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2011年11月29日発行 第70号 社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター

支援センターだより

皆さまへ

理事長 高橋 実

 今年も残すところ一月となってしまいました。いつものことですが、新年を迎えるにあたり「今年こそは」と決意をした事柄で、し残したことはないだろうかと考えるのですが、今年はあまりにありすぎるように思います。被災された方や亡くなった方には不適切な言葉だと思いますが、3月11日の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で大半の助成団体はこれまでの助成金の大部分を被災地の支援金に振り向けています。その復旧・復興には気が遠くなるほどの期間が必要だと言われています。被災された方や亡くなられた方に心からお見舞い申し上げるとともに、お悔やみを申し上げます。

 年のせいばかりではないと思いますが、私は昔から早起きで、1995年1月17日5時46分には事務所でラジオを聞きながら仕事をしていました。「地震」ということで、神戸・大阪・京都にいる仲間たち十数人と子ども2人に電話をしましたが、幸いその被害には遭っていませんでした。今回は日中で私自身が驚いたことと、ライフラインが使えないとかで、全く電話などはしませんでした。高校が盛岡でしたから、岩手・宮城・福島の3県には知った人が大勢おりましたし、支える会会員も多数おられますが、安否確認は全くせず、失礼してしまいました。

 9月17日岩手盲の創立100周年記念事業で、出かけていましたが、犠牲になった人はいないと聞きました。ただその朝も4時26分震度4の地震で、ホテルの4階に宿泊していましたが、あまりいい気持ちはしませんでした。東京でもしょっちゅう再々の地震で恐ろしいことに慣れてしまった感じですが、被災された皆さま、寒くなってきましたので体調には充分ご注意の上お過ごしください。

 この11月1日は法人認可15周年ですから、助成を受けて社会貢献をしたいと思っていましたが、先のような状況で、ほとんどの助成申請が不採択となりました。しかし、専門点訳者実践養成講座はとりやめるわけにはいかず、実施しました。

 また『企業の歩みとわたしの思い〜視覚障害者の暮らしと文化を豊かに』も助成を受けて出版し、支える会会員をはじめ、盲学校や情報提供施設など、広く皆さまに読んでいただくため、寄贈したいと思っていましたが、全額アウトでした。

 しかし、できるだけ早く1冊の本として、皆さまの目に触れていただきたいという思いから、いささか高額な本になってしまいましたが、出版に踏み切った次第です。この時代、このようなトップや事業が広がらない限り、私たち障害者はもとより、社会全体が幸せにはなれないと思います。今騒がれもし、高い評価を受けていますスパコン「京」が1兆の1万倍の計算ができる世界一のコンピュータだということも大事でしょうが、今回取り上げました12人をはじめ、それに関わっておられる方の姿勢と事業もそれに匹敵することだと私は思います。本来ならもっと多くの皆さまの考えと仕事をご紹介したかったのですが、そこが小規模零細施設の悩ましいところで、残念無念です。

 次にこんなセンターが社会に認知されたということです。『視覚障害――その研究と情報』12月号に私が書きました「社会貢献者表彰の喜びを、さらなる躍進に」という記事を転載させていただきました。心底嬉しいことです。
 私は関係者に盛り立てていただき、色々な賞をいただきましたが、今回の賞は職員に対する励みになることはもちろんのこと、このセンターを支えてくださっている皆さまにも喜んでいただけると思っています。「理事長ははしゃぎすぎだよ」と思われる方も多数おられると思いますが、職員が一層「やる気」を出し、チャレンジ生とその保護者も誇りを持ってくれるものと思っています。
 加えて賞金50万円がいただけるとのことです。これは来年の7月に迎える「センター開設25周年記念」で活用させていただこうと思っております。

 去る11月21日、都内・帝国ホテルで行なわれた公益財団法人社会貢献支援財団の「社会貢献者表彰式典」で当センターも社会貢献者表彰を受けました。法人を代表して、重ねて社会貢献支援財団に対し感謝申し上げるとともに、今日までセンターを育て、支えてくださった全国津々浦々の支える会会員の皆さまを始め関係者に幾重にも御礼申し上げます。2012年7月にセンター開設25周年を迎えることからも、これをバネに更なるお力添えをいただき、努力していきますことを誓います。

 当センターは、1987年7月東京杉並の成田東で民家の2階を借り受け、日本初の「盲学生情報センター」として発足しました。その後各地で街頭募金を行なったり、ご寄付をいただいたりして基本金1億円を作り出し、1996年5月拠点を現在地に移し、11月1日に待望の「社会福祉法人」を取得、今年認可15周年を祝いました。この機会に改めて2000年以降センターが取り組んでいます事業、ならびに「それまでの歩みがあったればこそ」との思いを込め回顧させていただくことをお許しください。

センターの事業

1.月刊『視覚障害――その研究と情報』を6媒体で発行
2.チャレンジ賞・サフラン賞の制定
3.点訳者養成講座と点字通信教育の実施
4.盲大学生の学習支援
5.視覚障害音楽家の社会参加促進
6.点字教科書の製作・発行、点字図書の発行
7.啓発活字図書の編集・発行
8.広報紙などの受託
9.就労継続支援B型チャレンジの経営
10.サイトワールド事務局受託
11.イメージ商品の販売

これまでの歩み

 センターのルーツは60年前の1951年にあります。1949年盲人の大学進学が認められたことから、1951年当事者で「大学の門戸拡大」「学習環境の整備」「卒業後の職域開拓」などを目的に日本盲大学生会を組織し活動を始め、私も1954年進学して会員になりました。門戸開放後7年間は毎年20人前後の進学生がいましたが、就職先が飽和状態になり、就職浪人が増え「盲大生よ、どこへいく」「大学は出たけれど」と揶揄され、生徒を送り出す盲学校も慎重になっていき進学生は激減しました。私も就職浪人、学生会も1958年に自然消滅しました。

 2年後、私は待望の毎日新聞点字毎日の記者として職業自立できましたが学生会の自然消滅はショックでした。先輩諸氏がこじ開けてくれた「大学の門戸」を拡大することが後に続く私たちの責任ではないのか。視覚障害者に適切な職業といわれる理療を継承するためにも職業選択の幅を広げなければならない。学習環境も当事者が働きかけなければ改善はされない。

 入社2年目の1961年7月、仲間に呼びかけ大阪で27人が集まって文月会を立ち上げました。学生会が掲げていた3つの目的を踏襲すると共に4つ目に「社会の理解と支援を得るための啓発活動」を加え、翌年中部、63年には関東で会合を持ち、足下を固め、同年秋『視覚障害』の前身『新時代』を創刊しました。「学習即実践」を合い言葉に各種集会や講演会、大会、並行して社会の理解と支援を広げるために国会請願署名も全国的に5回繰り広げ、1978年に行なった請願はこの種の請願では例をみないと言われた衆参両院本会議で全会一致採択されました。法的に効力はありませんが、立法・行政・社会の認識が深まり、職域開拓や門戸拡大では成果を上げることができました。

 職域では71年東京都職員採用で「福祉職C」という点字受験枠が作られ2人が合格したのを皮切りに、地方公務員、教員や司法試験などでも点字受験が認められるようになりました。91年、国家公務員の点字受験が認められたのをピークに公的試験への点字導入が広がりました。また、大学も少子化と時代の趨勢で進学がスムーズに進むようになりました。

 一方、会発足20周年と国際障害者年を迎えた81年を境に、活動の広がりと会の躍進を図るためには私宅に置いていた事務所を含め拠点を東京に移すことや会の安定を図るために法人取得が急務だという内外の声に応え準備に入り、86年7月私の定年退職を機に「東京で課題に取り組んで欲しい」という会の意向と「活動の集大成」という私の思いが重なり上京しました。

 86年4月には日本初の「盲大生点訳介助事業」を富士(現・みずほ)福祉助成財団が創設し、その運営を委託したいという申し入れもセンター開設に拍車をかけ、その点訳者養成の必要に迫られ年末から「専門点訳者実践養成講座」を開講しました。

 視覚障害者の教育・職業・福祉・文化といった様々な面で社会的評価を受けた文月会ですが、後継者探しで1年余をかけながらも適任者を見出すことができず、関係者に惜しまれながらも2001年、40年の歴史に終止符を打ちました。文月会の業務はセンターに移し、現在に至ります。これからも「一日の先輩」に恥じない取り組みをしていきますことを重ねてお約束します。

 次は点字教科書のことです。新学習指導要領で、小学校は23年度から、中学校は24年度から、高校は25年度から使用する教科書がそれぞれ新しくなります。教科によっては前倒しもあり、高校の「地学」は24年度からで、今センターが取り組んでいます。教科書はほとんどが見本本で作業に入り、来年の3月前後に供給本(完成本)ができます。地学は大震災のこともあって変更があるようですから、いかに来年4月に間に合わせるかを心配しながら取り組んでいます。その地学は今使われている教科書もセンターが作ったものですが、盲学校で選択されなかったりで、年によって供給がゼロであったり、多くて2、3冊です。義務教育の教科書は教科にもよりますが、毎年50セット前後は出ますが、高校は盲学校と出版社との話し合いで決まる部分が多いので、この状態が続けば大変なことになりかねないと私は思います。

 一方、中学の著作本の入札が10月25日午後文科省であり、大手4社とセンターが参加して、7教科中センターは「国語」と「社会(地理)」を落札しました。著作本は文科省が検定したものから最も視覚障害児童・生徒に適した本を、やはり文科省が選定して、盲学校の先生や学識経験者などでより児童・生徒にわかりよい、理解しやすくするための教科ごとの編集会議が持たれ、その後入札にかけられるわけです。今回の教科はいずれも現在の本より分厚いものになっていますから、私は「入札日を早くするよう」に訴えていました。新年度にいかに間に合わせるかで担当職員は大変なノルマだと思っています。

 私は点字の仕事に関わるからには、まず「点字技能師」の資格試験にチャレンジして、自分の点字「技術」と視覚障害に関わる「知識」がどれだけあるかを試してみることと、その上、著作本をやって編集委員である盲学校の先生に日々指摘してもらうことで、ノウハウを高めることだと常々職員に言っています。そうした過程を踏んで、普通校に学ぶ視覚障害児童・生徒の点字教科書製作に取り組めば、一定のニーズに応えられるのだと私は信じています。

 最後にサイトワールドについても書きました『視覚障害――その研究と情報』12月号の「編集後記」を転載します。
 私にとってはサイトワールドの事務局と事務局長を返上することは残念なのですが、サイトワールドとセンターの将来を考えた場合の私にとってクリアしなければならない辛い選択だと思っています。特に公私ともにお世話になっていますケージーエス株式会社榑松武男社長(実行委員長)の意向に反しているかと思いますと、言うに言われぬ申し訳なさでいっぱいです。
 ただ、第1回目のサイトワールドは発案者の榑松社長のもとで同社社員としてこの事務に関わり、2回目から今日までセンターの職員として他の職員と力を合わせながらサイトワールドに携わってきました近藤義親を、サイトワールドとともに異動することを認めました。私のせめてもの償いです。ご了承ください。

 11月1〜3日、今年も「サイトワールド」が好天に恵まれ、盛会裏に終わりました。今回が6回目でしたが毎年3日間で5千人以上の来場者があり関心の高さに驚かされます。そもそもは点字文化を継承していますKGSの榑松武男社長の発案で日点の田中徹二理事長と私の3人で話し合いました。榑松社長や田中理事長はよく海外に出かけていますが、このイベントのように視覚障害に特化した展示会・講演会・研究発表等を一挙に行なう催しはないそうです。話し合いは主催、名称、日程等の検討から始まりました。名義は日盲委、実行委は日盲社協用具部会のメンバーを中心にし、日程は好天が続きやすい11月1〜3日、名称は「視覚障害者向け総合イベント・サイトワールド」、会場はアクセス至便な錦糸町駅から2分のすみだ産業会館、8階展示会場は45〜50ブースの出展、9階は各種講演会等に利用し、内容の差こそあれ今回までこの形で継続してきました。初回の折、「盲人がこんなに沢山同時に集まるなんて」と知人が驚いていましたが、混雑している会場内で「いやあ、元気だった?」「何十年ぶりかなあ」といった声や握手と共に足を止めているものですから大変でした。公的施設では認められない即売も認められ、用具等の即売をするブースは特売場を思わせる混雑で主催者としては嬉しい悲鳴でした。私の知り合いは旭川から視覚障害者を3人連れてきたとか。盛岡と大阪から毎年夫妻で来られる知人、3日間皆勤の来場者、有名無名の人たちが入れ替わり立ち替わり来場されるなど、もっと体制作りに知恵を絞らなければならないと思ってきました。私が事務局長でセンターが片手間に事務局をお引き受けしているのも限界に来ましたので、来年からは「名」だけだった日盲委に「実」も移して「より一層広くニーズに応えられるサイトワールド」を目指すことになりました。ご期待ください。

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『視覚障害者の日常生活訓練――改訂新版』の発行について

村上 晴香

 この度、14年ぶりに『視覚障害者の日常生活訓練』を改訂することとなりました。

 この本の初版は視覚障害日常生活訓練研究会の会員の方に執筆していただき、1988年に出版いたしました。今回は初版本および1997年の改訂版の執筆者に新しい方を加えて8人の方に検討執筆していただき、現在の指導現場に即した形での改訂となりました。

書 名:視覚障害者の日常生活訓練――改訂新版
執筆者(50音順):石黒 清子(荒川区障害者福祉課)
         伊藤 久江(東京都視覚障害者生活支援センター)
         大浪 信子(七沢更正ライトホーム)
         小川 かほる(東京大学バリアフリー支援室)
         小原 美沙子(東京都視覚障害者生活支援センター)
         酒井 智子(東京都視覚障害者生活支援センター)
         鈴木 文子(視覚障害者家庭生活研究会を支援する会)
         内記 郁(七沢更正ライトホーム)
定 価:1,260円(税込・送料別)

 普及・啓発のため、たくさんの方に読んでいただきたいと思い、関係各機関に無償で頒布できるよう、助成申請をしておりましたが、残念ながら不採択となりました。助成金の結果を待っていた関係で、発行が遅れましたことを、執筆者の方々ならびに関係者の皆さまにお詫び申し上げます。

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お待たせの『鉄道手帳 私鉄編』はまもなく完成!

輿水 辰春

 点字版『鉄道手帳 私鉄編』の製作がいよいよ佳境に入っています。お待ちいただいている皆さまには、お待たせしてしまい、大変申し訳ございません。

 読み物編全4巻(平均170ページ前後)と、日本全国の私鉄路線を描いた点字地図は全2巻に46枚という大ボリュームとなりました。前作を社団法人昭和会館様の助成により、全国の盲学校と情報提供施設に寄贈させていただきましたが、「視覚障害鉄道ファンの方はこんなにいらっしゃるのか」というほどの反響をいただきました。その中には「JRに関する本はけっこうあるが、私鉄を網羅したものは少ない」という意見もあり、本書を喜んでいただける作品にしなければと、最後の確認作業に慎重を期しています。12月には完成の予定で、完成度を高めている最中ですので、お待ちの皆さま、いましばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。

 なお、本書も前作『鉄道手帳』に引き続き、社団法人昭和会館様より、製作費の一部をご助成いただきました。誌面をお借りしまして、心より御礼申し上げます。

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センター法人認可15周年記念出版
『企業の歩みとわたしの思い〜視覚障害者の暮らしと文化を豊かに』

輿水 辰春

 これまでにもお知らせしてきましたように、センターの法人認可15周年を記念し、新刊書『企業の歩みとわたしの思い〜視覚障害者の暮らしと文化を豊かに』を9月に発刊いたしました。これはセンター編集・発行の『視覚障害』誌に2009年10月から翌年10月まで、全12回にわたって連載したものに若干修正を加えながらまとめた書籍で、視覚障害者向けの支援機器・資材などを世に送り出している企業の経営者に迫った1冊です。

 9月10日に行ないました「競い合い、助け合う コンサート2011」で会員の皆さまには初お披露目となりましたが、点字のテキストなどのような実用書でないものですから人気はイマイチというところだったと聞いています。

 本書のそもそもの企画としては、助成事業として助成団体にお認めいただき、啓発活動の一環として広く無償配布を行ないたいというものでした(コンサートにご来場の皆さまに配布したいと9月初頭の完成を目指したわけです)。残念ながら、助成を得ることは叶いませんでしたが、「点字文化を継承する」企業・ケージーエス株式会社の榑松武男社長と、点字プリンタの分野で圧倒的な信頼を得るジェイ・ティー・アール株式会社の岡村原正社長に、本書の内容と無償配布の意義についてご理解いただき、ケージーエスから点字図書館などの視覚障害者情報提供施設に100部、ジェイ・ティー・アールから盲学校に70部をご寄贈いただくことになり、先般、発送いたしました。

 こうした企画の図書は他に例を見ませんので、配布先の施設・学校からは「勉強になる」「1冊にまとまっているので読みやすい」と感謝のお手紙、メールを毎日のようにいただいております。

 視覚障害者支援に少しでもご興味のある方、『視覚障害』誌をお読みいただいていない方、機会がありましたら本書をお手にとっていただけますと幸いです。

『企業の歩みとわたしの思い〜視覚障害者の暮らしと文化を豊かに』
墨字:A5判、全152ページ、1,500円(税別)
点字:6,000円(全2巻・価格差保障あり)

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サイトワールド2011 今年も盛況のうちに

近藤 義親

 第6回目のサイトワールド2011は、今年も11月1日(日本点字制定の日)、2日、3日(文化の日)の会期で、会場もこれまでと同じ、JR総武線・東京メトロ半蔵門線 錦糸町駅前のすみだ産業会館(丸井錦糸町店8・9階)にて開催されました。いつも何かと、新しいことに気づかされるサイトワールドですが、今年も皆さまのご期待にお応えしたようです。

 当センターの高橋実理事長(サイトワールド実行委員会事務局長)がコーディネイトされた「東日本大震災・原発と視覚障害者」のシンポジウムは、被災地3県からそれぞれ被災された視覚障害者を招き、貴重なお話しを伺いましたが、体験された方から直接、話しを聞けたことは良かったとアンケートの回答にも多くあり、シンポジウムは、参加者に感銘をもたらしたようです。

 被災された当事者の皆さまに、辛い経験を含めてお話しいただくことが、無理強いとならぬよう心を配られた高橋実理事長の配慮により、第1回サイトワールドから、実行委員長、副委員長、事務局長の重責を担われた、榑松KGS社長、田中日本点字図書館理事長、そして、高橋実理事長の3方が、3日間のシンポジウムの司会を交替で務めることで、連日来られた来場者にとっても印象深く、それぞれ特徴ある3日間となったようです。

 8階会場の東京消防庁のコーナーでは、災害への備えへの関心が高まり、身近なことからはじめられるヒントも多く得られたようです。また、消防庁の皆さんにとっても、気づかされたことや発見が多くあったとのことです。防災グッズのコーナーも好評でありましたが、震災などの災害は、誰でも被災者になる可能性があり、今回のサイトワールドが、防災の意識や知識を醸成する機会となったならば幸いなことです。

 全国視覚障害者情報提供施設協会のご協力で、視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」(サピエ図書館)の概要の説明会と、そして、出展企業によるサピエ図書館の利用のための機器やサービスについての説明会も開かれましたが、これも、主催者の予想を上回る多くの方が集まられ、関心の高さと、機器を利用しての「サピエ図書館」活用の広がりを示すものとなりました。

 サイトワールドは、「触れてみよう、日常サポートから最先端テクノロジーまで」をテーマとして、最先端の技術に触れ、その技術進歩を確認する場でもあり、多くの方が、新製品や新技術、新サービスをより身近なものとして捉える場ともなっています。しゃべるテレビに続いて、今年はしゃべるエアコンの新製品が紹介され、皆さまの興味を集めたようです。

 出展者の開発技術者やサービス提供者が、ユーザーや来場者と交流を図り、製品の操作や使い易さについての意見交換を行ない、サービスの満足度向上のためのアイディアの検討などの多岐に亘る交流の場の定期的な開催として、第6回のサイトワールドの盛況は、視覚障害者の福祉文化の向上に資するものとなっているものと思います。

 さて、今年もサイトワールドは多くのボランティアの方に支えられて開催されました。駅などからの誘導や、会場内の案内など、ボランティアの支えなくしてサイトワールドは成り立ちません。そのようなところ、高校生や中学生の皆さんがボランティアとして参加してくれましたが、視覚障害者を案内したり、誘導することは、ほとんどが初めての皆さんでした。そのような高校生・中学生に、視覚障害の当事者の方が、「私たちを誘導する時は、このようにしてほしい」などと、ガイドの仕方などを伝授されていました。このような交流もサイトワールドならではでないかと思うところです。ボランティアをされる側、する側とういう立場ではなく、人々が互いに支えあう社会の原形に繋がることではないでしょうか。サイトワールドで今年もひとつ学ばせていただきました。

 今年も、サイトワールドが盛況のうちに無事に開催できましたことをご報告いたしますとともに、皆さまに心より御礼申しあげます。

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公益信託東京日本橋ライオンズクラブ立川福祉基金様より
消磁機他機材購入費をご助成いただきました

伊瀬 飛鳥

 今まで録音媒体の主流を占めていたカセットテープは時代の流れにより減少の一途を辿っています。それに伴い、関連機器は大手企業でもどんどん生産中止になり、今確保しておかなければ将来的に現在使用しております機材が不調になった時、代わりのものを買いたくても品物がない状況が予想されます。テープ読者が読書難民にならないためにも、機材の確保は最重要です。
 また、テープのみの配布であった音声版自治体広報もテープ・デジタルによる配布が多くなり、デジタルとアナログ両方を提供できる環境を持たなければ自治体等の入札に参加することもままならない時勢となりました。
 これらはテープやDAISYのダビング・発送などを収入源とする「チャレンジ」利用者の作業の確保にも繋がってきます。

 今回公益信託東京日本橋ライオンズクラブ立川福祉基金様に45万円ものご助成をいただき、カセットテープ消磁機、編集用カセットデッキ、確認用カセットプレーヤー等一式を購入することができました。
 消磁機は従来のものより小さく操作が簡単で、利用者にとって今までより作業がしやすく、また編集用カセットデッキはデジタルデータから直接カセットテープにダビングをすることもできて、作業効率のアップに繋がりました。確認用プレーヤーはこれまで個人の私物を使っていたところを設備として用意することができました。

 今後もテープ読者のため、またデジタルならではの利便さも開拓し、さらに社会貢献できるよう気持ちを引き締めて努力していく所存です。

 公益信託東京日本橋ライオンズクラブ立川福祉基金様、本当にありがとうございました。

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第20回養成講座 残すところ邦楽講座1回のみ

伊藤 真弓

 本年6月27日(月)よりスタートしました、第20回専門点訳者実践養成講座も、12月7日(水)をもって邦楽講座を含め全6講座が終了いたします。既に4講座(全10回)は9月中旬までに、日本語初級(全15回)は10月末で終了しております。4講座はおおよそ3ヵ月間、日本語初級講座は4ヵ月間にわたり行なわれてきました。邦楽講座は外部講師のご都合もあり、概ね5ヵ月を要しました。
 特に、邦楽講座は講師の澤村さんと小畔さんがお琴や十七弦をお持ち込みいただき、課題曲を実際に演奏していただくため、評判の高い講座となっております。

 今年度の養成講座は東日本大震災の影響を受け、助成先が決定せず、やむを得ず規模を縮小して、通常講座のみの開催となりました。開講・閉講式も自粛したため、受講初日が講師・受講生の初顔合わせという状況で始まりましたが、最終日にはすっかり打ち解けた雰囲気で、安堵の表情を浮かべておりました。受講を終えた延べ30名の皆様の点訳活動での今後のご活躍を切に願っております。

 以下簡単ではありますが、今年度開催されました通常講座を再度ご紹介して養成講座完了の報告と替えさせていただきます。

講座一覧

日本語初級……飯田三つ男 月曜午前 6/27〜10/31 全15回 5名
英    語……乙川利夫(元国立障害者リハビリテーションセンター教官) 月曜午後 6/27〜9/12 全10回 4名
日本語中級……北村雅美 火曜午前 6/28〜9/6 全10回 3名
音 楽 基 礎……三好明子 火曜午後 6/28〜9/6 全10回 6名
日本語上級……飯田三つ男 木曜午前 6/30〜8/25 全10回 6名
邦    楽……講師:澤村 祐司(邦楽家)/アシスタント:小畔香子 水曜午後 6/29〜12/7 全10回 6名
※「邦楽」は点字楽譜利用連絡協議会との共催

 センターとして今後も皆様のご期待に添えるよう、詳細は未定ですが、来年度も養成講座開催に向けて努力して参る所存です。皆様の点訳活動の一助となり、また、一人でも多くの方が受講して良かったと思っていただけるよう、センターはこの事業に力を入れて取り組んでまいります。何卒よろしくお願い申し上げます。

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「競い合い、助け合う コンサート 2011」のご報告

村上 晴香

 センター主催事業として、財団法人JKAの補助をいただき毎年開催しております「競い合い、助け合う コンサート 2011」が去る9月10日(土)13時30分より、東京都杉並区のセシオン杉並ホールにて行なわれました。当日は残暑が厳しい中、約490名の方にご来場いただき、盛会のうちに終えることができました。

 コール・トゥインクルスターの皆さまの素敵な歌声でコンサートが幕を開け、読谷山こずえさんの沖縄民謡や三線の演奏には会場の皆さんが聞き惚れていました。続く第2部は、筑波大学附属盲学校ハンドベルクラブOG会「あかね」のハンドベルの素敵な音色とぴったりと息のあった演奏に感動し、最後は澤村祐司さんの素晴らしい箏の演奏で会場が一体となり幕を閉じました。ご来場の皆さまからのあたたかい拍手やご声援をいただくことができ、大変盛り上がりました。

 また、コンサート終了後、ステージで行ないました、「第9回チャレンジ賞・サフラン賞贈呈式」では、受賞されたお2人と、KGS社長の榑松氏、センター理事長の高橋との公開座談会が行なわれました。守田稔さんと柏木佳子さんには職場での様子などをお話しいただくことにより、演奏だけでは伝わらない視覚障害者への理解が深まったことと思います。当日の模様は、センター発行の『視覚障害――その研究と情報』10月号でお読みいただけます。

 これも出演者、実行委員、お手伝いの皆さまをはじめ、会場に足をお運びいただきました皆さま、ご宣伝・チケットの売り捌きなどでご協力いただきました関係者の皆さまのおかげです。ここに深く感謝申し上げます。

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財団法人JKA 競輪補助事業完了のお知らせ

 このたび財団法人JKA様から、平成23年度競輪補助金の交付を受けて、下記の事業を完了いたしました。ここに事業完了のご報告を申し上げますとともに、財団法人JKA様をはじめ、ご協力を賜りました関係者の皆さま、会場にご来場いただいた皆さまに深く感謝申し上げます。

一.事業名 平成23年度障害を持つ人が幸せに暮らせる活動補助事業

一.事業内容 若い視覚障害音楽家による啓発コンサートと講演を実施。澤村祐司(東京)、筑波大学附属盲学校ハンドベルクラブOG会「あかね」(東京)、読谷山こずえ(沖縄)ほか、計4組を全国から招き、平成23年9月10日、都内・セシオン杉並ホールにて「競い合い、助け合うコンサート2011―羽ばたけ視覚障害音楽家たち」を開催。守田稔(大阪)、柏木佳子(大阪)による講演も同時に行ない、視覚障害音楽家に対する理解と支援を呼び掛けた。

一.事業総額 2,969,440円

一.補助金額 2,223,000円

一.完了年月日 平成23年9月10日

社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター
理事長 高橋 実

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2012カレンダー「京野菜」に関する報告

高橋 和哉

 2012年カレンダーの京野菜は、結論から申しますと大成功です。(11月14日現在)

 これまでは、期待より不安のほうが大きかった記憶があります。しかし今回は、製作過程もシンプルにして、不安を抱える暇もなく、自信を持って販売開始できました。  絵の部分を全て点図で表現したことが、成功した一因だったと感じています。ややもすれば、「手抜き」と思われますが、ユニバーサルデザインを目指す以上は、晴盲両者に同じ情報を提供することが基本(どちらかといえば、視覚障害者により多くの情報提供が必要でしょうが)ですので、ようやく原点にたどり着いた感じがします。

京野菜を選んだ理由

1.日常生活にあるものを描くことにより、視覚障害者の理解が得られやすく、独特な京野菜の形をわかってもらいやすい。
2.「京都」というブランドは、首都圏では非常に有効。
3.関西での販路を拡大するため。

それぞれの説明

上記の3つの理由をもう少し詳しく説明しますと、
1.障害者が日常的に手にする3次元のものを2次元におとすことにより、どうしても分かりづらくなります。しかし、触読が出来る方であれば、触っているうちに理解が深まります。鹿ケ谷南瓜のような南瓜らしくないものが出てきても、「本当は、丸いのに、鹿ケ谷南瓜は、ひょうたん型なんだ。でも、このごつごつ感は一緒だな。」とか、「九条ねぎは、白ねぎと違い、白い部分が少ないし、すごく細いんだな。」と、比較対象物があることにより、独特な京野菜の理解が深まります。
2.関西から東京に来て個人的に感じたことですが、広告やコマーシャルでやたらと京都の露出が多い。それだけ、首都圏の女性は、京都に弱いのでしょう。それと、このカレンダー購入層の大半は、女性です。題材を「京野菜」にすることにより、反射的に購入してくれるという甘い考えも持っていました。
3.カレンダーの購買層を地域別に調べた結果、関西圏(京都、大阪、兵庫、滋賀、和歌山)での購買者が1割でした。ということで、この地域に対して集中的にアピールすることにより、まだまだ、売れると考えました。

具体的な動き

1.三好(触読者)、佐藤(製版者)、高橋(企画者)が、同じ意識を保って、作業を進めた。これまでは、企画と製版が独走してしまう傾向がありましたが、今回は、触読者の三好の意見を最大限に尊重して進めた。あと、京野菜に詳しい京都人の協力も得て、京都人が納得できるものを作成した。
2.カレンダー完成前から、ちらしを配布していましたが、京都をアピールするために大きく「京野菜」と記しました。あと、気づいてない方もいるかもしれませんが、日本語とフランス語で印刷しています。英語でなく、フランス語にすることにより、新たな購買層を掘り起こせる可能性があります。また、フランス語は、おしゃれなものとして認識されることを狙った。
3.関西方面での宣伝に力を入れた。これまでも新聞媒体を活用して宣伝を行なっていたが、今回は、京都新聞、毎日新聞(西日本版)で取り上げてもらったことにより、販売数が格段に上がった。京都新聞読者の企業からも大口の注文をいただいた。

掲載日時 新聞社 の順
10月6日  京都新聞  京都府 夕刊
10月17日  毎日新聞  西日本 夕刊
10月27日  毎日小学生新聞  全国  朝刊
11月6日  点字毎日  全国
11月21日  毎日新聞  東日本 朝刊(予定)

4.国立民族学博物館(通称:みんぱく)ミュージアムショップでの展示販売
梅棹忠夫さんが設立した、日本の民族学の最高の教育機関でもある博物館のショップで購入できます。これは、広瀬浩二郎さんが便宜を図ってくださいました。

大口の顧客

 多くの方は、友達や近くの方に差し上げるということで、複数購入してくださいます。非常にありがたいことです。また、組織的に大口での購入者も着実に増えてきています。今後も、工夫を凝らして、顧客のイメージが上がるような提案を廉価でできることを試みます。ここに、80部以上の注文者を列挙します。総数で、3340部になります。

 

 

 

部数

2005年〜

セレスティンホテル

東京都

1600

支援総合センターを支える会

東京都

700

2006年〜

岡山パールライオンズクラブ

岡山県

160

2011年〜

富田内科医院

秋田県

500

2012年〜

野口建設株式会社

京都府

200

GPW

東京都

100

東京都社会福祉協議会

東京都

80

新たな試み

 青年海外協力隊の仲間と細々と、ミャンマー、フィリピン、パキスタンの就学困難な学生を支援する活動を行なっています。団体名は、Growing People's Will(略称はGPW http://www.gpw39.org/)といいます。これまでは、Tシャツの販売を行なって、売値と製造費の差額を支援に当てていました。(ちなみに、女優の藤原紀香さんにも買っていただいています。)
 今回は、このカレンダーを「日本の障害者が作った商品を買って、海外の就学困難な女学生に寄付を!」というふれこみで、通常価格に200円上乗せして売り出しました。現在、100部売れています。
 おかげで上乗せ分の20000円を途上国で通学をあきらめようとしている女学生の支援にまわしました。ちっぽけな支援ですが、パキスタン政府から感謝されまして、10月18日(火)パキスタン大使館から昼食に招待され、おいしいパキスタン料理をいただきました。食事のあと、「国際協力と障害者福祉を結びつけるのは、素晴らしい発想ですね。」と大使から感謝のお言葉をいただきました。

今後の課題

 コンテンツが勝負です。よって、できるだけ多くの方が喜んでいただける題材を今後も探し続ける必要があります。
 一度獲得した顧客は絶対手放さず、新たな顧客にアプローチをすれば、確実に売り上げは伸びます。よって、常に新規開拓を頭に入れて商品を作成する。
 国際協力と障害者福祉を結びつけるとお互いに良い結果が出ました。今後も障害者福祉の世界にとどまることなく、可能性を信じて、自分の得意分野とのコラボレーションを進めて行きたいと思います。

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