったノウハウを、趣味的な分野で活かせないだろうか」というのが製作のきっかけでした。ちょうどその頃、視覚に障害のある方に鉄道ファンが多いことを知り、「ファンだからこそ見る目は厳しいが、やってやろう」と製作に入りました。構想段階からかれこれ2年近くの時間を要し、ようやく日の目を見ることになったわけです。

 本書の原本は東京書籍から2009年9月1日に発行された『鉄道手帳』(今尾恵介監修)で、コンパクトながら、日本の全鉄道情報を網羅した図書です。この本から全てのJR路線と旧国鉄・JRから転換した第三セクター路線のみを抜粋し、内容を読み物編と地図編に分け、編集しました。JRと第三セクターのみとはいっても、点字図書となったとき、読み物編は全4巻で約800ページ、地図編は全22枚の地図となりました。読み物編では「駅一覧(駅名・起点からの距離・停車する列車の区分)」「路線プロフィール」「おもな列車」を収録。地図編では日本を8地方に分け、全体図と拡大図をエンボス点字で再現し、鉄道情報に特化した点字地図としました。現在、多くの盲学校で社会科教材として使用していただいております『基本地図帳――世界と日本のいまを知る』に次ぐ、センターでしか作ることができない点字図書。機会がありましたら、皆さまにも是非お手に取っていただければと思います。

 最後となりますが、本事業に対し、社団法人昭和会館様からご助成をうけまして、盲学校などの関係施設に寄贈させていただける運びとなりました。本紙上をお借りしまして、社団法人昭和会館様に心より感謝と御礼を申し上げます。

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新刊『点字から未来を』点字記念日に発刊

輿水 辰春

 既に月刊『視覚障害』やセンターのホームページでもお知らせしておりますが、春より募集しておりました「日本点字制定120年記念エッセイ」の入選者が決定いたしました。お名前とお住まいの県のみですが、この場をお借りして、お知らせいたします。

 池田瑛(兵庫県)、岡真澄(埼玉県)、小澤洋子(神奈川県)、岸博実(京都府)、長尾榮一(東京都) (五十音順・敬称略)

 応募作品全15作を、本事業にご協賛くださっているケージーエス株式会社の榑松社長と当センター理事長とで予備審査を行ない、選考に残った10作品を、審査委員長をお願いしております作家で日本文藝家協会副理事長の三田誠広氏にお送りし、入選作品として選ばれたのが上記5名の皆さまが執筆されたエッセイです。

 前号でもお知らせいたしましたが、入選作品のほか啓発面でたくさんの方々に読んでいただきたい作品も含めた作品集として『ルイ・ブライユ生誕200年記念作品集』『石川倉次生誕150年記念作品集』に続く、第3弾『点字から未来を〜日本点字120年記念作品集』を、まさに日本点字制定120年にあたる去る11月1日に発行いたしました。優秀作品として10作品のほかに、点字の神様こと阿佐博先生にお願いし、書き下ろしていただいた「未来の点字は国語改造論に〜日本点字120年に寄せて」と題した読み物を併載しました。点字出版の歴史、点字の市民権、そして点字の未来について、この夏の猛暑のシーズンにご執筆いただきました。日本点字120年の歩みを概観し、点字のこれからに踏み込んだ内容は点字に親しみのある方も、これからという方にも楽しく読んでいただける作品です。定価1200円(税・送料別)でお分けしておりますので、センターまでお問い合わせください。

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サイトワールド2010盛況のうちに

近藤 義親

 アジア各国から来られたアジア太平洋盲人福祉会議参加者を迎え、開会式は英語での通訳が行なわれる国際色豊かなサイトワールド2010となりました。

 1日の午後に開催された「視覚障害者と情報・通信・技術」をテーマとする世界盲人連合アジア太平洋地域協議会(WBU-AP)のシンポジウムでは、コンピュータが各国の視覚障害者の自立した生活を維持するのに欠かせない道具となっている現状が紹介されるとともに、アジア各国へ点字の普及に力を尽くされた方への賛辞の表明が相次ぐものとなりました。

 ゆうちょ銀行と沖電気工業株式会社のご協力により、郵便局のATM機器が展示され、多くの方がATM体験をしました。点字表示やハンドセットを装備したATMの配備は、着実に進んでいますが(皆さんのお近くの郵便局でも)、持参のイヤホンを、ATMのイヤホンジャックに接続することにより、操作手順や取扱金額および貯金の残高を知らせてくれる機能など、ユーザーの声を反映させてこられたメーカーの努力の様子がうかがえるATM体験会となったようです。

 8階会場では、電力会社と家電メーカー3社が小間を出され、地デジテレビやIHクッキングヒーターの競演となりました。特に東京電力株式会社は、第1回サイトワールドから参加され、IHクッキングヒーターの普及に努められると同時に、ユーザーとしての視覚障害者の声や要望を集められ、家電メーカーにフィードバックされてきました。そして、第5回の今回は、その成果ともいえる家電3社の揃い踏みとなり、各社それぞれに特長ある製品が展示されました。そして、その各社の説明員の皆さまには、製品の説明をするだけでなく、来場者の声や要望を熱心に聞き、集めるという共通点がありました。より安全で誰にでも使いやすい機器の開発を目指している各社の姿勢とその努力が、サイトワールドの会場で示され、発揮されたと申せます。

 サイトワールドは双方向の交流が熱心に展開されるところがあり、そのほかの小間でも、同じような交流が多くありましたことは申すまでもありません。大きな飛躍を感じることのできた小間もあれば、カメのような歩みでも着実に進歩していることを感じさせてくれる小間もありました。改めて、5回の開催を重ねたサイトワールドの歩みを実感するものでありました。

 新しいDAISY再生機、音声読み上げ機能付きの携帯、音声付ヘルスメーター、音声による目的地までの道案内、そして、拡大読書器、ルーペ、点字プリンター、点字ディスプレイ、点図ディスプレイなど、5年間の進化や進歩を実感された方も多いものと思います。

 インターネットの利用や、まさにIT技術を活用した視覚障害者の総合的な支援サポートの充実は、生活をもっと便利に快適にすることに繋がっています。サイトワールドでは、その充実振りを確認し、そして、それぞれの小間で、新しい発見や体験があったと思います。

 誘導と案内など、ボランティアの皆さまの応援とご協力にサイトワールドは支えられています。今年も多くの皆さまの応援をいただきました。3日の文化の日には、都立橘高校の生徒さんが誘導や案内のボランティアを体験されました。

 今年は、センターの職員がボランティアの皆さまの統括を担当しました。ボランティアの皆さまにご支援をいただき無事にその任を果たせたこと感謝とともに喜んでおります。

 さて、今年は本部案内所に来られて、来年の案内、パンフレットやチラシ、ガイドブックができたら、送って欲しいという申出が多くありました。例年に比べてもその件数は多いものがあり、サイトワールドが視覚障害者向けイベントとして定着してきたことを伺わせます。来場の皆さまと出展の皆さまによってサイトワールドが育まれているのではないでしょうか。

 昨年の開催時には、工事中の東京スカイツリーは約200mの高さでした。今年は497mになっていました。スカイツリーは足元が正三角形で、上方に向かって円形に変化しており、これを手で触れて理解してもらうため、骨組みはなくアルミの棒に断面を模したアクリル板約30枚を取り付けた模型を橘高校より提供いただき、会場に展示しました。これは、読売新聞の江東版に写真ともに掲載されました。

 来年はスカイツリーも634mになっているでしょう。いずれ地デジを含む各種の電波を発信することになります。サイトワールドも出展者、来場者、関係者によって、視覚障害者にとって大事な情報を発信し続けることになります。このイベントの事務局を支援センターが担い、今回も無事に業務を果たせましたことを喜びと感謝とともに報告いたします。

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「競い合い、助け合う コンサート 2010」のご報告

村上 晴香

 センター主催事業として、財団法人JKAの競輪補助をいただき毎年開催しております「競い合い、助け合う コンサート 2010」が去る10月9日(土)午後、東京都杉並区のセシオン杉並ホールにて行なわれました。当日は朝からあいにくの雨となりましたが、約400名の方にご来場いただくことができ、盛会のうちに終えることができました。

 コールトゥインクルスターの皆さまの華やかな歌声でコンサートが幕を開け、澤田理絵さんのソプラノがホールを圧倒し、会場を盛り上げます。第2部は澤村祐司さんの繊細な箏の音色が会場を包み込み、最後は踊正太郎さんの迫力ある津軽三味線の演奏で幕を閉じました。ご来場の皆さまから、あたたかい拍手をいただき、会場一体となって盛り上がりました。

 継続して本事業にご助成いただいている財団法人JKAをはじめ、出演者・実行委員・お手伝いの皆さま、会場に足をお運びいただきました皆さま、ご宣伝・チケットの売り捌きなどでご協力いただきました関係者の皆さまのおかげです。ここに深く感謝申し上げます。

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「第8回チャレンジ賞・サフラン賞贈呈式」のご報告

村上 晴香

 今年もたくさんのご応募をいただきました第8回チャレンジ賞・サフラン賞の選考委員会が、去る8月16日に当センターで行なわれ、選考の結果、チャレンジ賞に杉田正幸(すぎた まさゆき)さん、サフラン賞に奥野真里(おくの まり)さんが決定いたしました。

 杉田さんは大阪府立中央図書館司書の39歳。当センターが経営する授産施設「チャレンジ」にも1年間通所し、その間に大阪府の職員採用試験に合格。2000年4月より現在の職場に勤め始めました。そこで全国の公共図書館初となる、盲ろう者対象のパソコン個別利用支援を行ない、現在まで続いております。

 奥野さんは日本ライトハウス情報文化センター製作係主任の35歳。点字教科書の業務や図書館の蔵書校正などの業務に携わっておられます。また、NPO法人全国視覚障害児童・生徒用教科書点訳連絡会(教点連)の事務局長として、一般小・中学校などで学ぶ視覚障害児童・生徒が使用する点字教科書の製作供給の確立や情報の共有などに取り組まれています。

 受賞者の詳しい経歴につきましては、当センター発行の月刊『視覚障害――その研究と情報』No.268をご覧ください。

 コンサート前の舞台にて行ないました贈呈式で、お二人に賞状と賞金50万円、副賞のブレイルメモBM16が贈られました。また、ご来賓の矢田宏人様(厚生労働省社会援護局自立支援振興室長)、末久秀子様(杉並区障害者生活支援課長)、茂木幹央様(日盲社協理事長)、榑松武男様(KGS株式会社社長)から、あたたかい励ましのお言葉をいただきました。

 その後、お二人からはそれぞれ10分ほど近況と抱負をお話しいただきました。お二人の今後の活躍がとても楽しみです。

 ご来賓の方々をはじめ、贈呈式にご出席いただきました方、関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。

チャレンジが「点字毎日」に掲載されました。

高橋 和哉

 利用者の働きかけで、点字毎日が取材に来ました。視覚障害関係の企業や団体の製作場面を取材する「ものづくりの現場から」というシリーズ物への掲載で、点図カレンダー製作の現場ということで記事にしていただきました。

 全盲の佐木記者が3時間程度、カレンダー製作の現場、製版師の佐藤の仕事場を一通り見学し、製版からカレンダーをピンで綴じるところまで、一連の作業を体験してもらいました。

 中でも製版作業に根気と緻密さが求められることを実感してもらいました。線に沿って製版をすることの大変さはもちろんですが、それを等間隔で打つことの難しさを知っていただき、佐藤の製版作業の凄さを記事で強調してくれました。

 また、カレンダーの点字印刷から帳合、綴じまでの一連の作業では、利用者とのおしゃべりを楽しんでいる感じでした。

 これまでの一般紙掲載と違い、今回は、視覚障害者・視覚障害関係者が購読している媒体の掲載でしたので、異なった反響が来ました。

 小言を言われ続けたある視覚障害の方から、電話で「記事を読んで、カレンダーの主旨が理解できました。啓発の意味があるのですね。」と20部の注文を受けました。

 2010年10月21日 木曜日 点字版4512号(墨字版 637号)に掲載されています。

 点字毎日 HP http://www.mainichi.co.jp/corporate/tenji.html

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