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2011年5月8日発行 第68号 社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター

支援センターだより

皆さまへ

理事長 高橋 実

 3月11日(金)14時46分センターでは法人の役員会を開いていました。質疑の真っ最中で間もなくコーヒータイムという時間でした。センターが拝借しているこのビルはどう設計されているかは分かりませんが、風でも結構揺れます。ですから、当日も瞬間は地震だとは思いませんでした。しかし、左に右にと激しく揺れ出しましたので「これは地震だ」と思い、テーブルの下に潜りました。他の役員はどうしておられたか知りませんが揺れがなくなり、私たちが立ち上がると皆さん「潜っていたのですか」とびっくりされていました。生涯あのような怖い目には遭いたくないですね。余震が続いております。皆さまいかがでしたでしょうか。

 東北地方太平洋沖地震が東日本大震災と呼び名が変わったほどですから被害も未曾有。不幸にして亡くなられた方にはお悔やみ申し上げると共に、被災された皆さまに心からお見舞申し上げます。
それに、福島原発事故が重なり、「怖い」どころかこれから先に大きな不安と怯えを残しているだけにお見舞いの言葉もありません。
センターは職員もチャレンジ生もこれといった事故はありませんでした。ただ、売り物である本が崩れて何十冊かは傷がついて不良品になったということくらいです。役員は大変な被害で職員や利用生と同様に帰宅難民。センターのフロアで一夜を過ごしました。都内でも死者が出ましたので、私関係の北海道、九州、関西から「心配」の電話が暫く来ていました。

 当センターは、来たる7月センター開設25年を、11月社会福祉法人取得15周年を迎えます。また1998年5月盲大卒者ならびに盲学校卒者に社会参加するための経由施設として、「チャレンジ」を立ち上げて14年目に入りました。しかし、障害者自立支援法の成立によってチャレンジは、4月から就労継続支援B型「チャレンジ」に移行しました。そのようなことで、23年度は、これまで以上に心を引き締めて事にあたらなければならないと思っております。ただ、この世界は、50年以上の歴史と素晴らしい実績を持っている大手施設ばかりで、特に首都圏はその最たるものだと思います。センターを開設して事業を拡大し、社会福祉法人取得に軸足を置いたとき、「東京では波風が立つから大阪に戻るように」と、役員らの発言が堂々とされた中での運営は予想以上に厳しいものがありました。それに当時は、国が法人の統合・縮小を掲げていたこともあって法人取得までの足取りは厳しいものがありました。

 そんなことから、社会的な評価を得るまでの苦悩は微力な私にとっても職員にとっても大きな重荷になったことは確かなことだろうと思います。これからも大胆に各種事業を検証し、継続ないしは、身の丈にあわない事業は思いきって縮小ないし、中止していく勇気を持ち続けなければならないと思っております。
 盲大学生の学習支援などは、センター発足当初からの事業であり、それらを支えるためと啓発普及という観点から全国でも珍しい「専門点訳者実践養成講座」を1988年から開講すると共に、地道に「点字通信教育」も行なっております。

 また、点字に関わる職員のレベルアップとプライドが持てるであろうと、「点字教科書製作」に関わることの重要性を考え、厳しい文科省の資格審査を1年がかりでクリアして、2001年から事実上独占とも思われた大手3社の中に「盲学校用点字教科書著作本の入札」にも参加して落札できた教科書で、専門家である編集委員から点字教科書作りのノウハウなどを修得できました。それを生かして、2005年からは普通校に学ぶ視覚障害児童生徒が使用する点字教科書製作の依頼にも取り組んでいます。2009年と2010年には、小・中校の理数系補助教材も落札して、製作にあたりました。

 以下平成23年度事業計画の主立ったものについて簡潔にご報告させていただきます。

1. 記念事業
法人関係者、チャレンジ賞・サフラン賞受賞者、コンサート出演者ら4、50人を招いて記念祝賀会を行いたいと思います。 記念出版として助成が得られれば、『視覚障害者の暮らしと文化を豊 かに−企業の歩みと私の思い』『先達に学び業績を知る−視覚障害先覚者の足跡』の第2弾、『鉄道手帳 私鉄編』『鉄道手帳 公営交通編』『視覚障害者支援総合センター25年の歩み』(仮題)の点字・墨字・DAISYの3媒体で出版。

2. チャレンジ賞・サフラン賞の公募
詳細は後述の記事にて。

3. 月刊『視覚障害』の継続発行
月刊『視覚障害――その研究と情報』を4月から3月(No.275〜286)まで、点字・墨字・テープ(普通速と半減速)・フロッピー・メール・DAISYの6媒体で継続・発行する。年間購読料は、テープ(普通速2本)の7,200円と6,000円はそれぞれ据え置く。我が国では唯一の異色誌であることを心して、関係者の知恵と力を借りながら誌面作りに一層努力する。

4. コンサートの開催
詳細は後述の記事にて

5. 点字図書の製作・発行
学術専門書、参考書、各種試験問題集や是非読んでもらいたい本などで、既存の施設では出版しないであろう活字本の即点字化に努力する。

6. 点字教科書の製作・発行
学習指導要領の改訂で小学は23年度から、中学は24年度から新たな教科書を使用する。盲学校用、点字著作本は遅くとも7月末から編集作業に取りかかり、10月頃入札が予定されている。中学部についても小学部同様、編集・傍聴から参加する。また高校は25年度から実施されるが、教科については全国盲学校普通教育連絡協議会と既存の出版社との話し合いで製作・発行する。今年から来年にかけて対応していく。

7. 盲大学生の支援
詳細は後述の記事にて

8. 広報などの受託
自治体などの公的機関が発行する広報や印刷物の点字化ないしは朗読。

9. サイトワールド 2011 事務局受託
詳細は後述の記事にて

 なお、役員会で点字出版施設長に飯田三つ男、チャレンジ施設長に高橋和哉を承認。これまで同様理事長秘書とセンター統括に橋本京子、法人事務局長に近藤義親、所長は理事長が兼務することも報告された。

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第20回 専門点訳者実践養成講座の開催について

村上 晴香

 前回のセンターだよりでお知らせいたしました「第20回専門点訳者実践養成講座」ですが、東日本大震災の影響で助成が思うように進んでおりません。お問い合わせいただいた皆さまにはご迷惑をおかけいたしますが、決定まで今しばらくお待ちいただけますよう、お願い申し上げます。
 また今年度はその震災の影響を受けて、開講式は取り止めることとなりました。講座は下記の6講座は決定しておりますが、その他につきましては予定となっております。決定次第要項を作成し、ご希望の方にはお送りさせていただきますので、メール・FAX・電話にてご連絡ください。
 ご不明な点は担当の村上までお問い合わせをお願いいたします。皆さまの参加を心よりお待ちしております。

【会場】当センター会議室

【開講講座】
@日本語初級(毎週月曜10:00〜12:00、6/27〜10/31の全15回)
講師:飯田三つ男(視覚障害者支援総合センター点字出版施設長・点字技能師)
A日本語中級(毎週火曜10:00〜12:00、6/28〜9/6の全10回)
講師:北村雅美(視覚障害者支援総合センター職員・点字技能師)
B日本語上級(毎週木曜 10:00〜12:00、6/30〜9/1の全10回)
講師:飯田三つ男(視覚障害者支援総合センター点字出版施設長・点字技能師)
C音楽基礎(毎週火曜13:30〜15:30、6/28〜9/6の全10回)
講師:坂巻明子(視覚障害者支援総合センター「チャレンジ」職業指導員・点字技能師)
D英語(毎週月曜13:30〜15:30、6/27〜9/12の全10回)
講師:乙川利夫……理学療法士として病院勤務の後、三療免許を取得。1980年宮城教育大学卒業後、国立神戸視力障害センターに教員として勤務。1990年国立障害者リハビリテーションセンターに転勤。2009年退職後は、ギターと歌唱で活動中。趣味は落語と鉄道。
E邦楽<点字楽譜利用連絡会共催>(水曜13:30〜15:30、
6/29,7/13,8/3,8/24,9/7,9/21,10/21,10/19,11/9,11/16の全10回)
講師:澤村祐司……東京藝術大学音楽学部邦楽科箏曲生田流専攻を経て、同大学院修了。現在は宮城会、重音会、森の会のほか、大学の同級生と結成した「箏七星」や、現代詩と音楽グループ"VOICE SPACE"に所属し、作曲やアレンジにも取り組んでいる。
アシスタント:小畔京子……NHK邦楽技能者育成会48期修了。東京藝術大学音楽学部邦楽科生田流箏曲専攻卒業。在学中宮城賞・安宅賞、卒業時にアカンサス音楽賞を授賞。同大学院修了。宮城道雄記念コンクール一般の部一位入賞。

【開講予定講座】
理数、情報処理、実践 ほか
※期間中、やむを得ない事由を除いての欠席はお控えください。

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第9回チャレンジ賞・サフラン賞 候補者公募のお知らせ

村上 晴香

 今年もチャレンジ賞・サフラン賞の候補者公募が4月1日にスタートいたしました。昨年の第8回は大阪府立中央図書館司書の杉田正幸さん、日本ライトハウス情報文化センター制作部点字製作係主任の奥野真里さんが受賞されました。
 当センターホームページ(http://www.siencenter.or.jp/)にて応募用紙がダウンロードできます。@BSE(点字)AWordBテキストの3つの様式でご用意しておりますので、ご利用下さい。また、電話・FAX・E-mailでお問い合わせいただければお送りさせていただきます。皆さまのご応募お待ちしております。
 ご応募の際には、応募用紙と推薦文(墨字で1,000字程度)をご提出いただきます。詳細につきましては「応募要項」ならびに「応募方法について」をご覧ください。なお、ご提出いただきました応募書類につきましては返却いたしませんのでご了承下さい。ご不明な点などにつきましては、担当の村上までお尋ねください。

【名称】
「チャレンジ賞(男性)」「サフラン賞(女性)」
【対象】
視覚障害のある、いわゆる若い男女で身体障害者手帳所持者。自薦・他薦を問いませんが、職業自立して視覚障害者の文化の向上と福祉の増進に寄与しようとしている人で、気迫と体力と人間味のある人。
【選考と受賞者の決定】
選考は、当センターが委嘱した委員で構成する選考委員会で各受賞者1人を決定し、8月末までに受賞者に通知すると共に、センター発行の月刊『視覚障害――その研究と情報』と『支援センターだより』で公表し、関係する報道機関などにも関連記事の扱いを依頼します。
【応募期間】
2011年4月1日(金)〜7月29日(金)消印有効
【表彰】
いずれも賞状と賞金50万円、副賞KGS賞(Braille Memo BM16)を贈ります。
【贈呈式】
2011年9月10日(土)セシオン杉並でセンターが主催するコンサートの席上にて行ないます。

●これまでの受賞者は次の方々です。 (年齢・職業は受賞当時)
第1回
 チャレンジ賞   渡邊 岳さん(弁護士・36歳)
 サフラン賞    高橋玲子さん(玩具メーカー勤務・35歳)
 *サフラン特別賞 中間直子さん(三療業・40歳)
第2回
 チャレンジ賞   広瀬浩二郎さん(国立民族学博物館研究員・36歳)
 サフラン賞    三宮麻由子さん(外資系通信社勤務、エッセイスト・37歳)
第3回
 チャレンジ賞   川畠成道さん(ヴァイオリニスト・33歳)
 サフラン賞    澤田理絵さん(ソプラノ歌手・31歳)
第4回
 チャレンジ賞   南沢 創さん(公立中学校音楽教諭・33歳)
 サフラン賞    定家陽子さん(JICA勤務・35歳)
第5回
 チャレンジ賞   中根雅文さん(サイバー大学准教授・35歳)
 サフラン賞    青柳まゆみさん(筑波大学非常勤職員・33歳)
第6回
 チャレンジ賞   踊正太郎さん(津軽三味線奏者・31歳)
 サフラン賞    溝上弥生さん(愛知県立名古屋盲学校教諭・38歳)
第7回
 チャレンジ賞   伊藤丈人さん(青山学院大学非常勤講師・31歳)
 サフラン賞    大日方久美子さん(読売新聞東京本社ヘルスキーパー・34歳)
第8回
 チャレンジ賞   杉田 正幸さん(大阪府立中央図書館司書・39歳)
 サフラン賞    奥野 真里さん(日本ライトハウス情報文化センター制作部点字製作係主任・35歳)

*サフラン特別賞は第1回のみ

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「競い合い、助け合う コンサート2011」を開催します!

村上 晴香

 財団法人JKAの競輪補助事業「平成23年度障害を持つ人が幸せに暮らせる社会を作る活動補助事業」として、「競い合い、助け合う コンサート2011――羽ばたけ視覚障害音楽家たち」を開催します。
 昨年よりほぼ一月早い9月10日の開催となります。
 是非皆さまのご予定にお入れいただき、当日足をお運びいただけますようお願いいたします。

 このJKA補助事業でのコンサートも今年で8回目となり、だいぶ定着してきた感もありますが、より多くの皆さまに会場へ足をお運びいただき、若い視覚障害音楽家の方々の演奏に耳を傾け、視覚障害者に対するご理解とお力添えをお願いしたいと思っております。
 今年も会場はセシオン杉並ホールです。

 次の4組の方々にご出演いただきます。

 沖縄出身で現在、沖縄の歌・琉球民謡・世界の歌曲・オペラアリアなどを中心に、全国各地で演奏活動をしております、ソプラノ歌手の読谷山こずえさん。
邦楽家で昨年に引き続きセンター主催の専門点訳者実践養成講座邦楽講座の講師をしてくださいます澤村祐司さん。
筑波大学附属盲学校ハンドベルクラブOG会「あかね」は1994年に結成され、20代から40代の女性10名前後のメンバーが中心に活動をしているハンドベルチームです。
そして毎年賛助出演していただいております女声コーラスのコール・トゥインクルスターの皆さんです。

 このような趣旨のコンサートは通常の宣伝活動をしてもなかなか来場者が増えません。視覚障害者が音楽家として活動していくには、チャンスとチャレンジの場が少ないのが現状です。理事長の思いをご理解いただき、皆さまにも是非宣伝にご協力いただきたいと思います。

 チケットのお求めや売り捌きにご協力いただけるという方は、是非センターまでご連絡ください。

【日 時】平成23年9月10日(土) 午後
【会 場】セシオン杉並ホール(杉並区梅里1-22-32 電話03-3317-6611)
【出演者】(50音順)
      コール・トゥインクルスター ―(女声コーラス)
      澤村 祐司 ―(箏曲)
      筑波大学附属盲学校ハンドベルクラブOG会「あかね」 ―(ハンドベル)
      読谷山こずえ ―(ソプラノ)

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サイトワールド2011 東日本大震災と視覚障害者

近藤 義親

 11月に恒例となりましたが、いつも新しい何かと、気づかされることのあるサイトワールドは、今年も11月1日(日本点字制定の日)、2日、3日(文化の日)の会期で、会場もこれまでと同じ、JR総武線・東京メトロ半蔵門線 錦糸町駅前のすみだ産業会館(丸井錦糸町店8・9階)にて開催されます。今年で6回目となります。
 サイトワールドは、「触れてみよう、日常サポートから最先端テクノロジーまで」をテーマとして、最先端の技術に触れ、その技術進歩を確認する場でもあり、多くの方が、新製品や新技術、新サービスをより身近なものとして捉える場ともなっています。

 これは、出展者と来場者により、双方向の交流が実現していることに他なりません。最近の大手家電メーカーの出展は、商品や新製品の紹介だけでなく、ユーザー(特に視覚障害者)の意見や希望が、製品や商品に反映していることが紹介され、確認できるものとなっています。
 出展者の開発技術者やサービス提供者が、ユーザーや来場者と交流を図り、製品の操作や使い易さについての意見交換を行ない、サービスの満足度向上のためのアイディアの検討などの多岐に亘る交流の場の定期的な開催は、視覚障害者の福祉文化の向上に資するサイトワールドが目指す方向でもあります。
講演会やシンポジウム、フォーラム、企画展など、サイトワールドならではのユニークな企画を例年、行なってきました。今年は、東日本大震災という未曾有の災害があり、原発の心配も続いていますが、地震や津波の災害に視覚障害者がどのように遭遇したか、徐々に明らかになりつつあることから、サイトワールドでは、被災された視覚障害者の方々を招いて、シンポジウムのような形で、災害時や避難後の問題、生活再建の問題などを考えたいと企画を検討中です。

 支援センターだよりの読者の皆さまの中にも、貴重な体験された方や、ご存知の方も多いものと思います。アイディア等ありましたら、お寄せください。シンポジウムや企画の参考にさせていただきたく思います。皆さまに育てられているサイトワールドでもありますから、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 例年通りサイトワールド2011のお知らせパンフレット、ガイドブックの点字版・墨字版(無料)を、準備でき次第、ご希望の方にお送りしますので、電話03-5310-5051 FAX 03-5310-5053 事務局 近藤までご連絡ください。

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平成23年度 奨学生決定

奨学生リクエスト担当 小松 利明

 奨学生となられました16名の皆様、大学合格ならびに奨学生決定、本当におめでとうございます。これからの学生生活を、この奨学生制度を大いに活用しながらお過ごしください。(50音順、敬称略)

みずほ福祉助成財団 盲学生点訳介助事業 奨学生(3名)

池田 サラジェーン 札幌大谷大学短期大学部 音楽学科
古賀 孔士 東洋大学 社会学部 社会学科
田 采花 和光大学 現代人間学部 心理教育学科

メイスン財団 盲学生点訳介助事業 奨学生(10名) 単年度

大月 裕夫 武蔵野音楽大学 音楽学部 器楽学科
小島 彩音 京都光華女子大学 文学部 英語英米学科
小野 悠 大阪体育大学 健康福祉学部 健康福祉学科
小岩井 亜樹 ルーテル学院大学 総合人間学部 臨床心理学科
竹内 涼 桜美林大学 健康福祉学部 社会福祉学科
中蔦 麻希 関西福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科
中屋敷 綾 大正大学 人間学部 人間福祉学科
宮内 亜衣 清泉女子大学 文学部 文化史学科
ロイ・ビッショジト 佛教大学 文学部 英米学科
輪島 洋行 ルーテル学院大学 総合人間学部 社会福祉学科

聖明・朝日盲学生奨学金 奨学生(3名)

     
大山 桂司 熊本学園大学 社会福祉学部 第二部社会福祉学科
信國 沙織 東洋大学 社会学部 社会福祉学科
長谷部 亮治 日本大学 文理学部 数学科

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東日本大震災発生時のセンターの様子

センター防火管理者 高橋 和哉

 この大地震が起こった当日のセンターの様子をお知らせいたします。
 センターが入居しているKeiビルの建築面積は、約100u(12m×9m)で、8階建てです。いわゆるペンシルビルです。風の強い日なども結構揺れるので、この地震時の上階の揺れは尋常ではありませんでした。
 当日は、理事会も開かれていたので、センター関係者は、総勢31名でした。(内訳は、職員が12名、利用者が11名、理事が6名、ボランティアが2名。うち障害者が14名。)

 大きな横揺れでしたが、破壊的なものでなかったので、揺さぶられている最中に、「東海地震かな?静岡あたりだろうか?津波が来たら、新幹線、東名高速などの大動脈はどうなるのだろう?」と考えていました。結局、震源は東北でした。
 風でも揺れる当ビルは、揺さぶられながらも躯体に影響はありませんでした。

  地震発生直後は、全員建物内にとどまってもらい、地震の恐怖を抑えるためコミュニケーションをとってもらい、明るい雰囲気を保つことを念頭に行動しました。また、断続的に続く揺れは、鉄道の復旧を遅らせるのも確実でしたので、早い時点から、当日の鉄道は動かないことを前提に、31名の帰宅手段を考えました。それと同時に、コンビニで約20名分のおにぎりや菓子パンを購入しました。

 15時30分頃に、徒歩で帰宅可能な杉並区在住の方に帰っていただきました。
 後々、後悔する事になりましたが、地震直後もバスが運行していましたので、足立区方面の職員1名と利用者1名、田町・蒲田・目黒方面の職員1名と利用者3名に、幾つかの約束事を決めて、バスで帰ってもらうようにしました。出発したのが17時でした。

 結果的には、皆さんもご存知の通り、彼らは大渋滞につかまり、非常に辛い帰宅を強いられたようでした。6名中2名は帰り着かず、公的な避難所で一夜を明かすことになり、残り4名は深夜になって帰宅できました。

 公共交通を利用せずに帰宅できる6名の職員、利用者が20時頃までに帰宅し、最終的には、9名がセンターで夜を明かすことになりました。
翌朝には、多くの鉄道が復旧したので、8名の皆さんに帰っていただき、私は、地震当日休んでいた利用者と電話連絡をとり、早朝に帰った方々の帰宅確認をしました。全て終えたのが、12日の14時でした。

 交通網が壊滅的になる場合の対策はしていたのですが、今回のような地震直後でさえ、一部公共交通が動いていることは、「想定外」でして、バスを利用した帰宅を指示してしまいました。しかも都心に向かう人たちでした。

 私は、地震発生時、8階にいて、すぐさま扉付近の人に扉を開けっ放しにするように指示しました。その後、揺れが収まったあとも漫然と留まっていましたが、火災の恐れを考えれば、揺れが収まった直後に非常階段から階下に誘導すべきだったと反省しています。
 もちろん、あのような地震は起きないことを願いますが、東海地震や直下型の地震が来ることを想定し備えをしていれば、ダメージも低く抑えられると思います。

 障害者も含めて31名の方が、誰一人怪我せず、無事に帰宅できたことは、幸いでした。バスで帰宅した皆さんは、無事に帰れたから良かったものの、次回の地震時の反省点としてしっかりと肝に銘じて、文書に残しておきました。

 最後に、この地震で多くの方が亡くなり、未だ行方不明者が1万人以上という悲惨な状況が、東京から2時間余りのところで起きています。また、原発の問題も収束の目処が立たず、数十年のスパンで日本に重くのしかかります。
 これを機会に、個々の日本人が節電、節約を本気に考えてそれを行動に移せば、新しい社会が見えてきます。そうすれば、また、日本は世界をリードしていくことができるでしょう。
 個人的には、首都機能を福島方面へ移転するような、思い切った復興を願っています。

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チャレンジの近況です

施設長 高橋 和哉

1. 今年度の目標
 4月から障害者自立支援法に基づく就労継続支援B型施設「チャレンジ」となりました。(これまでは、小規模通所授産施設「チャレンジ」でした。)肩書きが変わるだけで中身は変わりません。職員からしてみれば、事務量が増えたことでしょうか。
 現在、利用者は17名です。視覚障害のみの利用者は、数えるほどです。精神的に不安定だったり、脳性まひの方や、重複の視覚障害者が大半を占めるようになりました。
 様々な障害を理解するには、もってこいの場となりつつあります。それだけに、利用者としては、しんどい部分もあると思いますが、皆さんには、他の障害を理解するよう精神的にも頑張っていただいてます。
 一番大きな看板は、これまでどおり「利用者第一」ですが、それとは別に、施設長1年目の課題として、「障害の理解」「情報提供」「まちづくり」「地域に根ざす」と4つのキーワードを掲げました。これらの課題は、それぞれ絡み合ってますので、一つでも欠けると、全体の目的は達成できません。
 この3月に「様々な障害者に対応できるIT環境の整備」を東京都の助成で行ないました。その機器を使って、4月から5回〜6回/月のペースで、作業終了後、パソコン教室を開いています。即座に結果が現れるものでないので、あせらずに利用者全員がパソコンをそれなりに使いこなせるようになることを目標としています。
 「情報提供」としては、視覚障害鉄道ファンに、日刊の「交通新聞」点訳版(抜粋)を毎日データ送信する準備を進めています。今は、3名のモニターに配信している状況です。彼らから意見を聞かせてもらい、本格始動に向けてバージョンアップの日々です。
 最終目的は、ロービジョン者への情報提供です。
 「障害の理解」「地域に根ざす」としては、「移動」に焦点をしぼって、様々な障害者の講演を企画しています。聴衆は、チャレンジ利用者だけでなく、杉並一般区民も考えています。それを実現できるように、杉並区に提案書を提出しました。結果は5月中に、出ます。提案が通れば、必要経費の助成と「広報すぎなみ」を通して区民への周知が図れます。その時は、この場をお借りして、ご案内をさせていただきます。
 もう一つ、「地域に根ざす」ために、杉並区の高齢者施策課が行なっている「長寿応援ポイント事業」にボランティア登録団体として認可請求をしていました。先日、ありがたいことに活動が認められて認可が下りました。この5月から60歳以上の区民のボランティアに、商品券に代わるポイントをお配りできるようになりました。杉並区でも当センターの活動を紹介してくれるので、これまで以上に当センターに関心を持っていただけると思います。
 「まちづくり」に関しては、これまで一人で行なってきました。しかし、この1年で活動に関心を持つ人が現れて、活動の幅が広がることを期待しています。
 私事ですが、昨年度は、交通エコロジーモビリティ財団(国土交通省関連)からの助成金で交差点における点字ブロックの考え方を調査研究しました。この研究に徳島大学大学院教授が興味を示してくれたので、今年度も引き続き、共同で研究を進めることになりました。

2.チャレンジの日々の活動報告
 チャレンジは2階で主に軽作業、3階で点字校正を行なっています。階が分かれていることもあり、これまでは、2階と3階の利用者の対応に差がありました。また、モチベーションや考え方にも差がありました。
 当たり前のことですが、4月からは、職員全員が利用者全員のことを把握し、全ての利用者に対して、偏りがないように職員全員で対応できるような体制作りを行なっています。
 頻繁にチャレンジに来てくださるボランティアの方々が気持ちよくお手伝いしていただく環境をソフト、ハード両面で行えるよう、日々格闘しています。
 2階では、12名の利用者が活動しています。お茶の時間は一斉にとりますので、週代わりで、お茶当番を決めて、ボランティア、利用者に対してお茶を出しています。時々、コーヒーの入っていないコーヒーや砂糖水のような紅茶が出てきたりしますが、お互い様ですので、皆さん、笑いながら楽しく頂いています。トイレの掃除は毎週金曜日に月替わりで行なっています。視覚障害者のことを考えて、道具は一切使わず、全て手作業で行なっています。始めは抵抗もあったと思いますが、今では生活の一部として、当番をやっていただいています。
 3階は、全員でお茶を飲むことはありませんが、これまで職員に頼っていたお茶出しを利用者が出来るように環境を整えました。今では、お茶、紅茶、コーヒーなどを揃えていますので、飲み物を選択できて、自由にお茶が飲めるようになりました。あとは、トイレ掃除や身の回りの掃除を嫌々でなく、生活の一部として当たり前にできるような環境づくりをしていきます。
 月1回ですが、区内のパン屋(店名 PUKUPUKU)が障害者と共に、チャレンジまで出向いて販売してくれます。値段は少々高いですが、パン屋で働く障害者の工賃にもなりますし、チャレンジ利用者の楽しみでもあります。他の作業所の利用者とのつながりも広がっています。
 1日の連絡を徹底することが狙いで、数年前から毎朝、ミーティングを行なってきました。開始は、8時50分からです。このミーティングも根付いたので、これからは、もっと効果的なものにしていく必要があります。ミーティング後の5分間のストレッチも生活の一部として根付きましたので、少しは健康増進につながっていると思います。

 小さなことですが、確実に前に進んでいます。これからも気がつけば、「利用者の力が上がっている」ような場として、「チャレンジ」が認められるように頑張っていきますので、これまでどおりのご支援をよろしくお願いします。

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『鉄道手帳 私鉄編』鋭意製作中

輿水 辰春

 既にお知らせしております点字版『鉄道手帳 私鉄編』(以下、『私鉄編』と記します)の製作が鋭意進行中です。

 前回の『鉄道手帳』の製作にあたっては、『基本地図帳』で培った大判の地図を製作するノウハウがセンターにはあったとはいえ、「点図のベースとなる元の図をどうするか」「縮尺率は?」「地域区分はどう扱う?」「いかにして地図編と読み物編の整合性をとるか」などなど乗り越えなければならない課題が山積しておりました。そうした諸課題を一つ一つ手探りで克服するために費やされた時間が実に膨大だったのです。そして、このことは、大きな反省材料として私の心に止まっていました。

 今回『私鉄編』製作にあたって実感していることがあります。前回に課題克服のために用いた方法論を援用することで、製作時間が大幅に短縮されているのです。1枚の正確な点図を作るために費やされる時間は4分の1以下になっていると感じます。
 そうした次第ですので、現在のところ『私鉄編』は「予定通り乃至は予定より早い」製作作業となっています。今年夏には発刊の予定ですので、いましばらくお待ちください。またその後に続く『公営鉄道編』の製作前倒しを合い言葉に、関係スタッフ一同、油断大敵で製作作業を続けていきます。

 最後となりますが、先の震災で被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。震災後、津波に押し流された列車や駅舎の、目を覆いたくなるような惨状が報じられていました。しかし、およそ2カ月が経とうとする中で、運転を再開する路線も増えてきています。「レール」はしばしば人生のメタファとして用いられます。今、再び本来の役目を果たさんとする鉄路がたくさんの人々の希望の道とならんことをと願って止みません。

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月刊『視覚障害――その研究と情報』今年度も誌面充実

輿水 辰春

 いつも皆さまにご愛読いただいております月刊『視覚障害――その研究と情報』は、前身誌である『新時代』創刊から今年で48年となります。また、文月会から当センターに製作発行が引き継がれたのが2001年5月ですから、「センターの顔」としての本誌はちょうど10歳ということになるでしょうか。これまでお読みいただいていた方に加え、新しい読者の方も徐々にではありますが増えておりますことは、視覚障害に対する社会の理解が一歩ずつ進んでいることの証左でもあるように感じます。スタッフ一同、充実した最新の情報をいち早く皆さまのお手元へお届けできるよう、粉骨砕身して参りますので、一層のお引き立てのほどよろしくお願いいたします。そして、身のまわりにお読みでない方がおられましたら、是非おすすめください。

 23年度の本誌の内容ですが、これまで以上に時事性・速報性に対応した形が求められていると感じております。去る3月号(No.274)では、今年1月に発生した視覚障害者のホーム転落事故を受けた記事を掲載しましたところ、たくさんの反響の声をいただきました。時事性の高い内容に加え、本誌独自の編集方針を受け入れていただいたものと思いました。
そんな中、発生した今回の大震災です。いくつかのメディアでも報じられているとおり、被災現場ではたくさんの視覚障害者の皆さんが、まさに「災害弱者」として日々をお過ごしになられていることだと思います。この問題に対し、近々に本誌なりの形で問題提起をすることが使命の1つです。また、障害者自立支援法の改正法案は施行までの間、しっかりと追い続けていかなければなりません。

 好評の「先達に学び業績を知る」「ロービジョンリレーエッセイ」などの連載に加え、若手有望株の片岡亮太さんによる「New York 奮闘記」も必読の月刊『視覚障害』は、点字・墨字・テープ・DAISY・フロッピー・メールの6媒体で発行しております。年度途中から遡っての購読も可能ですので、事務担当伊藤までお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

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「チャレンジ」職業指導員として

坂巻 明子

 この4月より私は「チャレンジ」職業指導員として勤務することとなり、1ヵ月が経ちました。もともと私はいろいろな人とコミュニケーションをとることが好きですから、「チャレンジ」で指導できることを一つの喜びと考えています。

 私は主に「チャレンジ」の点字指導を仕事としているため、一人一人の校正能力やレベルを上げていくにはどうしたら良いのか常に考えていかなくてはならないと思っています。
 利用者は一人一人性格が違うのはもちろん、育ってきた環境や年齢もさまざまですから、私はそれぞれの人としっかり向き合っていき、少しずつ校正のレベル、パソコン技術の向上をさせ、正確・迅速な仕事ができるようにしていきたいと思います。指導するということは、常に利用者一人一人の立場に立って物事を考えられる人でいなければなりませんし、いろいろな意見を受け取る中でそれを無駄にすることなく生かしていくことも大切です。私の器はまだまだ小さいですが、自分を成長させつつ大きな器にしていきます。何がわからないのか、わかってもらうにはどんな方法で説明をすれば良いのかなど、とにかくアプローチの方法を多くの視点から見つけ出していきたいです。
 利用者の皆さんが「チャレンジに来て良かった」と思ってもらえることがなによりですし、「やりがいある、責任ある仕事を任されているのだから頑張ろう!」という前向きで輝いている人を育てていきたいと思います。その「責任ある仕事」をしたということから就労に繋げていきたいとも考えています。

 理事長が点字の質の向上と就労に繋げようと、点字技能師制度創設に努力され、2000年度に行なわれた点字技能師試験の第1回目で私はパスしました。センターには現在晴盲合わせて6人がこの資格を持っていますし、チャレンジしている人も何人かいます。点字に関わろうとする人は点字技能師をクリアしようという意欲を持って欲しいとも考えていますので、試験に向けての指導もしていきたいと思います。

 また、「チャレンジ」がすばらしい施設であることをたくさんの人に知っていただき、通所してくる利用者が増えるように、指導員のレベルアップも必要でしょう。「チャレンジ」としてどんな仕事をやるのが良いのか、やりがいある仕事は何かなど、指導員それぞれが仕事を見つけていくことも大切です。そして、一人でも多くの利用者が就労し、巣立ってくれればと思います。

 私はまだまだ勉強が必要ですし、始まったばかりのことですからいろいろと模索中です。「チャレンジ」が成長できるように、理事長をはじめ施設長、周りの職員や支える会のみなさん、多くのボランティアさんにたくさんのお力をお借りすることになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

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